Firmus TechnologiesにNvidia・Blackstoneらが$2B出資、AirtableをBending Spoonsが$1.28BでM&A、など全29PJ【資金調達PJまとめ】
直近1週間の資金調達情報をまとめました。
おはようございます。 今日は「今週1週間(8/1〜8/7)のAI領域の資金調達PJのまとめ」です。
💥調達金額上位5プロジェクト
1、Firmus Technologies
概要:オーストラリア発のAIインフラ企業で、Nvidia の DSX AI Factory Reference Architecture に沿った「AIファクトリー」(AI専用データセンター)をオーストラリアからアジア太平洋にかけて建設しています。自社でモデルを作るのではなく、学習と推論の計算キャパシティを供給する側に立つのが特徴です。今回の$2Bで評価額は$10.5B超(ポストマネー)となり、2026年4月時点の約$5.5Bからほぼ倍増しました。資金は主力の Project Southgate のオーストラリア展開加速とインドネシア進出に充てられます。共同CEOの Oliver Curtis 氏は「複数の方面で同時に動けるようになる。オーストラリアで規模を広げつつ、アジア太平洋全域への展開を前倒しする」と述べています。2026年2月には Blackstone と Coatue がリードする$10Bのデットファシリティを確保済みで、エクイティと debt の両輪で建設を進める構図です。要は、Nvidia が自社チップの置き場所そのものに継続出資したという話です。
カテゴリ:AI Infrastructure, Data Center
調達額:$2B(評価額$10.5B超)
投資ラウンド:ラウンド名非開示(リードの指定なし)
投資家:Nvidia(follow-on)、Coatue Management(follow-on)、Blackstone(新規)、Jane Street(新規)
発表日:8/7
2、Hadrian
概要:航空宇宙・防衛・産業向けに、高度に自動化された工場そのものを建設して提供する会社です。工場の運用を司る自社ソフトウェア「Opus」とセットにしており、設備とソフトを一体で売るのが売りです。今回の Series D で調達額$1.37B、評価額は$7.87B($8B弱)に達しました。共同リードが5社(WCM Investment Management、Washington Harbour Partners、Valor Equity Partners、137 Ventures、Baillie Gifford)で、JPMorgan Chase Strategic Investment Group がアンカー投資家として入るという、異例に厚い座組みです。CEO の Chris Power 氏は、人員とOpusへの大規模投資に充て、潜水艦・弾薬・ドローン産業基盤といった米国が抱える生産能力の課題に先回りしたいと説明しています。ここがポイントで、AIが「工場を動かすOS」として防衛産業の設備投資に食い込み始めています。
カテゴリ:Defense Tech, Manufacturing Automation
調達額:$1.37B(評価額$7.87B)
投資ラウンド:Series D
投資家:★WCM Investment Management、★Washington Harbour Partners、★Valor Equity Partners、★137 Ventures、★Baillie Gifford、JPMorgan Chase Strategic Investment Group(アンカー投資家)、Andreessen Horowitz、Founders Fund、Lux Capital
発表日:8/6
3、Airtable(Bending Spoons による買収)
概要:ノーコードのデータベース/ワークフロー基盤である Airtable を、イタリアの Bending Spoons が買収します。全額現金の取引で、企業価値(EV)ベースで$1.285B、Airtable のネットキャッシュを加味した株式価値は約$2.25Bです。Airtable は50万を超える組織(Fortune 100 の80%)に使われており、2026年1月には AIエージェントのオーケストレーション基盤「Superagent」を投入していました。ARR は2026年6月時点で前年比20%超成長の約$480Mです。Bending Spoons のCEO兼共同創業者である Luca Ferrari 氏は、Airtable をチームのデータ整理と重要ワークフローの管理を作り変えてきた先駆的なブランドだと位置づけています。Evernote や Vimeo を次々に買ってきた同社が、今度はエージェント基盤を持つSaaSを取りにきた形です。
カテゴリ:No-code Database, Workflow, AI Agent Platform
