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先週のweb3市場を5分で振り返り

直近1週間のマーケット情報・主要ニュースをまとめました。

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mitsui
8月 30, 2026
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おはようございます。 先週1週間(8/22〜8/28)のweb3市場についてのまとめ記事となります。

前号は「2年ぶりの最大の週間上昇」を扱いました。BTCが1週間で+24.32%($62,996.40→$78,317.78)、引き金は米財務省のバイバック上限倍増とSECの「Regulation Crypto Assets」提案という2つの材料でした。今週はその翌週です。

結論から言うと、価格はほとんど動かず、資金だけが入り続けました。BTCは週間-0.69%($78,317.78→$77,778)、ETHは-2.87%。ただし週の途中で BTCは5月以来はじめて$80,000を超え、8/27には$80,361.73をつけています。そして現物ETFは8営業日連続で買われ続け、累計は$2.8B〜$3B規模に達しました。

恐怖・強欲指数は8/12の27から8/25には74へ跳ね、2024年のサイクル天井以来はじめて「Extreme Greed」に入っています。前週が「材料で一気に持ち上がった週」だとすれば、今週は持ち上がった水準を資金流入で支えたまま横ばいに耐えた週でした。そして週末の8/28、Jackson Hole で新しいFed議長 Kevin Warsh 氏が初のキーノートに立ち、テーマに選んだのは「金融イノベーション:決済と政策への含意」でした。


📰 Pickup News

Warsh議長のJackson Hole初講演、テーマは「金融イノベーション」。AIトークンを語り、ステーブルコインには一度も触れず

  • 8/28(金)、Kevin Warsh 議長が Jackson Hole 経済政策シンポジウムで議長として初のキーノートに立ちました。演題は「Financial Innovation: Implications for Payments and Policy」で、インフレ見通しと金利のフォワードガイダンス(forward guidance=将来の政策方針の事前提示)を語る通例の Jackson Hole 講演とは構成そのものが違いました。フォワードガイダンスを行わないという姿勢を明示した点が、政策面での最大の変化です。

  • 講演でひときわ目を引いたのが、AIの扱いです。主要2ラボのトークン販売の年換算額が$100B超、前年比で500%以上の伸びだという数字を挙げ、AIは「新しい生産要素(factor of production)」になりうるとして、Fedは大規模言語モデルとその利用単位であるトークンの動向を「注意深く(attentively)」見ていると述べました。論点として置いたのは、AIの応用が経済全体の生産性を持続的に押し上げるのか、上げるとしていつか、という2点です。Decrypt はこの部分を「歴史の蝶番(hinge point in history)」という表現で見出しにしています。

  • クリプト側から見た読みどころは、触れなかったことのほうにあります。Forkast が指摘したとおり、Warsh 議長は「金融イノベーション」を演題に選びながらステーブルコインに一度も言及しませんでした。GENIUS法の実施規則が動いている最中で、決済を主題にした講演でこれが落ちるのは示唆的です。一方で TechTimes は、AI関連の設備投資の規模が議長自身の「金利据え置き」の論拠を切り崩しつつあるという読み方を提示しています。要は、今のFedの関心はステーブルコインより先にAIの実物投資にある、ということです。

BTCが5月以来の$80,000超え、現物ETFは8営業日連続の流入で累計約$3B

  • 8/25(火)にBTCは$80,000を回復しました。5月以来3か月ぶりです。ただし上値は重く、CoinDesk は同日「50週移動平均が上昇を抑え、$81,000で跳ね返された」と伝えています。その後も$80,000近辺での往復が続き、8/27に$80,361.73、8/28は$79,789.69。週末にかけて$77,000台まで戻して、結局**週間ではほぼ横ばい(-0.69%)で終わりました。

  • 価格が動かない一方で、資金は入り続けました。米国の現物BTC ETFは8/24に$337.6M、8/25に$314.3M、8/26に$232.2M(うちBlackRockのIBITが約$200.8M)と流入が続き、8営業日連続・累計約$2.8B、その後さらに$242Mが加わって9営業日で$3B超になりました。8月単月では約$2.72Bで、これまでの月間最高だった4月の約$1.97Bをすでに上回っています。なお前週(8/21まで)の週間流入$1.9Bは今年最大の週でした。

  • 市場心理は明確に振れました。恐怖・強欲指数は8/12の27から8/25には74へ上昇し、2024年のサイクル天井以来はじめて「Extreme Greed」圏に入っています(8/28時点では73で「Greed」に戻りました)。日足RSI(14)は81.71と明確な買われすぎ水準。BlackRockは8/25の1日でBTC ETF流入の6割超、ETH ETF流入の78%超を1社で取っています。ここがポイントで、価格が横ばいなのに資金が入るということは、入ってきた買いと同じ量の売りが上で待っているということです。

StarkWare、ビットコイン・メインネットで「初の量子耐性トランザクション」を実証。フォークなしで動いた

  • 8/26(水)、StarkWare の研究者 Avihu Levy 氏が考案した手法で、量子耐性を持つトランザクションがビットコインのメインネットで成立しました。ブロック高は964,199、動かしたのは10,000サトシの小さなアウトプットです。手法の名前は Quantum Safe Bitcoin(QSB)。

  • 仕組みは、署名グラインディング(signature grinding)でメンプール(mempool=未承認取引の待機列)に置かれているあいだの公開鍵情報の露出を抑えつつ、使い捨てのハッシュ署名と計算による照合を組み合わせるというものです。ビットコイン既存の暗号方式を変えず、プロトコルのフォークも要りません。これが今回いちばん大きな点で、「量子耐性にはソフトフォークしかない」という前提を1つ崩しました。

