おはようございます。 今日は「今週1週間(9/12〜9/18)の資金調達PJのまとめ」です。
💥調達金額上位5プロジェクト
1、Kaiko
概要:暗号資産の市場データを、金融機関や機関投資家に向けて提供している会社です。150を超える取引所・プロトコルをカバーするデータを、API や指数(インデックス)の形で配っています。データの管理体制については外部監査による内部統制の報告書(SOC 1 と SOC 2 Type 2)を取得していて、指数事業の Kaiko Indices は EU のベンチマーク規則(EU-BMR)に基づく指数の管理者として認可を受けています。CoinDesk によれば、2014年にフランスで創業した会社です。今回は S&P Global がリードする戦略的な出資を受け、シリーズBを総額$110Mに拡張しました。
カテゴリ:Data Service, API
調達額:$57M(シリーズB総額$110Mへの拡張分。同社は拡張分の金額を明示しておらず、総額と2022年の$53Mとの差し引き値です)
投資ラウンド:Series B(2022年に始まったラウンドの拡張)
投資家:★S&P Global、Nasdaq Ventures、BNP Paribas、Royal Bank of Canada、Coinbase Ventures、DRW Venture Capital、Susquehanna Private Equity Investments、Broadridge、Bpifrance、Alura Capital、Canton、Stellar、既存株主(Anthemis、Point Nine、Revaia)
発表日:9/14(公式リリース・公式Xポスト)
2、USD AI
概要:AI の計算に使う半導体(GPU)を担保に、AI インフラの事業者へお金を貸す DeFi のプロトコルです。運営は Permian Labs です。発表文によれば、融資はノンリコース(non-recourse=返済の原資を担保に限り、借り手のほかの資産にはさかのぼらない方式)で、担保は裏付けとなる GPU インフラだけです。中身はステーブルコイン建ての回転型融資枠(revolving debt facility=上限の範囲で借りては返し、また借りることを繰り返せる融資の枠)で、株式やトークンを渡す取引ではありません。貸し手の K3 Capital は、DeFi の中で相場の上げ下げに賭けない運用——金利の裁定、流動性の供給、新しいプロトコルの預かり資産の総額(TVL)を立ち上げる支援など——を手がける資産運用会社で、USD.AI の sUSDai を担保に短期の信用を出します。
カテゴリ:Lending/Borrowing, AI, DeFi, Infrastructure, Stablecoin
調達額:$40M(融資枠。株式やトークンによる出資ではありません)
投資ラウンド:融資枠(Revolving debt facility。crypto-fundraising.info 上の分類は Unknown)
投資家:K3 Capital(貸し手)
発表日:9/15
3、Fin.com
概要:ステーブルコインを、各国の銀行口座やデジタルウォレットで使える現地通貨に換えて届ける決済インフラです。自社の名前は表に出さず、顧客企業のサービスに組み込んで使ってもらうホワイトラベル型で、Fortune によれば顧客は金融サービス、一般消費者向けのプラットフォーム、予測市場などです。重点地域は南アジア・アフリカ・中東で、ニューヨーク・ラスベガス・ドバイ・ダッカ・バンガロール・ラホールに拠点を置いています。創業者は、バングラデシュで生まれクウェートで育った Nabeel Alamgir 氏(前職で Lunchbox を創業)と、パキスタン生まれで2012年に 24/7 Jet を創業した Mustafa Dar 氏の2人です。
カテゴリ:Payment, Infrastructure
調達額:$20M(評価額は非開示)
投資ラウンド:Seed(Fortune によればクローズは2026年8月)
投資家:★Expa、★Garrett Camp、Coinbase Ventures、Tenet Fund、Second Sight Ventures、Bam Azizi 氏(Mesh 創業者)、Figure の創業者、湾岸・アフリカのファミリーオフィス
発表日:9/15(公式発表・Fortune 独占報道)
4、dtcpay
