今週のDEBUNKまとめ(8/8〜8/14)
今週配信した記事10本を、3行ずつで振り返ります。
おはようございます。 今週(8/8〜8/14)にDEBUNKで配信した記事10本を、3行ずつでまとめました。
🤖 DEBUNK AI
Firmus TechnologiesにNvidia・Blackstoneらが$2B出資、AirtableをBending Spoonsが$1.28BでM&A、など全29PJ【資金調達PJまとめ】
8/1〜8/7のAI領域の資金調達29件です。首位はオーストラリア発のAIインフラ企業 Firmus Technologies の$2Bです。Nvidia と Coatue が追加出資、Blackstone と Jane Street が新規です。ポストマネー評価額は$10.5B超で、2026年4月の約$5.5Bからほぼ倍増しました。自社でモデルは作らず、計算キャパシティを供給する側の会社です。
2位は工場そのものを建てて売る Hadrian の$1.37B(Series D・評価額$7.87B)。共同リード5社に JPMorgan Chase の戦略投資部門がアンカーで入る厚い座組みです。3位はノーコードDBの Airtable で、イタリアの Bending Spoons が全額現金・企業価値$1.285Bで買収します。Airtable の ARR は2026年6月時点で約$480M、前年比20%超です。
4位・5位はどちらも電力でした。家庭用蓄電池を束ねて系統を支える Base Power が$1B(評価額$13B)、AIデータセンター向け小型モジュール炉(SMR)の Valar Atomics が$1B(報道ベースで評価額$6B)。
先週のAI市場を5分で振り返り
OpenAI が、次期モデル Astra の社内開発の一部を止めたことを8/7に認めました。サイバーセキュリティ能力が「Critical(重大)」の水準に達している可能性を排除できない、というのが理由です。スクープを出した WIRED の報道によると、エージェント群は社内ツールの Artifactory を通信ハブに転用し、数十万件の投稿でエクスプロイトや資格情報を共有していたとされます。
Alibaba の Qwen3.8-Max は2.4兆パラメータ・100万トークン文脈ですが、Artificial Analysis の Intelligence Index は56で、Kimi K3 の57に1点届きません。完走コストも $1.14 対 $0.86 で、Qwen 側が3割ほど高くつきます。幻覚も AA-Omniscience で前世代の23%から40%へ悪化しました。
EU AI Act の透明性義務が8/2に発効しました。合成された音声・画像・動画・テキストには機械可読なマーキングと、AI生成だと利用者に分かる形での検知可能性の両方が求められます。制裁は最大€15Mまたは全世界年間売上の3%(高いほう)です。同じ週に Suno がウォーターマーキング導入を表明し、規制と自主対応が同じ方向に揃い始めました。
【Supermemory】AIエージェントに記憶を持たせるインフラ
AIが前の会話を忘れるのは、一度に読める文章量に枠(コンテキストウィンドウ)があるからです。Supermemory はその枠の外に会話や資料を預かり、必要なぶんだけ差し戻す裏方のサービスで、本体はオープンソースです。資料を渡すと「原文の断片」「事実のメモ」「カルテ」の3つが同時に作られ、勤務先が変わったといった更新にも追随します。
ところがこの領域は、性能を比べる物差しが壊れています。2025年5月に競合の Zep が、Mem0 による LoCoMo での測定に設定の誤りを指摘し、測り直すと Zep のスコアが約9ポイント上がりました。2026年3月には Supermemory 自身が「約99%」を出すパロディで点数を盛れると実演し、精度・速さ・AIに渡す文章量をセットで書く MemScore という報告様式を提案しました。
それでもトップページには「#1 ON EVERY BENCH」と並びます。掲げられた95%は、検索が正解の載った資料を上位に拾えた率であって、AIの答えが合っていた率ではありません。Mem0 が公式に掲げる94.4と並べて上下を語るのは、身長と体重を比べるようなものです。見るべきは順位ではなく、何を覚えるか・どこにつなぐか・何に課金されるかの3つでした。
【8/8(土)~8/12(水)News Report】Geminiアプリが月間10億ユーザー突破 ほか
Gemini アプリの月間アクティブユーザーが10億人を超えました。Google にとって14個目の10億人プロダクトです。Reuters によれば ChatGPT は6月に10億MAUへ到達しており、そこに追いついた形になります。内訳は63%が音声機能で直接会話、画像生成は1日1.5億枚超、iOS だけで1億アクティブユーザー超とされています。
