Yellow Card FinancialにSC Ventures等が$40M出資、InvestiFiにVibe Credit Union等が$20M出資、など全11PJ【資金調達PJまとめ】
直近1週間の資金調達情報をまとめました。
おはようございます。 今日は「今週1週間(8/1〜8/7)の資金調達PJのまとめ」です。
💥調達金額上位5プロジェクト
1、Yellow Card Financial
概要:アフリカ発のステーブルコイン決済インフラ/取引所です。今回の$40Mは戦略ラウンドで、公式リリースにリードの指定はなく、Standard Chartered の投資部門 SC Ventures、Sony Innovation Fund、Polychain Capital、Blockchain Capital、そして「追加の戦略投資家」が名を連ねています。資金は法人向けのドル口座「Global USD Accounts」のスケールと、そこに接続するステーブルコイン送金レールの各国展開に充てられます。これで同社のエクイティ調達総額は$120M超になりました。
カテゴリ:CEX, Finance/Banking
調達額:$40M
投資ラウンド:Strategic
投資家:SC Ventures by Standard Chartered、Sony Innovation Fund、Polychain Capital、Blockchain Capital、他(※公式リリースにリード表記なし)
発表日:8/4
2、InvestiFi
概要:信用組合(クレジットユニオン)や地域銀行が、自行のネットバンキング画面の中で株式・ETF・暗号資産・ステーブルコインの取引を提供できる、ホワイトラベル型の組込み投資プラットフォームです。当座・普通預金からそのまま投資に回せる「Investing from Checking」を差別化点に置いています。今回の$20Mは ★Vibe Credit Union がリードし、BankTech Ventures と CUSO(信用組合向けサービス会社)の Navari(旧CUSG)に加えて、Idaho Central、United Financial、Coastal、Mid Minnesota、Truity、Southpoint の各信用組合が並びました。つまり出資者の顔ぶれがほぼそのまま顧客リストになっています。公式リリースも「$20 million in funding」とだけ書き、シリーズ名は公表されていません。※7/29発表(前週分)
カテゴリ:Finance/Banking
調達額:$20M
投資ラウンド:未公表(シリーズ名の開示なし)
投資家:★Vibe Credit Union、BankTech Ventures、Navari(CUSO・旧CUSG)、Idaho Central Credit Union、United Financial Credit Union、Coastal Credit Union、Mid Minnesota Credit Union、Truity Credit Union、Southpoint Credit Union
発表日:7/29
3、Dow Protocol
概要:越境ECのマーチャント向けに、売掛債権を担保にした運転資金をオンチェーンで前貸しするRWAファイナンス基盤です。前号で$9Mとお伝えした Dow Protocol ですが、8/7に$10.5MのSeedとして改めて公表されました。評価額と資金使途は非開示です。今回公表された投資家は MH Ventures、Mapleblock Capital、Animoca Brands、Arcane Group、HSK Chain、Essentia Partners、Quartet Group で、7月時点で各媒体が投資家として報じていた OKX Ventures は含まれていません。なお8/3に OKX Ventures は公式Xで Dow Protocol への出資を全面的に否定し、自社を騙って提携や出資話を持ちかけるなりすましを検知したとして、法的措置も辞さないと警告しています。
カテゴリ:Real-World Assets, DeFi, Payment
調達額:$10.50M
投資ラウンド:Seed
投資家:MH Ventures、Mapleblock Capital、Animoca Brands、Arcane Group、HSK Chain、Essentia Partners、Quartet Group(※報道にリード表記なし)
発表日:8/7
4、Vangrid
概要:スマホなどのエッジ端末を巨大なセンサーネットワークに変え、実世界の空間データ(ground truth)をリアルタイムに供給する DePIN です。貢献者がスマホで現実の場所を撮影し、それを3Dの空間モデルに再構成して、検証をオンチェーンで行う、というのが CEO の Brighton 氏の説明です。狙う先は Physical AI、ワールドモデル、自律システムで、具体的には身体性を持つAI・自律物流・重要インフラ・防衛まで挙げています。エッジ側での秘匿計算、来歴の暗号学的な証明、多視点からの取り込み、法人向けの空間APIを組み合わせ、自前でセンサー網を敷かなくても継続更新される空間データを使える状態を作る設計です。
カテゴリ:DePIN, AI, API, Data Service, Infrastructure
調達額:$9M
投資ラウンド:Seed
投資家:HashKey Capital、Borderless Capital、Crypto.com Capital、Animoca Brands、Gate Labs、Mapleblock Capital(※リード表記なし)
発表日:8/6
5、JPYC
概要:日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行体による、シリーズBのエクステンションラウンドです。今回の新規引受先は物流大手の AZ-COM丸和ホールディングス(東証9090)1社で、B1種優先株式11万6,000株を1株8,630円、総額¥10億108万円(約$6.1M)で引き受けました。払込期日は7/30、出資後の議決権比率は2.9%です。これでシリーズBの累計は約¥60億(約$38M)に到達しています。狙いは資本業務提携で、AZ-COM丸和は約2,300の取引先・個人事業主(トラックドライバーを含む)への支払いに JPYC を使う構想を掲げています。
