【8/8(土)~8/12(水)News Report】Harmonyで供給の約26%が不正発行、ロールバック検討 / 米SECが「Regulation Crypto」を8/14に提案へ / VitalikがEthereumのロードマップを刷新など
主要ニュースまとめ
おはようございます。 8/8(土)~8/12(水)の主要ニュースを紹介します。
Pickup News
Harmonyで約40億ONEが不正に発行、総供給の約26%が増発。チェーンのロールバックを検討
攻撃者がHarmonyのネイティブトークンONEを約40億枚、新規発行(ミント)しました。総供給の約26%にあたる規模です。X上の分析アカウントの推計では、このうち約28億枚がすでに取引所へ送られ、チェーン上に残っているのは約1.15億ONE、発行分の2.9%にとどまるとされています。ONEはCoinGeckoのデータでは24時間で33.9%下落しています。
Harmonyは取引所と連携して該当資金の凍結を進めながら、パッチの準備と、取引履歴を巻き戻すロールバックを検討していると報じられています。原因も正確な数量も入金先も、Harmony自身はまだ確認していません。同社にとっては2022年6月のHorizon Bridgeハック以来の重大インシデントです。
つまり、増発された大半がすでに換金経路へ抜けた後で、残る手段がチェーンの巻き戻しという段階に入っています。同じ週にRavencoinもロールバックを検討しており、L1が過去の取引をなかったことにできるのかという問いが、2件同時に立ち上がりました。
米SEC、証券登録によらない資金調達枠「Regulation Crypto」を提案へ。8/14に公開会合
SECが2026年8月14日10:00 ETに、「Regulation Crypto」を提案するかどうかを審議する公開会合を開きます。証券登録をフルに行わないまま資金調達できる専用枠を設ける構想で、プロジェクトが十分に分散化し、創業者が能動的な運営から退いた時点でSECの管轄を抜けられる設計です。Decryptはこれを「創業者が能動的な運営に関与しなくなった時点で、SECの管轄から出る道」と表現しています。
Atkins委員長は以前、スタートアップに最長4年程度の免除期間を与える構想(regulatory runway)に言及していました。最終的な規則になるまでには数ヶ月かかる見込みです。
背景にあるのは、上院が市場構造法案であるCLARITY法を夏の休会前に処理できなかったことです。アナリストのJaret Seibergは「SECが暗号資産に規制上の確実性を与えるために行う、複数の規則制定の第1弾になる」と述べています。要は、議会が止まっている間に、ルール作りの主導権が立法から行政へ移りつつあります。
Vitalik Buterin、Ethereumのロードマップを刷新。量子耐性とAI支援の形式検証を最優先に
Vitalik Buterinが、2023年版のロードマップと現行の「Strawmap」を比較した更新版を公開しました。優先度が上がったのは、量子耐性とプライバシー、ゼロ知識証明の一種であるSTARKsとAI支援による形式検証(プログラムが仕様どおりに動くことを数学的に証明する手法)、そして仕様のLean化の3点です。
AIの進歩によって、形式検証が実運用の規模でも回せるようになったというのがVitalikの主張です。あわせて、チェーン上のあらゆる活動を最大化するのではなく、トークンの送金・スワップ・プライバシーに絞ってスケーリングを進める方針を示しました。
「Ethereumは量子耐性を持つ。Ethereumはユーザーのプライバシーを最優先する。Ethereumは安全である」というのが刷新後の宣言です。ここがポイントで、汎用の計算基盤としてどこまでも広げる路線から、守るべき機能を絞って堅くする路線へ、優先順位の付け方そのものが書き換わりました。
その他のニュース
Riot Platforms、テキサスのBTCマイニング拠点を20年間AIデータセンターへ。契約規模は約$9B
Riot Platformsが、テキサス州Rockdaleのキャンパスで191MWを20年間供給する契約を結びました。Riotのプレスリリースは相手先を「leading frontier AI」企業とだけ記しており、契約規模が約$9Bであることも、相手先がAnthropicであることも、いずれもBloombergの報道です。
市場の反応は明確でした。Riot株は月曜に5.4%下落した後、時間外で21%超上昇し、年初来では53%超高となっています。
つまり、BTCの採掘に使ってきた電力と土地が、そのままAI計算向けの賃貸資産として評価し直されています。
Keel、米国のビットコインマイニングを停止しAIへ転換。Q2売上は50%減
Keelが米国でのビットコインマイニングをすでに停止(設備の運用停止)し、AI事業へ転換すると発表しました。四半期の売上高は$30Mで前年同期比50%減、営業損失は$141Mです。
同じ週にRiotが自社の採掘拠点を20年契約でAIデータセンターに振り向けており、規模も体力も違う2社が同じ方向へ動いた格好です。
要は、採掘一本で採算を取るのが難しくなった事業者から順に、手元の電力と設備の使い道を組み替えています。
ビットコインマイナーの収益に占める手数料比率が0.7%未満に。過去10年で最低