概要:シンガポールを拠点とする、ライセンスを持った決済事業者です。シンガポール金融管理局(MAS)の主要決済事業者(Major Payment Institution)のライセンスに加え、ルクセンブルクの電子マネー機関(EMI)のライセンスを持ち、香港・オーストラリア・米国・カナダでもライセンスや登録を得ています。同社の説明では、700を超える暗号資産ウォレットと連携しており、Visa との提携カードを通じて1億5,000万を超える加盟店の拠点で使えます。発表文では、シンガポールの百貨店 Metro がステーブルコイン決済を導入したことにも触れています。今回はシリーズAを総額$25Mで完了しました。
カテゴリ:Payment
調達額:$15M(シリーズA総額$25Mのうち今回の追加分)
投資ラウンド:Series A(4月の第1トランシェに続く追加分)
投資家:★Vertex Ventures Southeast Asia & India(ラウンド全体のリード)、SBI Group(SBI Ventures Asset、SBI-NTU-Kyobo Digital Innovation Fund)、Genedant Capital、Kwee Liong Tek 氏
発表日:9/18
5、Tare
概要:プライベートクレジットの取引を、ブロックチェーンの上で回すためのソフトウェアです。Fortune によれば Avalanche 上で動くローン管理のソフトで、貸付の記録をデジタルに起こし、プライベートクレジット取引の事務を自動化します。同社の発表では、狙うのは資産を裏付けにした融資(アセットベースト・ファイナンス)の市場で、発表文は PIMCO の推計を引いて、米国だけで$6〜8兆の規模があるとしています。創業者は3人で、CEO の Kevin Miao 氏は Citigroup でサブプライム住宅ローンのトレーディングを担当したあと BlockTower Credit で$2B のプライベートクレジットファンドを立ち上げた人物です。
カテゴリ:RWA, Avalanche Ecosystem, DeFi, Lending/Borrowing
調達額:$13.25M(評価額は非開示)
投資ラウンド:Seed(Fortune によればクローズは2026年3月)
投資家:★Blockchain Capital、Janus Henderson、Strobe Ventures、The Venture Dept、Neoclassic Capital、Avalanche Foundation、Stani Kulechov 氏、Phil Potter 氏、Henri Stern 氏、Nik Milanovic 氏、Mark Phillips 氏
発表日:9/16(公式発表・Fortune 独占報道)
✨その他、11プロジェクト
Finloop[$10M/Series A+]:香港を拠点に、AI を使った資産運用のプラットフォームを運営する会社です。キャッシュ管理・投資信託・仕組債・債券・保険・仮想資産までを幅広く扱い、従来の金融(Web2)とクリプト(Web3)を合わせた「Web5」という看板を掲げています。今回の調達に合わせて、香港の中小企業向けの法人資産運用サービス Finterprise(星企通)も始めました。
Velocity[$10M/Series A Extension]:ロンドンを拠点に、企業のステーブルコイン決済・流動性・トレジャリー業務(手元資金の管理)を裏側で引き受けるバックエンドです。既存のシステムを置き換えずに、そのまま足して使える点を売りにしています。
TINA[$3M/ラウンド非公表]:Solana 上で、地図や位置のデータを参加者の手で集めて検証する分散型物理インフラ網(DePIN)で、同社は Geo-DePIN と呼んでいます。公式サイトの表示では、これまでに130万km超をマッピングし、登録地点は9万7,500超、コミュニティによる検証は85万4,000件超です。韓国のドライブレコーダーメーカー THINKWARE とはドライブレコーダーで協業していて、ロードマップにはドライブレコーダーの予約販売、トークンの上場、データマーケットのベータ版が並びます。
Deadstock[$2.50M/Seed]:鑑定済みのトレーディングカードを、トークンにして売買できるようにするマーケットプレイスです。開発は ATH Labs で、鑑定会社 PSA の最高評価(PSA 10)を受けたカードを保険付きの保管庫で預かり、Arbitrum 上で1枚につき1トークンを発行します。仕入れでは JTCC(Japan Trading Card Center)と独占パートナーシップを結んでいます。資金はクローズドベータから一般公開への移行、日本での保管と仕入れの拡大、それに保管庫・オラクル(外部のデータをブロックチェーンに取り込む仕組み)・トークン化の基盤づくりに充てます。
