おはようございます。
今日は「Pump fun GO」をリサーチしました。
概要|Pump.funとは?
変遷|ミームコイン工場が「何でも屋」市場に行き着くまで
考察|GOは多角化の切り札か、新たな火種か
TL;DR
Pump.funは2026年6月4日に「誰にでも・何でも頼める」バウンティ(bounty/賞金タスク)マーケットプレイス Pump fun GO を発表しました。最低$5からタスクに賞金をかけられ、資金は Solana 上でエスクローされます。
背景にあるのは、累計収益の約9割を本体ローンチパッドに依存する構造からの脱却です。PumpSwap・Kolscan 買収・収益50%の買い戻し&バーンと続いてきた「多角化+トークン価値還元」戦略の最新の一手が GO です。
ただしローンチ数時間で自殺関連バウンティが出現して炎上し、NY州知事が禁止法案支持を表明したと報じられました。
概要|Pump.funとは?
Pump.funは、Solana 上で誰でも数クリックでミームコインを発行できるローンチパッドの最大手です。2024年1月のローンチ以降、ボンディングカーブ方式のフェアローンチでトークン発行を「遊び」に変え、2026年3月には Solana 史上初の累計収益$1B超えアプリ になったと報じられています。
その Pump.fun が2026年6月4日、公式Xで新プロダクトPump fun GO を発表しました。ミームコインの工場が突然「人間に賞金をかけるマーケットプレイス」を出してきたことが何を意味するのかを、今回掘り下げます。
◼️解決する課題
まず本体の Pump.fun が解決してきた課題はこうです。
トークン発行には技術知識や初期流動性の準備が必要で、個人には敷居が高かった
プレセールや開発者の持ち分操作によるラグプルが横行していた
発行直後のトークンに公平な価格発見の場がなかった
Pump.fun はこれを「全トークンを同条件のボンディングカーブで発行し、一定の時価総額に達したら DEX へ『卒業』させる」という仕組みで標準化しました。そして今回の GO が狙うのは、その次の課題であるクリプトの投機エネルギーが「コインの売買」に閉じており、実世界のタスクやお金のやり取りと接続されていないという点です。
◼️プロダクトの柱
1. launchpad 本体(pump.fun)
中核事業です。DefiLlama によれば累計収益は $1.037B、直近30日収益$21.1M。手数料は2025年9月の「Project Ascend」で時価総額に応じた変動制(0.05〜0.95%)に移行し、クリエイターへの分配を厚くしています。
2. 自前DEX「PumpSwap」
2025年3月に投入した、卒業トークンの受け皿となるDEX です。ローンチ1週間で取引高$1Bを超え、手数料累計$626M・収益累計$113Mまで育っています。
3. PUMPトークンと買い戻し&バーン
2025年7月の ICO で発行した $PUMP に対し、現在は「今後12ヶ月、純収益の50%を不可逆なスマートコントラクト経由の買い戻し&バーンに、残り50%を開発・採用・マーケ・買収に充てる」方針を掲げています。
このほか、モバイルアプリ(2025年2月)、モデレーション付きで再開したライブ配信、買収したウォレットトラッカー「Kolscan」など周辺ツールが脇を固めます。
◼️深掘り:GOとは何か
今回の主役 GO は、一言でいえば Solana 上のバウンティ・マーケットプレイスです。公式発表の原文はこうです。
“Introducing pump fun GO: Pay ANYONE to do ANYTHING. Create & complete bounties for ANY task and leverage the power of humans & money across the globe”
(訳:pump fun GO を発表します。誰にでも、何でもお金を払って頼めます。あらゆるタスクのバウンティを作成・達成して、世界中の人間とお金の力を活用しましょう)
仕組みはシンプルです。X アカウントと Solana ウォレットを接続し、タスクの説明・期限・成果物を記入してバウンティを作成(最低$5から)。資金は作成と同時に Solana 上でロックされ、提出物を Pump.fun が承認すると支払われます。期限切れまで承認がなければ作成者に返還されます。
ローンチ直後の数字は、数時間で230超のバウンティ・ロック総額$111K、その後320超のアクティブタスク・提出1,100超・未請求報酬約$144K。一方で実際の最高支払額は$686.44にとどまり、現時点では小口の「お祭り」が中心です。
