おはようございます。 先週1週間(7/25〜7/31)のweb3市場についてのまとめ記事となります。
月間では1年ぶりの強さ、週足では静かに息切れ、という妙な週でした。CoinDesk 20 は6月末比+8.7%と1年ぶりの好月になった一方、週明けからは-2.34%で7月を終えています。出来高はK33の集計で日次$2.2Bと2023年末以来の低水準、ビットコインETFの7月の純流入は$205Mで過去最低。そこにColdcardのファームウェア欠陥で1,082BTCが抜かれる事件が重なりました。動かない相場のほうが、事故だけが目立つという週です。
📰 Pickup News
Coldcardのファームウェア欠陥で1,082BTC・$70Mが流出。自己保管への信頼が揺れる
ハードウェアウォレット Coldcard のシード生成に関わるファームウェアのバグが突かれ、1,082.65BTC・$70.2M相当が盗まれました。影響を受けたアドレスは1,196件です。攻撃は7/30の01:10:20〜01:51:26 UTC、わずか41分間に集中しています。
対象はMk3のv4.0.1(2021年3月以降)と、Mk4・Mk5・Coldcard Q の一部ファームウェアです。製造元 Coinkite は7/31にアドバイザリを出し、CEOの Rodolfo Novak 氏が「ファームウェアのバグについて全責任を負う」とレビュー体制の不備を認めました。緊急アップデートの適用とシードの再生成、少額での動作確認を経てからの資金移動が推奨されています。
ここがポイントで、Novak 氏は攻撃者がAIを使って潜在的な脆弱性を見つけた可能性に言及し、「新しいAIパラダイムの厳しい現実」と述べています。デバイスに一度も触れずに冷たいウォレットから資金が抜けたという構図で、CoinDeskは自己保管への信頼が揺らぎETFへ資金が向かう可能性まで指摘しました。
FOMCは金利据え置き。ただし3人が「利上げ」を主張し、相場は動かず
7/29のFOMCは政策金利を据え置きました。注目されたのは反対票の中身で、3人の当局者が利下げではなく利上げを主張しています。発表後もクリプト市場はほぼ横ばいで反応らしい反応がありませんでした。
背景の数字はGlassnodeの週次レポートが分かりやすく整理しています。2年債利回りがFF金利を上回る幅は2022年11月以来の大きさで、市場が織り込んでいるのは利下げではなく利上げです。3か月物先物のベーシスは2月以降、2年債利回りを下回り続けており、これは記録上2度目の長期間になります。
要は、現金で待っているほうが儲かる状態が続いているということです。この週の値動きの薄さは、材料が無いというより、リスクを取る理由が金利側から与えられていない、と読むほうが自然です。
CLARITY法、倫理条項の妥協案がホワイトハウスへ。それでも成立確率は30%に切り下げ
7/30、Tillis上院議員(共和)と Gallego上院議員(民主)が倫理条項の新たな妥協案をホワイトハウスに送りました。市場構造法案の最後の争点として残っていた部分です。上院共和党は7/22に統合版のテキストを公表済みで、銀行委員会案と農業委員会の Digital Commodity Intermediaries Act をマージしたものになっています。
ただし外の見立ては厳しめです。Galaxy は成立確率を30%へ切り下げて「土壇場の努力が要る」とし、JPMorgan は確率低下が見通しを悪化させると指摘、条文の一部はむしろ機関投資家の参入を妨げうると警告しました。ニューヨーク州のLetitia James司法長官も、州の詐欺追及能力を「薄める」と反対を表明しています。
一方で Solana Policy Institute は「いま動くべき時だ」と上院に働きかけました。夏季休会は8/7開始で、Thune院内総務は休会前の本会議入りを見込んでいないと明言しています。前号から状況はほとんど動いていない、というのが正直なところです。
Strategy、Q2に$8.2Bの損失。5週連続で購入を止め、現金$3.75Bを積む
7/30発表のQ2決算は$8.2Bの損失でした。前年同期は$10Bの利益だったので大きな反転ですが、中身はほぼ全額がビットコインの含み損です。BTC価格が前年比40%超下がっていることが効いています。保有量はQ2中に11%増えて一時846,000BTCに達し、直近の8-Kでは843,775BTCです。
目を引くのは方針の変化のほうで、5週連続でビットコインの購入を停止し、代わりにドルの現金準備を$3.75Bまで積み上げました。優先株の配当と利払いのおよそ2年分**をカバーできる規模です。年初来では優先株配当の原資として約$218M相当のビットコインを売却しています。
見どころは、Saylor氏が掲げてきた「100%ビットコイン」という姿勢からの明確なシフトです。アナリスト側もこの現金積み増しをおおむね支持しています。同じ週に Metaplanet のビットコイン担保債「Bitbonds」構想も話題になっており、DAT(デジタル資産トレジャリー)企業の資金繰りの作り方が、価格が下がった局面でどう変わるかが見えた形です。
ニューヨーク州がKalshiを提訴、$36Bの損害賠償を請求。予測市場が法廷に
7/31、ニューヨーク州が Kalshi を違法賭博にあたるとして提訴し、$36Bの損害賠償を求めました。一方で7/28にはミネソタ州の予測市場禁止措置を裁判所が差し止めており、Kalshi と Polymarket にとっては勝ち負けが同じ週に並んでいます。
規制側も一枚岩ではありません。44州の司法長官による連合は、CFTCにスポーツの予測市場を監督する権限は無いとする書簡を出し、NFLもCFTCに規制強化を求めました。他方 Binance.US は8月に予測市場プラットフォームのCFTCライセンス申請を予定しています。