調達額:$1.285B(全額現金・EVベース/株式価値は約$2.25B)
投資ラウンド:M&A
投資家:★Bending Spoons(買収者)
発表日:8/4
4、Base Power
概要:テキサス州オースティン拠点で、家庭の裏庭に置く蓄電池を束ねて電力系統(グリッド)を支える事業を展開しています。今回の Series D で$1Bを調達し、評価額は$13B(ポストマネー)、累計調達は$2.5B超になりました。同時に自社工場製の家庭用電池「Base Core」(39.2kWh/78.4kWh の2構成)を発表しています。この規模の資金が集まる背景にあるのが、AIデータセンターの電力需要です。データセンターが系統の容量を食い尽くしつつある一方で、新規の発電所と送電線は数年単位でしか増えません。そこで、既に家庭側にある電力を束ねて需給の逼迫を吸収する「分散型のバッファ」に投資が向かっている、という読み方になります。AIの計算需要が電力側のボトルネックに化けていく流れの、需要サイドの受け皿です。
カテゴリ:Energy Storage, Grid Infrastructure
調達額:$1B(評価額$13B・累計$2.5B超)
投資ラウンド:Series D
投資家:★Ribbit、★Addition、★Valor Equity Partners、★JPMorganChase Strategic Investment Group、Altimeter、D1 Capital Partners、Sands Capital、Coatue、Layer Global、Energy Impact Partners
発表日:8/3
5、Valar Atomics
概要:カリフォルニア州ホーソーン拠点で、AIデータセンター向けの小型モジュール炉(SMR)を開発しています。原子炉の実証段階から小型炉の量産フェーズへ移る局面で、最大のターゲット市場に AIデータセンターを据えているのが特徴です。今回の Series B で$1B、評価額は報道ベースで$6Bとされています(公式リリースでは非開示)。加えて $200Mのクレジットファシリティも別途組成しており、こちらは Erebor Bank が主幹事(administrative agent)、J.P. Morgan ほかが協調融資に入っています。リードした Sequoia Capital の Shaun Maguire 氏が取締役に就任しています。前号で扱った Commonwealth Fusion Systems(核融合)が2030年代の話だったのに対し、こちらは既存の核分裂技術を量産で安くする方向です。
カテゴリ:SMR, Nuclear Energy, AI Compute Power
調達額:$1B(評価額は報道ベースで$6B・別途$200Mのクレジットファシリティ)
投資ラウンド:Series B
投資家:★Sequoia Capital(Shaun Maguire)、Atreides Management、Point72、Valor Equity Partners、Snowpoint Cove/クレジットは Erebor Bank が主幹事、J.P. Morgan・Crescent Cove・Hercules Capital が協調融資
発表日:8/3
✨その他、24プロジェクト
Lumilens[$700M超/Series C・累計$900M超]:AIデータセンター向けの光インターコネクトを設計・製造する会社で、今週ステルスを解除しました。GPU同士を直結する scale-up ネットワークと、ラックやクラスタをまたぐ scale-out ファブリックの両方を対象にしています。創業からわずか2年で、初期製品の本番AIデータセンターへの出荷を開始済み(数十億ドル規模の顧客契約下)としています。評価額は$5.51B。共同リードが5社という厚い座組みでした。投資家は ★Atreides Management、★Bain Capital Ventures、★Meritech、★Seligman Ventures、★Spark Capital、他に Addition、Alkeon、Harbourvest、J.P. Morgan Private Capital、Mayfield、MVP Ventures、Qualcomm Ventures、Peak XV、Redpoint Ventures、Seifdune。※8/6発表
OLIX(旧 Flux Computing)[$312M/Series B]:ロンドン発のフォトニックAI推論チップの会社です。光を使う「Optical Tensor Processing Unit(OTPU)」を開発しており、HBM(高帯域メモリ)を必要としない構成をうたっています。推論のデコード段を担うアクセラレータ「DX-1」を2027年下期に投入予定です。評価額は$3.3Bで、2026年2月の$220M調達・$1B評価から半年で3倍超になりました。欧州最大の半導体ラウンドとされています。2024年3月創業で、創業者の James Dacombe 氏は当時24歳。取締役には Nick McKeown 教授が入っています。英政府のソブリンAIベンチャーファンドが出資しているのも特徴です。投資家は ★Fundomo、他に Arm、Hudson River Trading、Reed Hastings 氏(Netflix共同創業者)、英政府 Sovereign AI venture fund。※8/3発表
