【OnRe】Solana初の「オンチェーン再保険」プロトコル / @onrefinance
$800Bの伝統的再保険市場を、Bermuda規制下で誰でもアクセスできる利回り資産に変えるという挑戦
おはようございます。
今日は「OnRe」をリサーチしました。
概要|OnReとは?
変遷|伝統的再保険からオンチェーン再保険への流れ
考察|「現実世界のキャッシュフロー裏付けRWA」が DeFi 利回りの標準になるのか
TL;DR
OnRe は Solana 上で動く世界初の Bermuda 規制下オンチェーン再保険プロトコル。再保険プレミアムと担保リターンを裏付けにした利回り資産
ONycを発行し、ベース APY 10-16%、Kamino 経由のループ運用なら 20% 超を提供します。$800B 規模の伝統的再保険市場を、デジタル資産アロケータがアクセスできるオンチェーン商品に変換する設計です。規制基盤は Bermuda Monetary Authority(BMA)ライセンス + Segregated Accounts Company(SAC)+ IIGB / DABA。Guy Carpenter / Howden などの大手再保険ブローカーと連携して引受案件をソーシングし、ChainLink オラクル等で「verifiable and transparent capital flows」を担保します。
創業者は Dan Roberts(Co-Founder & CEO)。2026年に Forward Industries / RockawayX 共同リードで $5M を調達、さらに Forward は ONyc を 最大 $25M 買い付け予定。Solana Ventures / Ethena Labs / Coinbase Ventures が投資家として並び、Kamino / Coinbase Prime / Squads / Ethena との統合が進んでいます。
概要|OnReとは?
OnRe は、「世界初のオンチェーン再保険企業」 を標榜する、Solana ベースの保険プロトコルです。タグラインは「Bridging reinsurance and crypto to create real, scalable yield(再保険とクリプトを橋渡しし、本物でスケーラブルな利回りを作る)」です。
中核プロダクトの ONyc は、再保険プレミアム(保険を引き受ける対価)と担保リターンを組み合わせた、利回り付きドル建てトークンです。これを DeFi の貸借・担保・スワッピング・ステーキング基盤に組み込むことで、「実物経済の引受キャッシュフローを、オンチェーン利回り資産として誰でも持てる」状態を作ろうとしています。
OnRe 自身は「emissions(トークンの増発)や abstract governance(抽象的なガバナンス)に依存しない、実体経済由来のキャッシュフロー」を強みとして打ち出しており、これは Ondo Finance / Maple Finance / Centrifuge 等の RWA プロジェクトと並ぶ、「ファンダメンタルズ重視」の DeFi 利回り設計です。
◼️解決する課題
伝統的な再保険市場には、構造的な参入障壁があります。
B2B 中心の閉鎖市場: 再保険は通常、保険会社・大手機関投資家・国家系ファンドなどの限定プレイヤーだけが参加できる
最低投資額が極端に高い: 単発の引受案件で数十億〜数百億円規模が一般的
流動性ゼロ: 引受ポジションは契約期間中ロックされ、二次市場が存在しない
デジタル資産アロケータが対象市場 $800B+ にアクセスできない: クリプト・DeFi ファンドにとって、再保険は構造的に「届かない利回り源泉」だった
既存 DeFi 利回りはトークン排出依存: 多くの利回りプロトコルがトークン増発で利回りを作っており、長期持続性に疑問符
OnRe は「再保険プレミアムをトークン化して、誰でも持てる小ロット流動資産にする」というシンプルなアプローチで、これらの摩擦を一気に取り除こうとしています。
◼️プロダクトの柱
OnRe のプロダクト構造は、ONyc を中心にした単純な設計です。
1. ONyc トークン(コア資産)
ONyc は、再保険プレミアム + ステーブルコイン担保リターンを裏付けにした、利回りが発生するドル建てトークンです。
ベース APY: 10-16%(引受ポートフォリオの構成によって変動)
Kamino looping(後述)使用時: 20%+ まで上昇可能
$ONRE トークンインセンティブプログラムも稼働中
トークン保有者は、伝統的な再保険市場で発生する保険プレミアム収益と、担保として保持されるUSDC等の利回りを、両方同時に享受できる構造です。
2. オンチェーン引受プール(ONyc Pool)
ユーザーが ONyc を購入すると、その USD はオンチェーンの引受プール(ONyc Pool)に流入します。プールの資金は、OnRe が大手再保険ブローカー経由でソーシングする実物の再保険案件に振り向けられます。
引受される再保険商品は多岐にわたります:
Property Catastrophe(自然災害再保険)
D&O(Directors & Officers): 役員賠償責任保険の再保険
