KorbitをMirae Assetが約$102MでM&A、WorldにPantera Capital等が$52.5M出資、など全19PJ【資金調達PJまとめ】
直近1週間の資金調達情報をまとめました。
おはようございます。 今日は「今週1週間(7/25〜7/31)の資金調達PJのまとめ」です。
💥調達金額上位5プロジェクト
1、Korbit
概要:2013年に立ち上がった韓国最古の暗号資産取引所です。VASP(仮想資産事業者)ライセンスと10年超のコンプライアンス実績、Shinhan Bank との実名口座提携を持っており、今回 Mirae Asset Consulting がこれを丸ごと押さえました。7/22に91.73%の取得が完了し、その後の追加取得で持分は97.15%へ。累計投資額は₩133.5Bから₩141.4B(約$102M)に増えています。韓国公正取引委員会は7/9に、Korbit のシェアが0.5%と小さいことを理由に承認していました。取引所は7/23に「Digital X」へのリブランドを発表しており、ステーブルコイン・RWA(実物資産)・株式を1つに繋ぐ構想を掲げています。国内の金融大手グループが認可済みの取引所を直接保有する初のケースです。
カテゴリ:CEX, Finance/Banking
調達額:約$102M(₩141.4B・Mirae Asset側の累計投資額)
投資ラウンド:M&A
投資家:Mirae Asset Consulting(買収者)
発表日:7/22〜7/24(※前週分)
2、World
概要:Sam Altman 氏が共同創業した、虹彩スキャンで「人間であること」を証明する World ID のネットワークです。今回は機関投資家向けの WLD トークン私募で、2億1,700万WLDを売却しました。参加者には12か月のロックアップがかかります。オンチェーンデータから逆算した売却価格は1WLDあたり約$0.2415です。調達資金は、AIが前提の経済で人間性を検証する World ID の展開加速に充てられます。もっとも市場の反応は冷たく、発表後にWLD価格は約10%下落しました。長期の拡大よりも、目先で増える売り圧のほうが先に意識された形です。
カテゴリ:Ethereum Ecosystem, Identity, Zero-knowledge
調達額:$52.50M
投資ラウンド:Private(トークン私募)
投資家:★Pantera Capital、Eightco Holdings、Bain Capital Crypto、Susquehanna Crypto、Selini Capital
発表日:7/24(※前週分)
3、Axis Robotics
概要:ブラウザ越しにロボットを遠隔操作してもらい、その軌跡をフィジカルAI(実世界で動くAI)の学習データとして集めるデータエンジンです。独自の MetaSim アーキテクチャで、タスク生成・データ収集・データ拡張・モデル学習・実機への投入までを一続きにしています。ハードも専門知識もローカルの計算資源も要らず、Webページからそのまま貢献できるのが特徴です。グローバルで10万人超のコントリビュータが参加しており、月あたりシミュレーションデータ1,200時間超・実世界データ2万時間超を収集しているとしています。集めたデータで学習したポリシーモデルは Franka Arm(協働ロボットアーム)での実機動作まで到達済みで、主要プロダクトは Base チェーン上で展開予定です。
カテゴリ:AI, Base Ecosystem, DApp, Infrastructure
調達額:$12M
投資ラウンド:Seed
投資家:★Hack VC、Nomad Capital、Pi Network Ventures、10K Ventures、エンジェル投資家
発表日:7/27
4、Dow Protocol
概要:越境ECの事業者に、売上が立ってから入金されるまでのタイムラグを埋める運転資金をオンチェーンで供給する、RWAファイナンス基盤です。在庫・広告・仕入・物流・サプライヤーへの支払いに使える短期融資を出し、返済・決済・清算・回収までをプログラム可能なワークフローとして自動化していく設計になっています。利回りの出どころが暗号資産の取引手数料ではなく実在のEC事業者への貸付である点が、他のDeFiとの違いです。Dowsure などの既存EC金融事業者と組んで、与信審査とリスク分析を持ち込んでいます。すでに Lista DAO が Dow Protocol 上にAPY10%(90日タームの)RWA Vaultを立ち上げ、Conflux とも決済レール周りで提携しています。