マイナーの収益に占める取引手数料の比率が0.69%と、過去10年で最も低い水準圏にとどまっています。今年4月には0.52%まで沈む場面もありました。
マイナーの収入はブロック報酬と取引手数料の2本立てで、報酬は半減期ごとに減っていく設計です。手数料が伸びなければ、収益はブロック報酬側に寄っていきます。
ここがポイントで、RiotやKeelが電力の使い道をAIへ振り向ける判断と、この数字は地続きです。
Luke Dashjr、BIPエディタを解任される。BIP-110フォークが止まった2日後
開発者のMark Erhardtが日曜に解任の変更提案(プルリクエスト)を出し、Jon Atackがこれをマージしました。理由は、DashjrがBIP-110の作成に深く関与しながら、エディタとして同じ提案を優遇した疑いです。メーリングリストでの議論前にBIP番号を割り当てようとした、更新を即座にマージした、といった点が挙がっています。
BIP-110は、Bitcoinのトランザクションに任意のデータを埋め込むことを制限する提案です。
Dashjrは「これはCoreによる権力の乱用にすぎない。彼らにそんな権限はない」と反発しています。つまり、提案の中身をめぐる対立が、提案を管理する役職そのものの争いへ移りました。
物議を醸したBitcoinフォーク「BIP-110」、2ブロックだけ採掘して停止
BIP-110を実装した分岐チェーン(フォーク)は、本家Bitcoinの採掘難易度を引き継いだまま採掘シェアが極小だったため、稼働から8時間で2ブロックしか生成できず、そのまま停止状態に入りました。同じ8時間で本家は48ブロック進んでいます。
有効化の条件も満たせていません。過去2週間のシグナル率は2.53%で、必要とされる55%には遠く及びませんでした。
要は、支持の薄さが、そのままブロックの出ない遅さとして表に出た形です。この2日後にDashjrの解任が続きました。
Bitcoinの新フォーク「eCash」、8/23から3段階でローンチ
eCashはAlphaを8月23日(ブロック963,648)、Betaを9月20日(967,680)、正式版を10月31日(973,728)と、3段階で立ち上げます。主導するのはLayer Two Labs共同創業者のPaul Sztorcです。
分岐した時点のBTC保有者には、保有量と同量が配布されます。国内ではGMOコインが、該当時期にBTCの取引・入出金を停止する可能性を告知しています。
つまり、日本の利用者にとっては思想の話ではなく、その日に自分の資産が動かせるかどうかという実務の話になります。
Ravencoin、重大な脆弱性で過去4日分の取引をロールバックする可能性
Ravencoinでブロックに関わる重大な欠陥が見つかり、過去4日分のトランザクションを巻き戻す可能性が出ています。
同じ週にHarmonyもロールバックを検討しており、独立した2つのL1が数日のうちに同じ選択肢を机に載せました。
つまり、取引が確定したという前提そのものが、チェーンの規模によっては揺らぎ得ることが続けざまに示された週でした。
米上院、CLARITY法の採決日を9月15日軸に調整へ — 討論打ち切り見送りの続報
Thune院内総務の事務所が業界側に、休会前にクローチャー(討論打ち切り)動議を提出する意向を伝えていたことが、記者のEleanor Terrett経由で明らかになりました。Moran議員は9月の本会議審議の日程で合意が形成されつつあると理解していると述べ、9月15日が候補に挙がっています。
前号でお伝えしたとおり、上院は結局クローチャーを申請しないまま8月休会に入りました。争点として残っているのは、ステーブルコインの利回り、銀行業界からの修正圧力、ホワイトハウスの倫理規則です。
つまり、期限が消えたのではなく9月へ移った、というのが今の位置です。
CFTC、緊急権限を行使してKalshiのニューヨーク州での営業継続を命令
Kalshi自身が市場の緊急事態をCFTCに届け出たことを受け、CFTCがニューヨーク州の提訴後も予測市場の提供を止めないよう命じる緊急命令を出しました。
予測市場については連邦と州のどちらの管轄が及ぶかが争点になっており、CFTCはすでに9州を提訴しています。連邦側が押し返す構図が固まりつつある局面です。FlightAwareもフライト欠航データの不正利用を理由にKalshiを提訴しましたが、提訴の翌日には自ら取り下げています。
要は、州から止められかけたKalshiが連邦当局に駆け込み、営業継続の後ろ盾を得た格好です。
ロシア中銀、9/1から個人の暗号資産取引をBTC・ETH・USDTの3銘柄に限定 — 暗号資産法署名の続報
規則案では、2026年9月1日から規制対象の取引所における個人の取引がBTC・ETH・USDTのみになります。ステーブルコインで認められるのはUSDTだけです。
非適格投資家にはブローカー1社あたり年30万ルーブル(約$3,600)の購入上限が付きます。枠はブローカーごとに立ち、複数社を合算する形ではありません。適格投資家には上限が設けられておらず、国内での暗号資産決済の禁止は維持されます。
前号のプーチン大統領による法署名を受けた運用細目にあたります。つまり、投資対象としての入口を開けたうえで、通す銘柄と量を中銀が絞り込みにきました。
韓国、暗号資産送金のトラベルルール下限を撤廃。100万ウォンからゼロへ