Tenka[$2M/Pre-Seed]:Tenka は、資産を裏付けにした非公開の融資(プライベートな資産担保型クレジット)について、案件への資金提供から、投資家がそのエクスポージャー(持ち分)を売り買いするところまでを扱う市場をつくろうとしています。公式サイトによればローンチは2026年Q4で、仕組みは3つです。1案件につき1つのボールト(vault=資金を預けて運用する箱)を立てる Deal Vaults、Senior Vault(トークンは tkUSD、週次で償還)、そして週次の純資産価値(NAV)を基準に二次売買の相手を探す Matching Engine です。目標の年利回り(APY)は Deal Vaults が10〜20%、Senior Vault が8〜9%ですが、いずれも同社が掲げる目標値で、流動性も保証しないと明記しています。
OpenZeppelin[金額非開示/M&A]:スマートコントラクトのライブラリ OpenZeppelin Contracts と、コードの安全性を点検するセキュリティ監査で知られる会社です。2015年の創業で、S&P Global の発表によればこれまでに900件超のセキュリティ案件を手がけ、本番公開の前に1万件超の脆弱性を見つけてきました。
tZERO[金額非開示/ラウンド非公表]:トークン化した証券を発行・売買・管理するためのインフラを持つ会社です。傘下に SEC 登録のブローカーディーラー(証券会社)、代替取引システム(ATS)を運営する tZERO Securities、SEC 登録の名義書換代理人(株主名簿を管理する事業者)である tZERO Transfer Services を抱えています。今回の資金調達は既存投資家の★Marc Cohodes 氏と★Max Cohodes 氏がリードし、ニューヨーク証券取引所の親会社 ICE、投資家の Bill Fleckenstein 氏、提携先の Dinari らが参加しました。
Nomina[金額非開示/M&A]:旧 Omni Network です。複数の無期限先物DEX(パーペチュアルDEX)をまたいで取引できる統合の取引端末を手がけています。今回、IRF が Nomina を買収しました。Nomina の説明によれば、IRF は AI エージェント向けの DeFi インフラを作る研究組織です。取得したのは Nomina の技術・知的財産・ブランド・インフラで、特にインテントの実行プロトコル SolverNet が中心です。
LimeWire[金額非開示/M&A]:クリエイター向けの AI ツールと分散型ストレージを提供するプラットフォームで、トークン LMWR はそのネイティブトークンです。今回、ミームコインのプロジェクト★BabyDoge が LimeWire を買収しました。条件は非開示です。共同創業者の Julian Zehetmayr 氏と Paul Zehetmayr 氏の兄弟は退き、Abel Czupor 氏が BabyDoge の支援を受けて LimeWire を率います。今後はクリエイター主権、分散型ストレージ、AI ツールに舵を切る方針です。
PonyGo[金額非開示/ラウンド非公表]:自らを「Web3 の金融エコシステムのアグリゲーター」と呼ぶプロジェクトで、トークンは POG です。公式サイトに並ぶ柱は4つで、AI による利回り運用、RWA のサービス、ミームコインを束ねたローンチパッド、それに暗号資産で旅行を予約できるオンライン旅行代理店(OTA)です。ロードマップでは2027〜28年に東南アジアへ広げ、最終的には2029〜30年に5,000万ユーザーを目指すとしています。
REP[金額非開示/Angel]:利用者のオンチェーンでの活動・人とのつながり・実績・貢献を1つの評判プロフィールにまとめ、持ち運べるようにする評判と ID のネットワークです(crypto-fundraising.info の説明)。公式Xでは、AI エージェントが相手を探し、選び、実行するときに使う「Unified Coordination Graph」を作っていると説明していて、利用者の文脈(コンテキスト)を持ち運べて、証明できて、価値あるものにするのが狙いです。
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