カテゴリ:Real-World Assets, DeFi, Payment
調達額:$9M
投資ラウンド:Seed
投資家:★MH Ventures、OKX Ventures、Animoca Brands、Arcane Group、Essentia Partners、Quartet Group
発表日:7/27〜7/28
5、Perceptron Network
概要:世界中の貢献者を1つのメッシュに束ね、AI企業が必要とするデータセットを数日単位で集める分散型AIデータネットワークです。従来の中央集権的なスクレイピングや閉じたデータ提携を置き換えることを狙っています。2025年半ばに70万ノード規模の BlockMesh Network と統合しており、現在は150か国超・80万ノード超、デイリーアクティブな貢献者は30万人超としています。今回の資金は「データクエスト」プラットフォーム(AI企業が欲しいデータを直接発注できる仕組み)の立ち上げと、貢献者向けツール・報酬インフラの拡張に充てられ、500万ノードを目標に据えています。データを提供した本人がその所有権と収益を持てる、という設計思想です。
カテゴリ:AI, Data Service, DePIN, Infrastructure
調達額:$6.50M
投資ラウンド:Strategic
投資家:Sigma Capital、Selini Capital、QCP Capital、P2 Ventures、CoinDCX Ventures、Momentum6、DeFi Capital、Walrus Foundation、Aethir、Colosseum、GuruDev Capital、Tempo Finance、NewTribe Capital、Digital Consensus Fund、CodeCraft Capital(※公式リリースにリード表記なし)
発表日:7/30
✨その他、14プロジェクト
Mandela Digital[$5M/Strategic]:グローバルサウス(アフリカ・東南アジア・ラテンアメリカ)の銀行口座を持たない層に向けた、米ドル1:1裏付けのステーブルコイン「Mandela Dollar(MUSD)」を開発しています。今回の出資元は Nasdaq上場の Datavault AI で、資金だけでなくAIシステム・トークン化基盤・耐量子暗号・RWAフレームワークといった技術プラットフォームも提供します。資金使途はステーブルコインのインフラ整備、規制対応、取引所への上場、流動性確保、市場投入です。※7/22発表(前週分)
Beezie[$4M/Strategic]:フィジカルなコレクティブル(トレカ・ラグジュアリー品など)を、ゲーム性のあるプールから引き当てて、その場で「保有する」か「公正市場価格の90%で戻す」かを選べるコマースプラットフォームです。実物1点ごとにオンチェーンのデジタルツインが発行され、プログラム可能で取引可能な資産になります。ローンチ以降のGMVは$170M超、年初来の売上は$85M超で、9か月で50倍の成長・2026年1月以降のアクティブユーザーは3万人超と開示しています。投資家は ★Psalion(VC Fund III)。※7/27発表
Birdai Labs[$4M/Seed]:サンフランシスコ拠点の、オンチェーン取引の約定品質を測って改善するインフラ企業です。注文を出してから約定するまでの間に漏れていく価値(MEVやスリッページ)に、測る標準も取り戻す手段も無かった、というのが出発点です。監視対象チェーンのベースレイヤーに自前でインフラを持つため、「何が確定したか」だけでなく「トランザクションがどう並べられ、どう伝播したか」まで見えます。2025年に Kevin Farrelly 氏と Greg Scanlon 氏が創業。投資家は ★Castle Island Ventures、他に Metalayer Ventures、The Venture Dept。※7/28発表
Memecoin.Fun[$3.50M/Strategic]:Robinhood Chain 上のトークン発行プラットフォーム/ローンチパッドです。今回の調達は USDG建てで実施されました。資金はローンチパッドのアップグレード、クロスチェーンブリッジの拡張、複数チェーンのミーム資産を繋ぐオールチェーン基盤の開発に充てられます。Robinhood Chain のローンチパッド争いが競争局面に入ったことを示す一件です。投資家は ★Becker Ventures、他に BitValue Capital、Mason Labs、Negentropy Capital、エンジェルの Billy Wen 氏。※7/24発表(前週分)
