【Co-Invest】ChatGPTとClaudeの中で取引が完結する、AIネイティブな投資プラットフォーム / @coinvestai
「自分で板を見て発注する」から「AIに相談して任せる」へ。Liquidが描く"資本配分のシンギュラリティ"とは
おはようございます。
今日は「Co-Invest」をリサーチしました。
概要|Co-Investとは?
変遷|25歳の元Two Sigma科学者がつくる”AIネイティブ証券”
考察|「会話で投資する」は主流になるか
TL;DR
Co-Investは、暗号資産の無期限先物アグリゲーターとして始まったLiquid(liquid.trade)が2026年5月26日にローンチした、ChatGPTとClaudeの中で直接取引できるプロダクトです。AIアシスタントとの会話の中で、市場分析からポジション構築・発注までが完結します。
暗号資産だけでなく株式・FX・コモディティ・予測市場・Pre-IPO株まで計500以上の市場に対応し、資金はユーザーのウォレットに置いたままのノンカストディアル構造。執行はHyperliquid・Lighter・Ostiumなどへルーティングします。
「市場を見る」UXが「超知能に相談して任せる」UXへ移る転換点を示すプロダクトです。一方、最大200倍のレバレッジ取引をAI経由でリテールに開く設計には、規制・責任所在・依存リスクという重い論点もついてまわります。
概要|Co-Investとは?
Co-Investは、ニューヨーク拠点のスタートアップLiquidが提供する「AIの中で動く取引インターフェース」です。
ユーザーはChatGPTのアプリディレクトリ、またはClaudeのカスタムコネクタからLiquidを接続し、いつも使っているAIアシスタントとの対話の中で「いまBTCのファンディングレートはどうなっている?」「テスラ株をこの想定でショートしたい」といった相談から、実際の注文執行までを一気通貫で行えます。
Liquid自身は2025年8月にローンチした、24時間取引できるマルチアセット・レバレッジ取引プラットフォームです。もともとは複数の無期限先物(パーペチュアル)取引所をまたいで最良執行を取りにいく「パーペDEXアグリゲーター」として始まり、その後に株式・FX・コモディティ・Pre-IPO株などへ対象を広げました。Co-Investは、その実行レイヤーの上に「AIネイティブな入り口」を被せたものと理解すると分かりやすいです。
5月26日のローンチで、ChatGPTの数億人規模のユーザーベースに対して「会話から投資する」体験が一気に開かれました。
◼️解決する課題
Co-Investが狙うのは、リテール投資家がいま直面している以下の摩擦です。
ツールの分断: 市場調査ツール → 取引プラットフォーム → 発注画面、と複数のウィンドウを行き来する非効率
機関投資家との情報格差: 高度な分析・板の読み・クロスアセットの一元管理は、これまで機関投資家側に偏っていた
感情的な売買: 「恐怖と欲」に駆動される判断(過大なポジションサイジング、ナラティブへの過熱)
クロスアセットの煩雑さ: 株・暗号資産・FX・Pre-IPOがそれぞれ別プラットフォームに分散している
Liquidはブログで、これを「恐怖と欲に駆動される市場から、知能が織り込まれた合理的な資本配分へ」という言葉で表現しています。AIを”超知能のアナリスト”として個人の隣に置き、機関投資家レベルの意思決定を民主化する、という主張です。
◼️プロダクトの柱
1. AI分析の統合
ファンディングレート、清算マップ(リクイデーションマップ)、オンチェーンフロー、ニュース要約とマクロの文脈を、出典付きでAIが提示します。決算・中央銀行の決定・ETFフローといったイベント別のトレード・カタリストも整理して見せます。
2. ポジション管理とリスク制御
複数アセットにまたがるポジションを一元管理し、口座残高とリスク許容度に応じたポジションサイジングを自動で提案します。発注確認の前に、サイズ・ストップロス・テイクプロフィットをインラインで編集できます。
3. 執行のセキュリティ(明示的な確認が必須)
Co-InvestはAIが勝手に発注しません。すべてのトレードはユーザーの明示的な確認を必須とし、確認カードにシンボル・方向・サイズ・レバレッジ・根拠が表示されます。リスクなしで試せるペーパートレードモードもあります。
4. ノンカストディアル&マルチベニュー・ルーティング
ユーザーの資金はウォレットに留まり、Liquidはあくまで最良執行を取りにいくルーティング層として機能します。執行先はHyperliquid・Lighter・Ostiumなどです。
◼️”AIネイティブ”であることの意味
注目すべきは、Co-Investが「取引アプリにAIチャットを足した」のではなく、「AIアシスタントの中に取引機能を埋め込んだ」という設計思想の逆転です。
入り口がChatGPT・Claude側にあるため、ユーザーは新しいアプリの使い方を覚える必要がありません。これは前週に取り上げたロビンフッドの「Agentic Trading」や、MoonPay×ChatGPTと同じ大きな潮流「金融行動の起点がAIアシスタントに移る」の最前線に位置します。
変遷|25歳の元Two Sigma科学者がつくる”AIネイティブ証券”
◼️創業背景
Liquidは「機関投資家グレードのインフラを、リテールトレーダーに民主化する」という信条で設立されました。最初はパーペDEXアグリゲーターとして、複数取引所に分散した流動性をまたいで最良執行を取りにいくところから始まり、そこからアセットクラスを横へ広げていったのが事業の流れです。Co-Investは、その延長線上で「AI時代の入り口をどう設計するか」という問いに答えたプロダクトといえます。
◼️創業者プロフィール