カテゴリ:Stablecoin, Ethereum / Polygon / Avalanche Ecosystem
調達額:¥10億108万円(約$6.1M)/シリーズB累計 約¥60億(約$38M)
投資ラウンド:Series B extension
投資家:AZ-COM丸和ホールディングス(※公式にリード表記なし)
発表日:8/5
✨その他、6プロジェクト
Bundle[$5.50M/Pre-seed]:UAE(ドバイ)拠点の、ブロックチェーンを使ったリワード基盤です。複数のブランドがそれぞれのインセンティブ予算を1つの共通プールに持ち寄ることで、単独では出せない大型報酬を出しつつ、各社の顧客獲得コストを下げる、という設計になっています。今後はシンガポール・ベトナム・フィリピンへ展開する計画です。投資家は ★Ethereal Ventures と ★Further(Further Ventures)の共同リードで、他に Nascent、GSR Markets、Anchorage Digital、Scenius Capital、Nuwa Capital が参加しています。※7/30発表(前週分)
Yooldo Games[$1M/Strategic]:韓国の古典小説を題材にしたマルチバース型のP2Eゲームプラットフォームです。プレイヤーがメタバース上でキャリアを積み上げていく設計を掲げています。今回は FZF Ventures 単独の出資です(報道は “led by” と表記)。2024年1月にも評価額$13Mで$1.5Mを調達しており(投資家14社)、そこからの追加になります。※8/5発表
ZIGChain[金額非開示/Strategic]:UAE拠点の、資産運用に特化した Cosmos SDK ベースのL1です。CosmWasm で DeFi・RWA アプリを作れるほか、Wealth Management Engine が運用者向けに戦略の組成・配信基盤を提供します。今回出資したのは野村ホールディングス傘下の Laser Digital で、金額は開示されず、報道では「single-digit millions(数百万ドル台)」規模とされています。特徴的なのは資金だけの話ではない点で、Laser Digital はプロダクトの組成、リスクフレームワークの設計、ボールトのガバナンス参加まで担います。湾岸地域のプライベートクレジット(シャリア準拠のものを含む)をオンチェーン化するのが当面の狙いです。純粋な資金調達というより出資を伴う業務提携に近い性格の案件です。※8/5発表
Fortune Protocol[金額非開示/Pre-A]:予測市場向けの流動性インフラで、AI予測デリバティブ・プロトコルを名乗っています。複数の予測市場に散らばった流動性を1つの取引画面に集約し、断片化・非効率なプライシング・参入障壁の高さを解消するのが狙いです。調達額も評価額も非開示です。投資家は MH Ventures、Mapleblock Capital、NewTribe Capital、Basics Capital、Everwood Capital で、加えて NOX Ventures がアドバイザー兼戦略パートナーとして参加しています。リードの指定はありません。※8/3発表
Licuido[金額非開示/Strategic]:英国のFCA規制下で、トークン化とデジタル取引のプラットフォームを運営しています。ファンド持分をはじめとする伝統的な金融資産の発行・流通・取引を担い、それらをそのままデジタル担保として使えるようにする点が特徴です。今回 Ripple が戦略出資しました。金額・出資形態は開示されていません(一部媒体は equity stake と表現)。※8/3発表
Zilo[金額非開示/Strategic]:同じく英国拠点で、機関投資家向けのアセットマネージャー・ウェルスマネージャーに、クラウドネイティブな**トランスファーエージェンシー(受益者名簿の管理)**とファンド管理技術を提供しています。トークン化されたファンドの受益権クラスを扱いながら、デジタルの株主記録を維持できる、というのが売りです。こちらも Ripple の戦略出資で、Licuido と同一の8/3発表に含まれていました。金額は非開示です。※8/3発表
今週の見立て
今週は11件と件数自体が控えめで、しかも $40M の Yellow Card と $20M の InvestiFi を除けば全部$10.5M以下、さらに11件中4件が金額非開示という構成でした。数字だけ見ると静かな一週間です。ただ、投資家の側を見ると1本の線が通っています。Standard Chartered(SC Ventures)、野村(Laser Digital)、Ripple、米国の信用組合7行、そして東証上場の物流会社。Top2 と金額非開示の案件に絞って出し手を見ると、暗号資産ネイティブのVCというより既存金融・既存産業のバランスシートが目立ちます。
しかも、その多くが「出資して終わり」になっていません。InvestiFi は出資者がそのまま導入先の信用組合ですし、ZIGChain では Laser Digital がプロダクト組成とリスク設計とボールトのガバナンスまで入り込みます。JPYC に至っては、AZ-COM丸和が約2,300の取引先への支払いに JPYC を使う構想とセットです。Ripple が同じ日に Zilo と Licuido の2社へ入ったのも、トークン化ファンドの名簿管理と流通・担保化という隣接する2つの配管を一度に押さえた動きと読めます。資本と業務が最初から抱き合わせになっている、というのが今週の共通項です。
もうひとつ、今週いちばん実務的に役に立つ話は Dow Protocol まわりでしょう。7月末に「OKX Ventures がリードした$9M」として広く報じられた案件について、8/3に OKX Ventures 自身が出資を明確に否定し、自社を騙って提携や出資話を持ちかけるなりすましを検知したと警告しました。そして8/7の再発表では、投資家リストから OKX Ventures が消えています。因果関係の説明は誰からも出ていないので、ここは並べるだけに留めます。
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