TownSquare[$1.32M/Public sale]:機関投資家向けのキュレーテッド・ボールト(運用方針を専門チームが設計する利回り商品)とクロスチェーンのオンチェーン・ブローカレッジを提供する、クロスチェーン利回りインフラです。Monad・Ethereum・BNB Chain で運用戦略を展開し、USD1ステーブルコインやオンチェーン金といったRWAもパイプラインに入れています。今回は Echo の Sonar を使った公募で、ラウンド評価額は$200M。5月には別途 Series A で$16.25Mを調達済みで、累計は$17.57Mになりました。※7/14〜7/26のセール、募集は超過
K25.ai[金額非公開/Series A]:ライブ配信を見ながら「次に何が起きるか」を予測して賭ける、”watch-to-predict” のプラットフォームです。マーケットの生成・配信の監視・結果の判定をすべてAIが担います。今回のSeries Aで評価額は$200M(ポストマネー)となり、60日足らずで倍増しました。前のPre-Aは Nasdaq上場の NewGenIVF Group がリードしており、Amber Group は2社目の機関投資家です。創業者兼CEOの Andy Cheung 氏は OKX のCOO出身。米国・中国本土・香港・マカオの居住者には提供していません。投資家は Amber Group(戦略的支援・金額非開示)。※7/23発表(前週分)
Ethereum Institutional[金額非公開/Ecosystem round]:Ethereum の機関採用を進めるための独立組織で、初回のエコシステム資金調達ラウンドをクローズしました。100を超える組織と業界人が支援に回っており、BitMine、SharpLink、Ethereum共同創業者の Joe Lubin 氏と Mihai Alisie 氏に加えて、21Shares・Anchorage Digital・Arbitrum・Circle・Consensys・Fireblocks・Galaxy・Ledger・MetaMask・Robinhood・Securitize・Uniswap Labs・zkSync などが名を連ねています。狙いはトークン化資産・ステーブルコイン・担保システム・オンチェーン市場インフラです。ラウンド規模は非開示。※7/29発表
Newton(旧 Magic Labs)[金額非公開/M&A]:Magic Labs が埋め込み型ウォレット事業を Payward(Kraken の親会社)に売却し、自身は Newton Labs へ社名変更しました。取引はアセットセールの形で、両社は独立した別会社として存続します。ウォレット顧客のサポートは8/1から Payward 側に移ります。Magic は2018年の創業以来6,000万超のウォレットを発行し、20万人超の開発者が利用、Polymarket や WalletConnect も採用してきました。売却後の Newton Labs は、オンチェーン取引が確定する前にコンプライアンス・セキュリティ・リスクのポリシーを効かせる認可レイヤー「Newton Protocol」に専念します(条件非開示)。※7/27発表
Notabene[金額非公開/Strategic]:オンチェーン取引の規制対応、いわゆるトラベルルール(送金者・受取人情報の事前交換義務)のメッセージング基盤を提供します。ネットワークは100超の法域・2,300超の機関に広がり、年換算$2T超の取引量を扱っているとしています。今回 Ripple が戦略出資し、同社のステーブルコイン RLUSD を、Notabene がこの春に出した法人向けステーブルコイン決済基盤「Notabene Flow」に統合していきます。Ripple Payments との補完も検討されます(条件非開示)。※7/23発表(前週分)
Creepz[金額非公開/M&A]:2021〜22年サイクルを代表するNFTコレクションのひとつが、Unserious Inc に買収されました。実業家・投資家の Adam Weitsman 氏が出資して支え、オリジナルの創業者陣も賛同しています。Creepz の世界観を作った Psychrome 氏が復帰してIP開発を率いる形で、同氏は Nike・Salomon・Disney・Warner Bros. などとのコラボ経験があります。Unserious 側は ApeCoin をはじめとする大型トークンローンチの運営経験を持つチームです(条件非開示)。※7/22発表(前週分)