Volta[$300M/Seed+Series A]:Nvidia Cloud Partner のAIクラウド(neocloud)で、今週ステルスを解除しました。2026年1月に Brookfield 出身の Ricard Boada 氏・Sofia Gumuzio 氏が創業したばかりです。評価額は$2.4B(ポストマネー)、別途 Azora 主導の$5Bのハードウェア調達ファシリティも組成しています。さらに同時に6年・$10Bのコンピュート供給契約**(ノルウェーに133MW、Bitdeer と組成、Nvidia の Vera Rubin 世代)も発表しました。公式リリースでは相手先は “AI lab” とだけ書かれており、Anthropic であることは TechCrunch・Bloomberg が報じたものです。$10Bは調達額ではなく供給契約の金額です。狙いは「Little Tech」、つまりソロ開発者とハイパースケーラー級の契約を結べる大企業の中間にいる層に、与信を付けてGPUを届けることだとしています。投資家は ★Andreessen Horowitz、★Altimeter Capital、他に Nvidia、Michael Dell 氏のファミリーオフィス、Azora、Matter Venture Partners。※8/4発表
Space-Eyes[$251.7M/SPAC合併]:マイアミ拠点の、対ドローン+地理空間インテリジェンスのAI企業です(製品は SeaWatch、Morpheus)。McKinley Acquisition Corp との SPAC 合併で上場します。Nasdaq のティッカーは “CUAS” 予定、クローズは2026年Q4見込みで、グロス調達見込みは信託資産+PIPE で最大$251.7Mです。※7/31発表(前週分)
Moove[$250M/Series C]:自動運転フリートの運用とファイナンスを担うインフラ層です。2020年に Ladi Delano 氏・Jide Odunsi 氏が創業し、当初はアフリカのライドヘイリング運転手向け車両ファイナンスでしたが、いまは Waymo と組んでフェニックスとマイアミでロボタクシーのフリート運用を担い、ロンドンを最初の国際展開先に据えています。13カ国29都市で約4.2万台、ARR 約$420M。評価額は$2.1B。調達資金でAV事業に約350人を採用し、24時間の充電・整備拠点「Nests」を整備する計画です。ロボタクシーは車とモデルの話に見えて、実際に効いてくるのは「誰が車を保有して誰が夜中に充電するか」だという話です。投資家は ★Mubadala Investment Company、★Woven Capital(トヨタ)、★Ion Pacific、他に BlackRock、MUFG、Franklin Templeton、Uber、BlueCrest Capital Management、Sona Capital、Left Lane。※8/5発表
Horizon3.ai[$250M/Series E]:自律型ペネトレーションテスト(NodeZero)の会社で、攻撃者の視点で自社環境を自動的に攻めて穴を見つけます。同社はこれを “AI vs. AI” のサイバー防衛と表現しています。オーバーサブスクライブでの Series E で、評価額は$2B超。2025年6月の Series D 後が$650Mだったので、約1年で3倍です。NightDragon 創業者の Dave DeWalt 氏(元 FireEye / McAfee CEO)と NightDragon MD の Morgan Kyauk 氏が取締役に就任しました。投資家は ★NightDragon、★NEA(いずれも既存投資家の共同リード)、新規に Acrew Capital、Blue Cloud Ventures、Demeter Group、EDBI(シンガポール)、PSG、SAIC、Sapphire Ventures、既存の Craft Ventures、Prosperity7 Ventures、Qualcomm Ventures、Ridge Ventures、SignalFire。※8/3発表