  • ただし実用の条件はかなり厳しいです。フォーマットが非標準のため通常のノードはリレーせず、今回はマイニング企業 MARA の Slipstream サービスへ直接投げる必要がありました。コストはGPU計算で$150〜$200、処理には数時間かかります。同社自身が、実用は緊急時に限られるとし、完全な安全のためにはプロトコルレベルの更新(ソフトフォーク)が必要だとする立場を変えていません。Levy 氏本人も引き続きソフトフォークを支持しています。要は「逃げ道が1本できた」であって「解決した」ではありません。

コインチェックが「電子決済手段等取引業」登録を完了。国内2社目、取扱いはUSDC

  • 8/27(木)、コインチェックが資金決済法にもとづく電子決済手段等取引業者の登録を完了しました。登録番号は「関東財務局長第00002号」。国内2社目で、1社目のSBI VCトレード(2025年3月登録)から1年5か月ぶりの追加です。

  • 金融庁の登録一覧に記載された取扱いの電子決済手段は、米Circle が発行するUSDCです。日本ではステーブルコインは暗号資産ではなく「電子決済手段」として整理されるため、取り扱うには暗号資産交換業とは別の登録が要ります。ここを取ったことで、同社はステーブルコインおよびオンチェーン金融領域への本格参入の体制が整った、という位置づけになります。

  • 制度側の動きも同じ月に重なっています。金融庁は8/7付の組織再編で、国際課・信用課・郵政金融課・資金決済課・暗号資産・ステーブルコイン課の5課を新設しました。さらに8/6には金融庁と警察庁が日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)に対し、詐欺被害防止のための対策強化を要請しています(入金・購入後の一定期間の出庫制限、新規登録した出庫先への一定期間の制限など)。監督の器と実務の縛りが同時に整えられた8月でした。

米SEC、暗号資産のカストディ規則案をOMBへ提出。CLARITY法の手続き投票は9/15に設定

  • 8/25(火)、SECは投資顧問業者・投資会社による暗号資産のカストディ(custody=顧客資産の保管)の枠組みを明確化する規則案を、ホワイトハウスのOMB(行政管理予算局)へ提出しました。NPRM(規則案の正式公告)は2026年10月が予定されています。前号で扱った「Regulation Crypto Assets」の提案(8/18)に続く動きで、発行の規則の次にカストディの規則という順番で並んできました。

  • 同じ週、SECスタッフはトークン化ファンドのカストディに関するノーアクションレターを出し、CFTCはイベント契約(event contract)をめぐる争いで緊急権限を発動しています。加えてホワイトハウスがクリプトと予測市場の会合を計画していると報じられました。規制の重心が「トークンは証券か」から「誰がどう保管し、誰が仲介するか」へ移っているのがこの週の特徴です。

  • 立法側は止まったままです。CLARITY法(デジタル資産の市場構造法案)は上院が8月の休会前に本会議投票へ進めず、手続き投票は9/15に設定されました。上院は9/14に復帰し、そこから3週間で政府倫理規定、法執行関連の条項、ステーブルコインの利回り・報酬の扱いといった未決着の論点を処理する必要があります。前号でトランプ大統領がホワイトハウスで可決を要求した件を扱いましたが、日程はまだ動いていません。


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Paul Hastings「US Crypto Policy Tracker」(8月第4週分)

  • 米国の規制動向を週次で追っている法律事務所のトラッカーです。今週分は、SECによる「Regulation Crypto」の採決延期、トークン化ファンドのカストディに関するスタッフのノーアクションレター、CFTCのイベント契約をめぐる緊急権限発動、ホワイトハウスによるクリプト・予測市場の会合計画、という4本立てでした。

  • ニュース記事より価値があるのは、「まだ決まっていないこと」が明示的に整理されている点です。提案(proposal)と最終規則(final rule)、スタッフの見解(no-action letter)と委員会の決定が、実務上どれくらい違う重さを持つのかが区別して書かれています。SECの「提案」が出た段階で市場が反応した8月中旬の値動きを振り返るときの、良い解毒剤になります。

  • 併読するなら Latham & Watkins の US Crypto Policy Tracker が同じ役割です。こちらは立法(CLARITY法の進捗)と規制(SEC / CFTC / 財務省)を分けて追っているので、9/15の手続き投票までの残り論点を確認するのに向いています。

Glassnode「BTC Market Pulse: Week 34」

  • Glassnode の週次オンチェーン分析です。前号で扱った Week 33「Yields Anchor, Capitulation Grinds」の続きにあたります。読みどころは、現物の流動性が薄いままだという指摘が、価格が$80,000へ戻ったあとも維持されていることです。

  • 内容としては、含み損を抱えた供給の比率が高い状態が続き、実現損失が利益確定を上回る局面がまだ終わっていないこと、一方で資本流出のペースは緩みはじめており、売り圧力が安定化する初期の兆しが出ていること、が挙げられています。デリバティブ側では、パーペチュアル(無期限先物)のテイカー(成行注文側)フローが売り優勢に傾く一方、ファンディングレートはプラスのままで、ロング寄りのポジションが残っていること。オプション市場は実現ボラティリティに比べて下方向のプロテクションを高く織り込んでいます。

  • ここがポイントで、ETFの流入とオンチェーンの健全性は別のことを言っています。ETFには9営業日で$3Bが入り、恐怖・強欲指数はExtreme Greedを付けました。それでもオンチェーンでは、含み損の供給が重く、実現損失が続いている。この乖離をどう読むかが、今の相場のいちばん難しいところです。

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