Lunar Strategy[金額非公開/M&A]:2019年にポルトガル・フンシャルで立ち上がったクリプト特化のマーケティング/グロース代理店を、スイス拠点で流動性分配プロトコルを手がける Turtle が買収しました。Lunar はこれまで400超のプロジェクトを市場に出し、$30M超のキャンペーン予算を運用、1,500人超のクリエイター網を築いてきました。買収後も社名・チーム・既存クライアントはそのまま維持されます。Turtle の資金分配インフラと、Lunar の注目を集める力を1つのスタックにまとめる狙いです(条件非開示)。※7/23発表(前週分)
Fluid(旧 Instadapp)[金額非公開/Strategic]:DeFiレンディング/DEXの Fluid が AGI3 Group と戦略提携し、その一環として Kinetic Group が FLUID 総供給量の最大10%をセカンダリ市場とOTCで取得する計画を公表しました。現在価格ベースで約$11.69M相当にあたります。これらのトークンはDAOトレジャリーやチーム割当からは出ません。あわせて Fluid Foundation は総供給の5%を、スイス・EU・香港・シンガポールの規制対象カストディアンに4年ロックアップで預けます。ソブリンウェルスファンドや銀行、ファミリーオフィス、アセットマネージャー向けのDeFiインフラを整えるのが狙いです。※7/24発表(前週分)
gno.land[金額未確定/Public sale]:Cosmos と Tendermint を作ったチームによる、Go言語ベースのスマートコントラクト・プラットフォームです。GNOT の公募は Echo のコンプライアンス基盤 Sonar を通じて 7/20 12:00 UTC〜7/27 12:00 UTC の1週間、1GNOT=$0.0645の固定価格で実施されました。最低$1,000・上限$100,000/ウォレット、参加にはSonarの本人確認と自己管理型のEthereumウォレットが必要という条件です。メインネットは2026年Q3の予定。※調達総額は本稿執筆時点で確定値が公表されていません
OdinBot[金額非公開/M&A]:Solana 向けの高性能なコピートレード基盤です。低遅延の執行、リスク管理、ウォレット分析・スクリーニング、MEV保護、自動の利確・損切りに対応し、Telegram ボットに依存しないWeb完結型である点を売りにしています。現物と無期限先物の両方でコピートレードが可能です。データソース上は7月の M&A として登録されていますが、買収者・取引条件を裏付ける一次ソースが特定できていません。続報が出た時点で改めて扱います。
今週の見立て
今週の特徴は、期間内の純粋な新規案件が9件と薄く、前週の取りこぼしを足してようやく19件になったことです。金額もトップの Korbit(約$102M)と World($52.5M)を除けば$12M以下に収まっており、大型ラウンドが一巡した後の谷にあたります。
そのうえで並べ直すと、2つの流れが見えます。ひとつは既存プレイヤーの買い漁りです。Mirae Asset が Korbit を、Payward が Magic Labs のウォレット事業を、Turtle が Lunar Strategy を、Unserious が Creepz を、それぞれ買っています。しかもこのうち条件が開示されたのは Korbit だけです。前号でもSBIとBybitが取引所を買っており、買収が主要な資本移動の手段になりつつあるという流れは2週続いています。
もうひとつは、AIの学習データに金が向かい始めたことです。Axis Robotics($12M)と Perceptron Network($6.5M)はどちらも「人間の貢献をトークンで報酬化してデータを集める」という同じ型で、しかもモデルではなくデータ側に賭けています。DePIN の文脈で語られてきた仕組みが、フィジカルAIとAI学習データという実需に接続してきたと読めます。
そして Ripple が Notabene に出資した件は、金額非開示ながら今週いちばん構造的な話かもしれません。トラベルルールの配管を押さえた会社に、ステーブルコインの発行体が資本で入る。要は、規制対応そのものが決済インフラの取り合いの場になってきたということです。
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