HappyRobot[$150M/Series C]:物流・サプライチェーン向けのエージェンティックAIで、電話の音声エージェントが荷主・運送会社とのやり取りを代行します。DHL、Kuehne + Nagel、Naturgy、Repsol、Uber など150社超のエンタープライズが利用しています。評価額は$1.2B(ポストマネー)でユニコーン入り、累計調達は約$200Mです。投資家は ★Prysm Capital、★Eurazeo、他に a16z、Base10、Y Combinator、Koch Disruptive Technologies、Orange、T.Capital(Deutsche Telekom)、Bankinter、Endeavor Catalyst、Kfund、Wave-X。※8/4発表
Zenity[$125M/Series C]:イスラエル発で、AIエージェントのアイデンティティとセキュリティを担うレイヤーを提供します。「10億体のAIエージェント時代」を守る、というのが同社の掲げ方です。投資家は ★Norwest Venture Partners、新規に Qumra Capital、SoftBank Vision Fund 2、Hitachi Ventures、LG Technology Ventures、既存の Vertex Ventures、Third Point Ventures、DTCP、Intel Capital。※8/3発表
Omilia[$67M(€58.1M)/Series B]:エンタープライズ向けの音声AI/エージェンティックCX(顧客体験)プラットフォームです。アテネとニューヨークに拠点、法人はキプロス。Series A 以降エクイティを調達せずにライブARRを10倍超・$60M超まで伸ばしてきました。200を超えるエンタープライズ導入があり、米Tier1銀行の1社では日次100万コール超を捌いています。顧客は Capital One、Discover、RBC、Taco Bell、英DWP、PSEG など。2026年下期に初の米オフィスを開設予定です。投資家は ★Expedition Growth Capital。※8/6発表
Convex[$57M/Series B]:AIやエージェントが書いたソフトウェアを動かすためのバックエンド(データベース+サーバーレス関数)です。データが変わると自動で反映されるリアクティブな設計で、人が書くよりエージェントが書くコード量のほうが多くなる前提に寄せています。元 Dropbox のインフラエンジニアが創業。累計調達は$110.5M(2022年の Series A は$26M)。資金はエンジニア・PM・マーケ・GTMの採用と機能拡充に充てます。投資家は ★Insight Partners、他に Etna Labs、Spark Capital、Andreessen Horowitz、Justin Kan 氏。※8/4発表
P-1 AI[$50M/Series A]:産業向けのエージェンティックAIエンジニア「Archie」を開発しています。機械・電気・熱・流体・システム設計といった領域の設計作業を担当し、データセンター・自動車・航空宇宙/防衛の顧客に展開しています。サンマテオ拠点、累計調達は$73M(2025年にシード)。元GE会長兼CEOの Jeff Immelt 氏が取締役に、NEA パートナーで元Microsoft副CTOの Lila Tretikov 氏が board observer に就任しました。投資家は ★New Enterprise Associates(NEA)、他にシードをリードした Radical Ventures、Jeff Dean 氏や Peter Welinder 氏らのエンジェル。※7/29発表(前週分)
QuantHealth[$45M/Series B]:臨床試験の結果をAIでシミュレーションするプラットフォームです。患者を実際に組み入れる前に、試験デザインごとの結果を予測して当たりを付けます。製薬側の失敗コストがそのまま削減額になる領域です。投資家は ★Qumra Capital、他に Pitango HealthTech、Sanofi Ventures、Artofin VC、Bertelsmann Healthcare Investments、GC Ventures、NewHealth Ventures、Shoni Top Ventures、Esplanade。※8/4発表
Aurelius Systems[$40M/Series A]:AIと高出力レーザーを組み合わせた自律型の対ドローン防衛システム「Archimedes」を開発しています。人間のオペレーターを介さずに空中の脅威を検知・追尾・無力化するのが売りです。サンフランシスコ拠点、CEO は Michael LaFramboise 氏、CTO は John Marmaduke 氏。従業員は現在19人で、2026年末に40人超を計画しています。投資家は ★Draper Associates、★KAS Venture Partners、他に General Catalyst、Hanwha Defense USA、Outlander VC、Alumni Ventures、Bravo Victor Venture Capital、Detroit Venture Partners、Decisive Point。※8/5発表