NVIDIA が Apollo・BlackRock・Goldman Sachs ら6社と覚書を結び、AIインフラへ第三者資本5,000億ドル超を動員する金融プラットフォームを立ち上げます。FTの報道によれば、個別案件には残存価値保証が付き、再販価値が想定を下回った場合は1取引あたり最大25%を NVIDIA が負担します。スクープ後、NVIDIA株は約1.4%下落しました。
Meta が300億パラメータの Muse Glimmer を Apache 2.0 で公開しました。The Decoder によれば、重みを配るオープンウェイト形式での公開は Llama 4(2025年春)以来、約1年4か月ぶりです。消費者向けGPU1枚のMac/PCで動かすローカルエージェント向けで、Artificial Analysis Intelligence Index は35点でした。
【8/13(木)News Report】Geminiのシェア低下を3つの市場データが示す ほか
AI判定プラットフォーム Pangram の集計で、投稿テキストの Gemini シェアが2026年7月に12%から1.9%へ下がりました。同じ期間 OpenAI は50%超を保ち、Anthropic は4.3%から14.9%へ伸ばしています。前号の「10億ユーザー突破」とは真逆のデータで、The Decoder はこの10億を「a very low-quality signal」と評しました。
Amazon が、Twitch のクリエイターコンテンツを既定で生成AIの学習に使います。同意した人だけを対象にするオプトインではなく、拒否申請した人を外すオプトアウトです。Chief Product Officer の Mike Minton 氏はライブ配信で「If this was opt-in, nobody would opt in.」と答えています。同意の取り方が結果をほぼ決めています。
Anthropic が Claude Code の auto mode を8/14から Pro・Max・Team で既定オンにします。一手ごとの承認をやめる変更ですが、根拠は測定結果です。有料テスター1,053人の検証で、有害な操作を auto mode は89%捕まえたのに対し、人間のレビューは13.6%です。Claude Code では利用者が権限確認の97%を承認しています。
⛓️ DEBUNK Crypto
Yellow Card FinancialにSC Ventures等が$40M出資、InvestiFiにVibe Credit Union等が$20M出資、など全11PJ【資金調達PJまとめ】
8/1〜8/7のクリプト領域の資金調達11件です。首位はアフリカ発のステーブルコイン決済基盤 Yellow Card Financial の$40Mで、Standard Chartered の投資部門 SC Ventures や Sony Innovation Fund が並びました。資金は法人向けドル口座「Global USD Accounts」の拡大に充て、エクイティ累計は$120M超です。
2位は InvestiFi の$20M。信用組合や地域銀行が自行のネットバンキング画面の中で株式・ETF・暗号資産の取引を出せる、ホワイトラベル型の組込み投資プラットフォームです。リードした Vibe Credit Union を含め、計7つの信用組合が出資者に並びました。つまり顔ぶれがほぼそのまま顧客リストです。
11件のうち4件が金額非開示で、上位2件を除けば全部$10.5M以下と静かな週でした。ただ出し手には1本の線が通っています。Standard Chartered、野村傘下の Laser Digital、Ripple、米国の信用組合7行、そして東証上場の物流会社 AZ-COM丸和(JPYCへ約$6.1M)。暗号資産ネイティブのVCより、既存金融・既存産業のバランスシートが目立ちました。
先週のweb3市場を5分で振り返り
6日間ほぼ何も起きず、最終日だけが動いた週でした。BTCは週間+3.14%($62,896→$64,872)、ETHは+2.63%ですが、上げのほとんどは8/7の米雇用統計で付きました。7月の米雇用者数は▲23,000人(予想+80,000人)で、6月・5月も下方修正されました。CME FedWatch の9月の利上げ確率は55%から46%へ下がり、BTCは$65,000を回復しています。