Cyber(サイバー保険)
Tech E&O(技術系職業賠償責任保険)
これらは伝統的な保険業界で「安定した収益源泉」として知られるカテゴリで、OnRe はそれをトークン化した形で誰でも持てるようにしました。
3. DeFi 統合(Kamino / Coinbase Prime / Squads / Ethena)
ONyc は単に「持っているだけで利回りが付くトークン」に留まらず、Solana DeFi エコシステム全体で担保・流動性・運用資産として機能する設計です。
Kamino: ONyc を担保にして USDC を借り、それでさらに ONyc を購入する「ループ運用」が可能。ベース APY 10-16% を 20%+ まで増幅
Coinbase Prime: 機関投資家向けカストディ・取引サービスでの ONyc 取扱
Squads: マルチシグウォレットでの法人運用
Ethena: 同じく利回り系プロトコルとの相互運用
◼️Bermuda 規制とトークノミクス(最重要・深堀)
OnRe を他の RWA プロトコルから差別化する最大の要素が、Bermuda Monetary Authority(BMA)規制下での運営です。ここを丁寧に説明します。
▼ なぜ Bermuda か
世界の再保険市場で Bermuda は特異な位置を占めています。
世界の再保険資本の約35%が Bermuda 拠点で運用されている
米国・欧州の主要保険会社の多くが Bermuda にキャプティブ(自社専用再保険会社)を設立
BMA は再保険業界に特化した規制当局として、世界最高水準のフレームワークを整備
OnRe が Bermuda を選んだことで、「伝統的な再保険業界の規制基準を満たしながら、オンチェーンで運営する」という、これまで両立不可能だった構造を実現しました。
▼ ライセンス構造
OnRe は以下のライセンスを保有します。
Segregated Accounts Company(SAC): 各引受プールが独立した法的口座として分離される構造。1つの案件の損失が他のプールに波及しない
IIGB(Innovative Insurer General Business)ライセンス: 革新的な保険商品を提供する保険会社向けライセンス
DABA(Digital Asset Business Act)ライセンス: デジタル資産を扱う業務に対する Bermuda の規制ライセンス
つまり OnRe は、「再保険ライセンス × デジタル資産ライセンス × 法的分離構造」の3層を同時に満たした、世界でも稀有な存在です。
▼ ONyc の利回り発生メカニズム(具体フロー)
ユーザーが ONyc を保有することで得られる利回りは、以下のフローから生まれます。
ステップ1: 担保とプレミアムの収集
ユーザーは USDC で ONyc をミント → USDC は ONyc Pool に格納される
同時に、OnRe が Guy Carpenter / Howden 等のブローカー経由でソーシングした再保険案件の保険会社(被再保険者)からプレミアムを受領
プールには「ステーブルコイン担保 + プレミアム収入」が同時に積み上がる
ステップ2: 引受期間中の運用
ステーブルコイン担保は、Solana DeFi 等の安全な利回り源で運用(オラクル経由で透明化)
引受期間中、災害・事故・訴訟などの「支払い事象」が発生しない限り、プールは利回りを蓄積し続ける
ONyc トークンの USD 価値は徐々に増加
ステップ3: 支払い事象が発生した場合
例: ハリケーンが米国南部を襲い、Property Catastrophe 保険の支払い義務が発生
該当する SAC(Segregated Account)のプールから保険会社へ支払い
他の SAC(別案件のプール)には影響なし
ONyc 全体の価値は、支払い案件のシェアに応じて減少(保有者が損失を吸収)
ステップ4: 契約満了時の利益確定
引受期間(通常 1〜3年)満了時に、未使用のプレミアム残高 + 担保利回りが、ONyc 保有者に分配
良いポートフォリオなら 正の ROI 確率 95%+ と OnRe は主張
▼ Kamino looping の仕組み
Kamino は Solana の主要レンディングプロトコル。ONyc をここに預けることで、利回りを増幅できる仕組みが用意されています。
具体的なループ手順:
ONyc を Kamino に担保として預ける
USDC を借り入れる(LTV を 60-70% 程度で)
借りた USDC で再び ONyc を購入
その ONyc も Kamino に預ける
2-4 を数回繰り返す
これにより、実効的に元本の数倍の ONyc エクスポージャーを持てるため、APY が 20%+ まで増幅されます。当然、レバレッジ運用なので清算リスクは増加し、ONyc の価値が急落する事象(大規模災害等)では損失も拡大します。
▼ $ONRE トークン
OnRe にはガバナンス用の $ONRE トークンも存在します。エコシステム参加者への incentive として配布される設計です。
ONyc を保有・運用するユーザーへの追加報酬
Kamino looping を含む各種 DeFi 統合での インセンティブ