送金人と受取人の情報を事業者間で共有する義務(トラベルルール)の適用下限が撤廃され、登録済みの暗号資産事業者(VASP)間の送金は金額にかかわらず全件が対象になります。
韓国のFIU(金融情報分析機関)は「2億ウォンを入金した後、100万ウォン未満の出金を216回に分けた」事例を挙げ、下限を使った分割回避を問題視しました。VASPの登録規定は8月20日施行、トラベルルールの拡大とAML要件は政令公布から6ヶ月後で、既存事業者には一部要件で追加1年の猶予があります。
つまり、金額でふるいにかける方式そのものが、抜け道になると判断されました。
イングランド銀行、Digital Pound LabをPhase 2へ。Polygon Labsらが参加
参加するのは英フィンテックのNOBO Finance、Dun & Bradstreet、Polygon Labsです。検証テーマは2つで、ウォレットのデータとオープンファイナンス、企業情報を束ねた中小企業向けの持ち運べる与信プロファイルと、輸出者がステーブルコインで前払いを受けて英国の輸入者が将来のデジタルポンドで支払う売掛債権の資金化(invoice factoring)です。
実際の顧客や実資金は使いません。結果は2026年後半に予定されるイングランド銀行と英財務省の共同評価に反映されます。
Polygon Labs CEOのMarc Boironは「公的なものと民間のもの、中央銀行が発行する通貨とステーブルコインが、ともに機能しなければならない」と述べています。要は、CBDCとステーブルコインをどちらか選ぶ話としては設計されていません。
Fidelity、運用資産$898MのEther ETFにステーキングと四半期分配を加える届出
FidelityがEther ETF「FETH」の登録届出を修正し、通常時は保有ETHの最大100%をステークできるようにします。最低基準は設けていません。
報酬はファンドが85%を保持し、残る15%をファンドスポンサー、カストディアン、ノードオペレータ(Blockdaemon、Figment、Galaxy)へ配分します。純報酬はまず経費に充て、残りを四半期ごとに現金で分配します。
つまり、ETFの中身が「ETHを預かるだけの器」から「ETHを働かせて分配まで出す器」へ寄ってきました。
Coinbase、英国でデリバティブ取引を開始。プロ投資家限定で最大50倍の無期限先物
対象はプロ投資家に限られます。期限のない無期限先物は最大50倍・170資産超・24時間取引、期限付き先物は最大20倍で、オプションは暗号資産のみが対象です。
土台になっているのは、7月7日にFCAから取得したMiFIDライセンスです。英国では2021年以降、個人向けの暗号資産デリバティブは禁止されたままです。
要は、英国の扉はまだ半分しか開いておらず、開いた側にいるのはプロだけです。
ENS保有者投票、約$65Mの基金の運営権を有給スタッフを置く財団へ移管
ENSの保有者投票は、賛成1,269,420 ENS、反対480,690 ENSで可決しました。財団へ100万ENS(約$4.2M)を移し、立ち上げ費用の上限は$50万に設定されています。
ENSの価格は$4.16、時価総額は$174.9M、直近30日のペースで見たプロトコル収益は年換算で約$2.7Mです。基金(エンダウメント)の規模はその20倍以上にあたります。
つまり、投票で都度決めるより、給料を払って運用する人を置く方が資産を守れるという判断です。
暗号資産企業ら、AI大手にビットコイン開発者への早期モデルアクセスを求める公開書簡
Bitcoin Policy Instituteらが連名で、AI企業に対し「オープンソースの金融インフラを守る適格な担い手に向けた、常設の信頼済みアクセスプログラムの設置または拡大」を求めました。署名にはAnchorage Digital、BitGo、Bitwise、Blockstream、Kraken、Ledger、MARA、Trezorなどが並びます。
根拠として挙げられているのは、Bitcoin単体で$1T超の価値を守っていることと、2026年4月だけで$634Mの暗号資産ハック被害が出たことです。前号で取り上げたBitcoin Red Teamの一斉監査に続き、防御側がAIを道具として要求する動きが続いています。
書簡は「専用のアクセスプログラムがなければ、防御側は自分たちが維持するインフラへの脅威の進化に追いつく道具を持てないかもしれない」と述べています。要は、最新モデルを誰が先に触れるかが、そのまま防御力の差になるという主張です。
BCCC、税制部会を新設。ステーブルコイン・DeFiの評価方法や損益認識を議論へ
ブロックチェーン推進協会(BCCC)が税制部会を新設しました。テーマは損益認識、ステーブルコインとDeFiの評価方法、取引データの管理です。
部会長は税理士で税理士法人ファシオ・コンサルティング代表の八木橋泰仁氏、副部会長は村上裕一公認会計士事務所の村上裕一氏です。キックオフは2026年9月15日16時に東京で開かれます。
日本では暗号資産の規制根拠を金融商品取引法へ移す改正法が2026年7月15日に成立しました。つまり、器が変わった後の実務、とくに損益をどう測るかがこれから詰められます。
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