Sapiom[$35M/Series A]:AIエージェントのコスト最適化インフラで、モデル呼び出しを適切なモデルへ振り分けるルーターを提供します。「いちばん高いモデルにデフォルトで投げない」のが基本設計で、ある顧客では推論コストを75%削減したとしています。今回あわせて Sapiom Router / Agent Studio / Runtime を発表しました。ローンチ6か月で2.7億トランザクション超、日次10万エージェントラン超。創業11か月、$15Mのシードから6か月での Series A で、累計$50Mです。投資家は ★Dragonfly、他に Accel、Gradient、Coinbase Ventures、Operator Collective、Formus Capital、VanEck Ventures、既存の Okta Ventures、Menlo Ventures、Anthropic、Array Ventures。※8/5発表
Naïve[$28.5M/Series A]:AIエージェントが自分で会社を設立して運営するためのAPIです。法人設立、バーチャルカードの発行、コンピュート、メモリ、マルチエージェントのオーケストレーションまでを一式で提供します。パロアルト拠点で、創業は Sean Dorje 氏・Dennis Zax 氏。エージェントが経済主体として振る舞う前提を、そのまま事業にしたタイプの会社です。投資家は ★Nexus Venture Partners、他に Y Combinator、Zetta Venture Partners、Liquid 2 Ventures、エンジェル。※8/6発表
June[$20M/Pre-seed]:企業システムをスキャンして業務プロセスとボトルネックを特定し、AIエージェントのワークフローを自動生成します。Salesforce、ServiceNow、Workday といったレガシーと接続するのが前提です。共同創業者の Efrat Rapoport 氏は「AIは逆説的にプロフェッショナルサービスの需要を増やしている。業界のAI導入への答えが『もっと人を雇おう』になっている」「AIが価値を生む前に、誰かがレガシーシステムを片付けなければならない。データがプラットフォームをまたいで分断されている」と指摘しています。プレシードで$20Mという規模と、Marc Benioff 氏がリードした点が目を引きます。評価額は非開示。投資家は ★Time Ventures(Marc Benioff 氏)、他に Michael Dell 氏、Aaron Levie 氏、George Kurtz 氏。※8/3発表
Buzz Solutions[$20M/Series A]:送配電設備の点検画像をAIで解析して障害を予測します。電力インフラの老朽化と、データセンター需要による系統の負荷増が同時に来ている局面で、点検の自動化はコストではなく信頼性の話になっています。投資家は ★S3 Ventures、他に GoPoint Ventures、HearstLab、Blackhorn Ventures。※8/4報道
Balance Theory[$19M/Series A]:サイバーセキュリティ投資の計画・市場インテリジェンス・実行を1つに束ねるAIネイティブな基盤です。AIエージェントと自動ワークフローで購買判断とポートフォリオ管理を支援し、現在$1B超のセキュリティ投資支出を管理しているとしています。Accuvant 創業者で元 Optiv CEO の Dan Burns 氏が executive chairman に就任しました。投資家は ★SYN Ventures、他に DataTribe、TEDCO(いずれも既存)。※7/31発表(前週分)
Smallest.ai[$13M/Series A]:リアルタイム会話AI向けの特化型・小型音声モデルを開発しています。小さい専用モデルで速度を稼ぎ、複雑なクエリだけ大規模LLMに回す構成です。訛りや多言語、騒がしい環境にも対応するとしています。「自社のモデルにチューリングテストを破らせたい。話しても人間かAIか分からない状態にする」というのが目標です。顧客に RingCentral、Truecaller。ElevenLabs や Cartesia と競合します。累計調達は$21M超、評価額は非開示。投資家は ★Seligman Ventures、他に Sierra Ventures、3one4 Capital。※7/31発表(前週分)
Malachyte[$10M/Seed]:DTC の EC 向けAIパーソナライゼーションで、ログインしていない訪問者の行動インテリジェンスを扱います。Spotify のレコメンドエンジンを支える行動インテリジェンス基盤を作っていた Sidd Motwani 氏・Ian Anderson 氏・Shivaditya Sinha 氏が創業しました。投資家は ★Bessemer Venture Partners、他に Gradient Ventures、Harpoon Ventures。※8/6発表