数字だけ見ると市場は伸びています。W杯2026関連の予測市場の取引高は$20Bを突破し、Robinhood ではQ2に予測市場の売上がクリプトと株式を上回りました。制度の整理が追いつく前に規模が先に来ている、という点で、2024〜25年のステーブルコインと似た構図に入っています。
📗 Pickup Article
面白いと思ったポストや記事を紹介。
Glassnode「Paid to Wait」(The Week On-Chain, Week 30)
中心の主張は「現金で待つほうが報われるので誰も動かない」というものです。3か月物先物のベーシスが2年債利回りを下回る状態が2月から続いており、記録上こうした長期の逆転は2度目、前回はサイクルの底で終わっています。
オンチェーン側も静かです。コイン建てで見た現物出来高は2019年以来の低水準、取引所の入出金フローも直近3年で最も静かな部類に入りました。価格は$62K〜$68Kという最も厚いコストベーシス帯の中にあり、短期保有者のコストベーシス$69Kが上値の重しになっています。
締めとして面白いのは、今回のドローダウンが「深さでは記録上いちばん浅い弱気」である一方、期間ではまだ過去の弱気に届いていないという整理です。つまり底は浅いが、時間はまだ足りていない。金融政策のレジームが変わらない限り、このレンジは続くという見立てになっています。
Coin Metrics「Why is Aave’s USDC Utilization Rate Spiking?」(State of the Network #374)
Aave の USDC プールで、毎日UTC深夜前後に約$190MのUSDCが引き出され、1時間以内に戻されるという奇妙なパターンを追った回です。この間、利用可能な流動性は約$210Mから最低$33,000まで落ちます。
コストは他人が払っています。稼働率が目標の92%を超えると借入金利は4%から14%へ跳ね、借入$1Mあたり1日約$9の追加利息が発生します。借入残高$1.89B全体では年間$6M規模です。しかも動作の窓は6月の259ブロックから7月は177ブロックへと短くなっています。
Coin Metrics の推測は「利益目的ではなく、毎日の保有証明のためにスナップショットを取っている規制対応の手続きではないか」というものです。ここがポイントで、変動金利プールに置いた資金は、自分の与り知らない第三者の都合で利回りが動く。DeFiの「金利」が誰の行動で決まっているのかを具体的に見せた回でした。
K33「Sleepy July」:ビットコインの現物出来高は2023年末以来の低水準へ
K33 が追跡する取引所の日次平均現物出来高は$2.2B、直近7日平均は$2.1Bで前週比-4%でした。月間では2023年後半以来いちばん弱いペースです。
デリバティブも同様で、CMEのビットコイン建玉は2023年以来の低さ、無期限先物の建玉は約300,000BTCで推移しています。K33は「7月が例年いちばん薄い月」という季節性と整合するとも指摘しています。
影響は取引所の存続に及んでいます。同じ週に BitMart が取引プラットフォームの閉鎖を発表し、BitMEX・AscendEX に続きました。出来高の細りが収益を直撃している、という単純な因果です。
Bitwise:ETH・SOL・AVAXは「混んで安くなった」。稼働は増えたのに収益は減る
Q2のEthereumのトランザクション数は1億2,110万→2億390万件(+68%)へ。Solana と Avalanche も同様に伸びており、期間によっては倍増から10倍近い増加になっています。
ところが手数料は逆方向です。Solana の平均コストは1年前の$0.030から$0.005へ、Ethereum は$1.08から$0.31へと3分の1以下になりました。結果として、稼働は増えたのにネットワークの収益は減るという構図になっています。
Bitwise のオンチェーン調査責任者 Kam Benbrik 氏の要約が的確です。「ネットワークはフル稼働している。ただ、誰も燃料代を払いたがらない」。ブロックスペースが安くなること自体は普及の条件ですが、トークンの評価をフィー収入に紐づけて説明してきた立場からは、都合の悪いデータでもあります。
📊 Market & News
🟠 Market Overview
BTC: $63,870(7/31時点、同日-1.31%)。月間では上昇を維持
ETH: $1,890(同-1.40%)
CoinDesk 20 Index: 6月末比+8.7%で1年ぶりの好月。ただし週明け比では-2.34%
ビットコイン現物ETF: 7月の純流入は$205Mと月次で過去最低。7/31単日は-$265.4M(IBIT -$122.7M、FBTC -$54.8M、GBTC -$52.6M、BITB -$17.8M、ARKB -$17.5M)
現物出来高: K33集計で日次平均$2.2B、2023年末以来の低水準
建玉: BTCの建玉は約750Kで横ばい。テイカーのロング/ショート比はやや弱気寄り
個別: UNI +9.30%(RobinhoodのL2統合が材料)、ADA +4.09%、XRPは$1.07へ下落する一方で建玉は22.7億トークンに増加
⛓️ Bitcoin / マクロ・ETF
FRBは金利据え置き、3人が利上げを主張。クリプト市場は横ばい — 反対の向きが利下げではなく利上げだった点が新しい
⛓️ Ethereum / L2
⛓️ Solana / 他L1
💰 DeFi
🤑 Stablecoin
🏢 RWA・DAT
🤖 AIエージェント
🇯🇵 国内(日本)
国家、法律、規制関連
その他
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