上院がCLARITY法(市場構造法案)の採決を9月へ先送りしました。議会は金曜から1か月の休会に入り、中間選挙前に戻るのは9月中旬の数週間だけです。可決には60票が必要で、民主党の協力なしには通りません。前週号で書いた「成立確率の切り下げ」が、採決見送りという一番わかりやすい形で日程として確定しました。
Coldcard の余波がオンチェーンに出ました。直近1週間で長期保有者のウォレットから210,000BTCが移動し、長期保有供給は約1,470万BTCへ減っています(2024年12月以来の大きな減少・データ元は Glassnode)。同じ期間に米国の現物ビットコインETFへは約$754Mが流入しました。CoinDesk は、これを投げ売りではなく保管形態の移行だと整理しています。
【EIP-8363】ステーキング報酬をバーンして、利回りをゼロに向かわせる新提案
Ethereum が検証の担い手(バリデーター)に払う報酬から一定割合を差し引いて消す提案です。差し引く割合は預けられたETHの量で決まり、供給の半分にあたる約6,000万ETHに届くと100%、つまり報酬はゼロになります。現在の預入量はおよそ4,200万ETHで、差し引かれる割合は6割弱です。
芯は、報酬の計算式には手を付けず、計算し終わった額から後で差し引く方法を選んだことです。式そのものを書き換えると「これ以下にはしない」という下限が制度側に残りますが、後から焼く形ならその下限が消えます。利回りを市場に決めさせる設計ですね。市場も正直で、発表前日からの1週間で LDO は1割強下げたまま戻らず、ETH自体はほぼ横ばいでした。
提案側は「発行率は年0.5%が上限になる」と説明していますが、計算式を回すと、実際にはもう0.5%を下回っていました。発行量は預入量に対して山なりで、頂上の年0.5%に対応するのは預入がETH全体の2割ほどだった頃です。今は3分の1なので通過済みで、移行が終われば年0.4%を切ります。提案はまだ草案(Draft)です。
【8/8(土)~8/12(水)News Report】Harmonyで供給の約26%が不正発行、ロールバック検討 ほか
攻撃者が Harmony のネイティブトークンONEを約40億枚、総供給の約26%にあたる規模で新規発行しました。X上の分析アカウントの推計では、うち約28億枚がすでに取引所へ送られ、チェーン上に残るのは発行分の2.9%だけです。ONEは CoinGecko のデータで24時間33.9%下落し、Harmony は取引所と連携した凍結と、取引履歴を巻き戻すロールバックを検討しています。
米SECが8月14日10:00 ETに公開会合を開き、「Regulation Crypto」を提案するかを審議する予定だとお伝えしました。証券登録をフルに行わずに資金調達できる専用枠で、プロジェクトが十分に分散化し創業者が能動的な運営から退いた時点でSECの管轄を抜けられる設計です。背景にあるのは、上院がCLARITY法を夏の休会前に処理できなかったことでした。
Vitalik Buterin 氏が Ethereum のロードマップを刷新しました。優先度が上がったのは、量子耐性とプライバシー、ゼロ知識証明の一種であるSTARKsとAI支援による形式検証、そして仕様のLean化の3点です。スケーリングの対象を、チェーン上のあらゆる活動からトークンの送金・スワップ・プライバシーへ絞る方針も示しました。
【8/13(木)News Report】ゴールドマン・サックスがNEOSを最大$2.25Bで買収合意 ほか
ゴールドマン・サックスが、ETF運用会社の NEOS を最大$2.25Bで買収することに合意しました。完了予定は2027年Q1です。移管される暗号資産関連ETFは、オプション戦略で月次インカムを生む3本です。統合後のETF資産は$130B超となり、モーニングスターの集計ではアクティブETFの運用者として世界8位になります。
三菱UFJフィナンシャル・グループなど4社が、米 Digital Asset と Progmat と組み、Canton Network 上で国債レポのオンチェーン化実証を行います。レポ取引とは、債券を担保に資金を貸し借りする取引です。国債を担保にしたレポは2024年末で世界約$16兆の市場で、うち日本が約1割を占めます。金融庁の決済高度化プロジェクトの支援先には2026年2月に決まっていました。
予測市場に圧力が2方向から掛かりました。ニューヨーク市議会が Kalshi・Polymarket など4社にマーケティング手法の調査を始めました。CoinDesk Japanの報道によれば、同じ週にCFTCも申請の不備を警告するガイダンスを出しています。一部のリワードプログラムが出来高目標のためだけの取引を誘い、見せかけの売買(ウォッシュトレード)を招きうるという指摘です。
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