Avatar Robotics[$6.5M/Seed]:倉庫・工場向けの遠隔操作ヒューマノイドロボットで、ピッキングと梱包を担います。完全自律ではなく人が遠隔で入る前提の設計です。投資家は ★AlleyCorp、他に defy.vc、Headline VC、Refashiond Ventures、Henry Ford III 氏ほかエンジェル。※8/5報道
Exclaim Robotics[$4.95M/Pre-Seed]:稼働中のサーバーラックを保守するデータセンター向けロボットを開発しています。データセンターが増えれば増えるほど、中で手を動かす人の確保が効いてくる、という着眼です。投資家は ★Playfair Capital、★Founderful。※8/4報道
Agency(Klaviyo による買収)[金額非開示/M&A]:AIエージェント/マーケティングの Agency を、マーケティング自動化の Klaviyo が買収しました。Agency は Elias Torres 氏(Drift 共同創業者)が創業した会社です。取引額は非開示です。※8/5発表
Humigent[金額非開示/Series A]:ライフサイエンス向けのAIを手がけます。調達額・評価額はいずれも非開示です。投資家は ★Z21 Ventures、他に First Rays Ventures。※8/3報道
今週の見立て
今週は前号に続いて、AIの外側にあるインフラに金額が寄り続けた週でした。しかも今回はっきりしたのは、そのインフラが「電気」と「光」と「工場」に分かれて同時に走っているという構図です。
まず電気です。Base Power が$1Bを$13B評価で、Valar Atomics も$1Bを取りました。前者は家庭の蓄電池を束ねて系統の逼迫を吸収する需要サイド、後者はAIデータセンター向けの小型炉という供給サイドです。前号の Commonwealth Fusion Systems(核融合・$1B)と並べると、同じ「AIが電気を食い尽くす」という前提に対して、今すぐ効く分散バッファ・数年で効く小型炉・2030年代の核融合という3つの時間軸に、それぞれ$1B規模の資金が別々に張られていることになります。1つの問題にこれだけ違う賭けが同時に成立するのは、それだけ需要見通しが疑われていないということです。
次に光と配線です。Lumilens が$700M超でステルスを解除し、OLIX が$312Mを$3.3B評価で調達しました。前者はGPU間およびラック間をつなぐ光インターコネクト、後者はHBM不要をうたうフォトニック推論チップです。前号でも Eliyan が電気-光変換のインターコネクトでユニコーン入りしていました。演算そのものではなく、データをどう運ぶかにお金が向かっているのは3週連続の傾向です。ここは物理法則が絡む分、ソフトウェアのように一晩で追いつけません。
そして工場と防衛です。Hadrian の$1.37B(評価額$7.87B)は今週2位で、AIを「工場を動かすOS」として売る会社に防衛産業の設備投資が乗った案件でした。Aurelius Systems の$40M(対ドローンレーザー)、Space-Eyes の SPAC(対ドローン地理空間AI)、Exclaim Robotics の$4.95M(データセンター保守ロボ)と、AIが物理世界の作業に降りてくる案件が金額の上下を問わず並んでいます。
一方で、ソフトウェア側にも見どころはありました。Airtable の$1.28B買収は、AIエージェント基盤(Superagent)を持つSaaSが、独立を選ばずに買われた例です。ARR $480Mで前年比20%成長という数字は悪くないのに、単独での上場ではなく Bending Spoons の傘下を選びました。ここがポイントで、エージェント時代の「そこそこ良いSaaS」の出口が、IPOではなくロールアップ側に寄りつつあります。
エージェントまわりの配管も静かに厚いです。Zenity $125M(エージェントのID/セキュリティ)、Horizon3.ai $250M(自律ペンテスト)、Balance Theory $19M(セキュリティ投資の意思決定)、Sapiom $35M(モデルルーティングでコスト最適化)、Convex $57M(エージェントが書くコードのバックエンド)、Naïve $28.5M(エージェントが会社を作るAPI)。エージェントを動かすと必ず出てくる「権限・コスト・実行環境」の3つに、それぞれ資金が付いています。前号で「エージェント元年の後片付けを担う会社に先に資金が付き始めた」と書きましたが、今週はその後片付けの内訳がもう少し細かく見えてきた、という感じです。
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