そして炎上も同時に起きました。ローンチ数時間後に 10,000 SOL(約$690K)の自殺関連バウンティが出現したと報じられ、約$57Kのスカイダイビング系バウンティが精査後に消えたという報告もあります。Pump.fun 側の公式声明やモデレーション方針の公表は、6月6日時点で確認されていません。さらに報道によれば、ニューヨーク州知事 Kathy Hochul 氏が6月5日に X で GO を批判し、禁止法案への支持を表明しました。
変遷|ミームコイン工場が「何でも屋」市場に行き着くまで
◼️創業背景
Pump.fun の出発点は、創業者たち自身がラグプル被害への不満を抱えていたことにあると報じられています。プレセールも開発者枠もない同一条件のフェアローンチなら、少なくとも「発行者だけが有利な設計」は排除できる、この発想が、誰でも無料同然でトークンを発行できるローンチパッドに結実しました。
◼️創業者プロフィール
運営会社はロンドン拠点の Baton Corporation Ltd。中心メンバーは3人です。
Noah Tweedale(ノア・トウィーデール): CEO。
Alon Cohen(アロン・コーエン): COO。X(@a1lon9)で発信する「対外的な顔」です。
Dylan Kerler(ディラン・カーラー): CTO。
3人とも英国人で、創業時は20代前半だったと報じられています。「Oxford で出会った」とも報じられていますが、これは二次ソース由来の情報です。
◼️創業からのタイムライン
2023年9月19日: ドメイン登録
2024年1月19日: pump.fun ローンチ
2024年7月: 累計発行100万トークン、手数料収入$60M到達
2024年11月: 有害コンテンツ批判を受けライブ配信を無期限停止。13歳が自作トークンをラグして約$50Kを得た「Gen Z Quant」事件も発生
2024年12月: 英 FCA の警告を受け、英国ユーザーを全面ブロック
2025年1月30日: 米 SDNY で集団訴訟(Aguilar v. Baton Corporation Ltd.)。「未登録証券の販売」と主張され、被告には創業者3人が名を連ねます(2026年6月時点で判決・和解なし)
2025年2月14日: モバイルアプリ公開
2025年3月20日: 自前 DEX「PumpSwap」ローンチ。1週間で取引高$1B超
2025年4月11日: ライブ配信をモデレーション付きで再開
2025年7月: ICO 直前に初買収となるウォレットトラッカー「Kolscan」を発表
2025年7月12日: $PUMP ICO。公開セール$500Mが12分で完売
2025年7月中旬: 収益による買い戻し開始
2025年7〜8月: LetsBonk に卒業数で一時逆転されるも、8月にシェア5%→90%へ回復
2025年9月: 手数料変動制「Project Ascend」導入。9月14日に PUMP が ATH$0.00882
2025年10〜11月: PUMP 急落。チームの大口 USDC 引き出しが発覚し「exit scam」批判
2026年3月: 累計収益$1B到達。ethereum / base / monad のサブドメイン登録が発見されクロスチェーン展開が示唆される(公式発表ではありません)
2026年4月28〜29日: 買い戻し済み PUMP を全量バーン+収益配分の方針転換
2026年6月4日: GO ローンチ
2026年6月6日: PUMP が ATL(過去最安値)$0.00132 を記録
◼️資金調達・トークンセール履歴
外部 VC からのエクイティ調達ではなく、ICO 一発で巨額を集めたのが特徴です。
2025年7月12日: $PUMP ICO。公開セールで供給の12.5%にあたる125B枚を1枚$0.004で販売し、$500Mを12分で完売。FDV$4B。
その後の「トークン価値還元」の変遷が、この会社の信頼の浮き沈みをそのまま映しています。
2025年7月〜: 収益100%を充当する買い戻しを開始(日次$1〜2M、2026年2月時点で累計$300M超)
2025年10〜11月: $72Mを買い戻すも下落止まらず。同時期にチームが$436M〜$465.5MのUSDCを引き出し、「キャッシュアウトでは」と批判が噴出
2026年4月28〜29日: 信頼回復策として、買い戻し済みPUMPを全量焼却(約$370M相当・循環供給の約36%。第1弾バーンは128.22B枚=約$233M相当)。あわせて「今後12ヶ月、純収益の50%を不可逆スマートコントラクト経由の買い戻し&バーン、残り50%を開発・採用・マーケ・買収へ」と方針転換