Franklyn Wang(CEO・創業者): 2026年時点で25歳。Harvard大学を2022年に卒業(数学専攻——代数・解析・位相・測度論などを修めたとされます)。高校はThomas Jefferson High School for Science & Technology出身で、USAMO(米国数学オリンピック)2016 Honorable Mention、Regeneron Science Talent Search 2018ファイナリストなど、数学・情報科学の競技で実績を持つ人物です。前職はクオンツ運用大手のTwo SigmaでAI科学者・量的研究者を務め、D.E. ShawやYou.comでの経験もあるとされます。
チームは15名規模、ニューヨーク拠点で、Product・Engineeringを中心に採用を進めています。
◼️創業からのタイムライン
2025年8月: Liquidプラットフォームをローンチ
2025年11月: シードラウンドで$7.6Mを調達(リード: Paradigm)
2026年4月21日: シード拡張ラウンドで$18Mを調達(リード: Neo、Left Lane Capital)
2026年5月(直近): 累計取引高$3B超、ユーザー約40,000人に到達
2026年5月26日: Co-Investをローンチ(ChatGPT・Claude統合)
◼️資金調達履歴
2025年11月: シード $7.6M — リード: ★Paradigm(参加: General Catalyst ほかエンジェル)
2026年4月: シード拡張 $18M — リード: ★Neo、★Left Lane Capital(参加: Haun Ventures、K5 Global、SV Angel、AntiFund、Sunflower Capital、Paradigm、General Catalyst)
累計調達額は25.6M。Paradigm・HaunVenturesといったクリプト系トップティアと、LeftLane・Neoのようなグロース/フィンテック系の両方が名を連ねるのが特徴です。なお、ガバナンストークン(LIQUID等)の発表は現時点でありません。
◼️業界全体の変遷
2025〜2026年のオンチェーン・デリバティブ市場は、Hyperliquidの台頭で「ノンカストディアルでも中央集権取引所並みのUX・流動性が出せる」ことが証明された時期でした。
同時に、ChatGPT・Claudeといった汎用AIアシスタントが消費者の生活動線の中心に入り込み、「アプリを開く」より「AIに頼む」が自然になりつつあります。Co-Investは、この2つの潮流——オンチェーン執行の成熟とAIアシスタントの主役化——の交点に生まれたプロダクトです。
◼️競合プレイヤー
Hyperliquid: 独自Layer1上のオンチェーン・オーダーブックで、単一の暗号資産パーペに最適化。ノンカストディアル。Co-Investはその執行先の1つでもあり、「競合」というより「土台」に近い関係です。
dYdX: Cosmosベースの分散型パーペ取引所。パーペ特化型で、マルチアセット統合やAI連携は持ちません。
GMX: Arbitrum/Avalanche上のパーペDEX。長い運用実績とGLPによる流動性提供モデルが強みですが、こちらもパーペ中心です。
Bybit / Binance(中央集権取引所): 高レバレッジ・コピートレード・フィアットランプを備えますが、カストディアル(資産を預ける)型。Co-Investはノンカストディアル+AIアシスタント・ネイティブという点で差別化されます。
Liquid(Co-Invest): 株・暗号資産・FX・Pre-IPO・予測市場を1つの会話インターフェースに統合し、AIに分析と発注支援を担わせる。「マルチアセット×AIネイティブ×ノンカストディアル」の組み合わせが現状ユニークです。
考察|「会話で投資する」は主流になるか
最後は総括と考察です。
Co-Investの本質は「新しい取引所が出た」ではなく、「投資の入り口がアプリからAIアシスタントへ移る」という構造変化を体現している点にあると考えます。以下、強みと弱みを整理します。
◼️強み
ディストリビューションの優位: ChatGPT・Claudeという既存の巨大ユーザーベースに”間借り”できるため、ユーザー獲得コストが構造的に低い。
マルチアセットの一元化: 株・暗号資産・FX・Pre-IPO・予測市場を1つの会話で扱える体験は、既存のどのプラットフォームも完全には提供できていません。
トップティアの資本ネットワーク: Paradigm・Haun・Left Lane・Neoという、クリプトとフィンテック両面の強力なバッカーがついています。
◼️弱み・リスク
規制・責任所在の未整備: AIの助言を起点に最大200倍のレバレッジ取引をリテールに開く設計は、投資助言規制・適合性原則・損失時の責任所在という観点で、各国当局が最も神経を尖らせる領域です。
AIへの過信リスク: 「確認は必須」とはいえ、根拠の提示が説得的であるほどユーザーはAIの提案を鵜呑みにしがちです。ハルシネーションが高レバレッジと組み合わさると損失が増幅します。
執行先への依存: ルーティング先(Hyperliquid等)の流動性・稼働に体験が依存します。執行先で障害が起きれば、Co-Invest側の体験も毀損します。
収益モデルとトークンの不在: 現状トークンはなく、収益は取引手数料中心とみられます。アグリゲーターは差別化が薄まりやすく、手数料競争に晒されやすい構造です。
◼️個人的な見解
Co-Investで面白いのは、Liquidが「AIに取引を任せる(自動執行)」のではなく、あえて「AIは分析と提案まで、発注は人間が確認」という線を引いている点です。これは規制対応上の安全弁であると同時に、「AIエージェントに金融を委ねる時代」への移行を、いきなりではなく段階的に進めるという思想の表れにも見えます。
非常に興味深い取り組みですが、規制当局の反応と、実際の損益分布(ユーザーが本当に勝っているのか)の2点が特に大事かなと思っていますので、今後も注視していきたいと思います。
参考リンク
公式サイト: liquid.trade
Co-Invest 特設: liquid.trade/coinvest
The Block: Liquid launches Co-Invest
CEO X: @frank_liquid
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