Airdrop プログラムも稼働中で、初期預入者向けに $ONRE が配布される構造
◼️独自性
DeFi 領域には RWAプロトコルが多数登場していますが、OnRe は以下の点で独自性が際立っています。
完全な規制下運営: BMA という世界トップクラスの保険規制下での運営は、Ondo / Maple 等の RWA とは規制レイヤーが異なる
キャッシュフロー源泉が明確: トークン排出ではなく、実物の保険プレミアムが利回り原資。「emissions が止まったら利回りも止まる」という他プロトコルの構造的弱点がない
Solana エコシステム集中: Ethereum の RWA プロジェクトが主流の中、Solana 上で本格的な保険プロトコルを立ち上げた先駆者
法的分離構造(SAC): 1案件の損失が全体に波及しない設計は、伝統金融のキャプティブ保険業界では標準だが、DeFi では極めて稀
変遷|伝統的再保険からオンチェーン再保険への流れ
◼️創業背景
OnRe は、伝統的再保険業界の専門知識を持つチームが、「この $800B 市場をオンチェーンで開放したらどうなるか」という問いから生まれたプロジェクトと考えられます。
伝統的再保険は、保険業界の中でも特に「閉鎖性」が高い領域です。マンハッタンや Bermuda の限られたオフィスで、紙ベース・人脈ベースで引受が行われる古典的な業界で、ここにブロックチェーン技術を持ち込むことには大きな摩擦がありました。
OnRe の創業者たちは、「Bermuda の正規ライセンスを取得したうえで、Solana 上に商品をトークン化する」という、規制と技術の両面から本格的なアプローチを取りました。これは「規制を回避する DeFi」とは対極の戦略で、伝統的保険業界と DeFi コミュニティの両方に受け入れられる設計です。
◼️創業者プロフィール
Dan Roberts: Co-Founder & CEO。再保険業界出身と推測されますが、本人の詳細プロフィール(前職・年齢・国籍等)は現時点で広く公開されていません。LinkedIn 等でのプロファイルも限定的で、業界ベテランとしてプロダクト推進を担っていると見られます。
チーム: 詳細なチームは非公開。再保険業界の専門家と Solana エコシステムの開発者が混在するチーム構成と推測されます。
◼️創業からのタイムライン
2024-2025年: プロジェクト開発・Bermuda 規制取得準備
2026年初頭: BMA ライセンス取得、ONyc プロダクトローンチ
2026年(時期不詳): $5M シードラウンド完了。Forward Industries と RockawayX が co-lead、Solana Ventures / Ethena Labs / Coinbase Ventures / Maven11 / Spartan / XBTO 等が参加
2026年5月: Forward Industries が $25M 規模で ONyc 買い付けを表明(”Natural extension” として)
2026年5月: Kamino との統合発表、ONyc looping で 20%+ APY を提供開始
2026年5月時点: Coinbase Prime / Squads / Ethena との統合稼働、$ONRE トークン インセンティブ プログラム実施中
◼️資金調達履歴
シード(2026年): $5M — リード ★Forward Industries、★RockawayX、参加 Solana Ventures / Ethena Labs / Coinbase Ventures / Maven11 / Spartan / XBTO
追加投資(2026年5月): Forward Industries が $25M ONyc 買い付け を公表
このうち Forward Industries は、Solana エコシステムへの大型機関投資家として知られる存在で、Solana Treasury Firm として複数の Solana ベースプロジェクトに投資しています。
◼️業界全体の変遷
RWA領域は、DeFi の中でも 2024-2026 年に最も成長した分野です。
第1世代(2020-2022年): Centrifuge、Maple Finance などが先駆け。商業不動産・中小企業ローンのトークン化
第2世代(2022-2024年): Ondo Finance が米国債トークン化(OUSG / USDY)でブレイク。安全な短期金利を DeFi に持ち込む動きが主流に
第3世代(2024-2026年): BlackRock の BUIDL、Franklin Templeton の BENJI など、伝統金融の超大手がトークン化マネー・マーケットファンドに参入。RWA がメインストリーム化
第4世代(2026年〜): 国債だけでなく、プライベートクレジット・保険・コモディティ等のオルタナティブ資産のトークン化が加速。OnRe(再保険)はこの世代の代表例
OnRe は、第4世代 RWA の象徴的プロジェクトとして位置づけられます。「米国債を超える利回り」を「実物キャッシュフロー裏付けで持続的に提供する」という、これまで DeFi が達成できなかった領域への挑戦です。