このとき COO の Alon 氏は X でこう述べています(抜粋)。
それでも PUMP は厳しい水準にあります。6月9日時点(CoinGecko)で価格は$0.00152、時価総額$533M(98位)、FDV $1.31B。ATH から -83%、ICO 価格比 -62%、直近30日でも-29.3%。そして GO ローンチ2日後の6月6日に ATL $0.00132 をつけました。
◼️業界全体の変遷:ローンチパッド市場の興亡
Pump.fun が切り拓いたローンチパッド市場は、2025年に激しい争いを経験しました。2025年7月には LetsBonk が卒業トークン数で首位を奪い、Pump.fun の日次収益は$169Kまで縮小。しかし8月にはシェア5%→90%へ劇的に回復し、LetsBonk は約3%(卒業トークン数シェアベース)まで崩落しました。
ただし勝者になっても市場自体が縮んでいます。Solana の週次 DEX 取引高が2週間で約82%($104.3B→$18.8B)崩落した局面もあり、発行トークンの卒業率は2%未満という研究もあります。それでもPump.funは Q1 2026 に収益$124.7M(前四半期比+17%)を上げ、Solana アプリ収益$342.2Mの3割超を占めました。
つまり「縮小する市場で一人勝ち」している状態です。だからこそ、累計収益の約9割を本体ローンチパッドに依存する構造が次のリスクになります。Kolscan(ウォレットトラッカー)→ Terminal(取引ツール)→ GO(バウンティ市場)という多角化の流れは、この一本足打法からの脱却そのものですし、公式発表前ながらクロスチェーン展開を示唆するサブドメインの発見も同じ文脈で読めます。
考察|GOは多角化の切り札か、新たな火種か
結論から言うと、GO は「launchpad 一本足打法からの脱却」を賭けた合理的な多角化の一手でありながら、最初の48時間で Pump.fun の最大の弱点であるモデレーションをそのまま露呈してしまった、と見ています。
◼️強み
圧倒的な収益基盤と資金力: 累計収益$1B超、縮小市場でも Solana アプリ収益の3割を稼ぐ収益力に加え、ICO で約$1.3Bを確保済み。純収益の50%を開発・買収に回す方針で、新規事業に投じる弾は十分にあります。
配給チャネルとユーザーベース: 直近24時間のデプロイ数で競合が2〜3桁件のところ、Pump.fun は29,415件。X 連携+ウォレット接続だけの軽いオンボーディングは、本体で鍛えた「群衆を即座に動かす」動線そのものです。
実行力とエスクロー基盤: PumpSwap を1週間で取引高$1Bに乗せ、LetsBonk 戦争から2ヶ月で巻き返した実績。GO の「Solana 上で資金をロック→承認→支払い」という仕組みは、バウンティ以外のタスク市場にも応用が利きます。
◼️弱み・リスク
モデレーションと規制リスク: 自殺関連バウンティの出現に対し、6月6日時点で公式声明なし。報道ベースとはいえ州知事が禁止法案支持に言及し、英国ブロック・SDNY 集団訴訟係属中という前提もあります。「Pump.fun が単独で承認し、不服申し立て不可」という規約は、分散性の観点からも批判を受けやすい設計です。
トークンへの信頼の毀損: ATH から-83%、GO 発表直後に ATL 更新。$370Mバーンという思い切った還元策でも下落が止まっていないのは、2025年11月のトレジャリー引き出し批判で傷ついた信頼がまだ回復していないことの表れに見えます。
GO 自体の実需の薄さ: 最高支払額$686.44、未請求報酬約$144Kという規模はまだ実験レベルです。手数料率が未公表のため、GO が収益にどう貢献し、買い戻し&バーンに乗るのかも現時点では判断できません。
◼️個人的な見解
個人的には、GOは「ミームコインで稼いだお金と注目をコイン売買の外側に向けた実験」だと捉えています。ローンチパッドが「投機の民主化」だったとすれば、GO は「ギグワークの投機化」です。
ただ、Pump.fun の歴史はライブ配信停止→再開、LetsBonk 戦争、トレジャリー批判→全量バーンと、「やらかしてから直す」の繰り返しでもありました。GO も同じ軌道に乗るのか、それとも今回ばかりは規制当局が先に動くのか。ミームコインよりも規制が入りそうな領域ですので、引き続き注目していきたいです。
参考リンク
公式発表(X・@Pumpfun): Introducing pump fun GO
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