◼️競合プレイヤー
OnRe と類似カテゴリーの主要プレイヤー:
Nexus Mutual: 老舗の DeFi 保険プロトコル。コミュニティ駆動の相互保険モデル。OnRe とは「保険を提供する側 vs 保険から利回りを得る側」で立ち位置が逆
Etherisc: パラメトリック保険(自動支払い型保険)のオンチェーン実装。商品設計が異なる
Ondo Finance: 米国債トークン化の代表例。RWA カテゴリで先行するが、利回りは 4-5% 程度
Maple Finance: プライベートクレジットのトークン化。同じく実物キャッシュフロー裏付け
OnRe: 再保険プレミアム × 担保リターンで 10-20% APY を実現。RWA カテゴリの「ハイイールド枠」
考察|「現実世界のキャッシュフロー裏付け RWA」が DeFi 利回りの標準になるのか
最後は総括と考察です。
◼️強み
規制の本格性: Bermuda BMA + SAC + IIGB + DABA の4層ライセンスは、伝統金融機関にとっても説得力がある。機関投資家が DeFi に入ってくる際の「規制の橋」として機能
キャッシュフローの本物性: 実物の再保険プレミアムが利回り源泉なので、トークン排出に依存しない持続性がある
DeFi 統合の深さ: Solana エコシステム(Kamino / Squads / Ethena)と Coinbase Prime 等の機関カストディの両方に対応
市場規模: $800B+ の再保険市場のうち、わずか1%でも取り込めば $8B 規模の TVL になる潜在性
◼️弱み・リスク
大規模災害リスク: ハリケーン・地震・パンデミック等の巨大事象で複数 SAC が同時に支払い義務を負った場合、ONyc 価値が急落する可能性
再保険サイクルリスク: 再保険業界は「ハードマーケット(プレミアム高)」と「ソフトマーケット(プレミアム低)」を繰り返す。ソフト局面では 10-16% APY の維持が困難になる
オラクル依存: 実物の引受案件・支払い状況をオンチェーンに伝えるオラクルの信頼性が、プロトコル全体の安全性を決定する
Solana 単一チェーン依存: マルチチェーン展開が無いため、Solana の安定性に依存
流動性リスク: ONyc の二次市場の厚みは未確認。大量の出口に対応できるか不透明
創業者・チームの匿名性: Dan Roberts 以外のチーム詳細が広く公開されておらず、トラストが Bermuda ライセンスに集中している
◼️個人的な見解
OnRe は、「DeFi が次に向かう方向性」を最も明確に示した RWA プロジェクトの1つです。
これまでの DeFi は「米国債プラスアルファ」の利回りを提供することで機関投資家を呼び込もうとしてきましたが、4-5% 程度では DeFi 特有の運用コスト(ガス・スマートコントラクトリスク等)を相殺するには十分でないと指摘されてきました。OnRe の 10-20% APY は、その水準をクリアする実物キャッシュフロー裏付けの利回りであり、機関投資家にとって意味のある提案になります。
ただし、再保険業界の本質は「大型事象が起きないと利回りが出る、起きると損失が出る」というロングテール・リスク構造です。これは「多くの場合は利益が出るが、起きるときには大きく損が出る」性質を持ち、DeFi 投資家が慣れた「対称的なボラティリティ」とは異なるリスクプロファイルです。
特に注目したい点は以下の3つです。
TVL の伸び: ローンチ後の最初の数四半期で TVL がどこまで伸びるか
支払い事象が発生した時の対応: 最初の大型支払いイベントで ONyc 価値がどう動き、コミュニティがどう反応するか
マルチチェーン拡張: Ethereum / Base / Arbitrum 等への展開で機関フローを取り込めるか
「保険プレミアムが DeFi の標準利回り源泉になる」という、新しいパラダイムの実証実験として、引き続きフォローする価値が高いプロジェクトです。
以上、「OnRe」のリサーチでした!
参考リンク
公式サイト: onre.finance
公式 docs: docs.onre.finance
ONyc 詳細: docs.onre.finance/introduction/onre-tokenized-reinsurance-onyc
AMBCrypto(Forward Industries $25M 投資): Solana treasury firm invests $25 mln into OnRe yield strategy
crypto.news: OnRe Finance raises $5M as Forward lines up $25M ONyc buy
RockawayX 解説: The Ultimate Guide To OnRe 2026: Reinsurance Yield Meets DeFi
Kamino 統合発表: ONyc Launches on Kamino
crypto-fundraising.info: OnRe Finance プロジェクトページ
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