おはようございます。 8/22(土)~8/25(火)の主要ニュースを紹介します。
Pickup News
コインベース、米国株のトークン化サービスをベースチェーンで開始
Coinbaseが、アップルやエヌビディアなど米国株の端株をトークン化するサービスを、自社のEthereum L2であるBase上で開始しました。原資産はアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の監督下にある規制対象カストディアン「アルパカ」が1対1で保管し、破産隔離構造を取ります。
購入の入口になるのは機関投資家型マーケットメーカーである「指定参加者」で、ユーザー側はセルフカストディ型ウォレットで持てる設計です。ブローカー兼カストディアンをアルパカが担うという役割分担も明示されています。
トークン化株式はこれまで「発表はあるが実際に触れない」ものが多かった領域です。ここが動いたということは、証券のトークン化が実験フェーズからプロダクトのフェーズに移ったということでもあります。見どころは、破産隔離とカストディの設計が実際の相場の急変にどこまで耐えるかで、そこが確かめられるまでは評価を急がないほうが健全です。
金融庁、日本円ステーブルコインの「100万円超取引」を可能にするよう要望提出へ=日経
金融庁が、近くまとめる税制改正要望に、信託型ステーブルコインの取引に伴う手続きの簡素化を盛り込む見通しだと日経新聞が8月24日に報じました。相続税法・所得税法の改正を通じて、所有者情報に関する書類提出を一律で不要にするよう求める内容とされています。
前提を整理すると、JPYCのような資金移動型には発行・償還1回あたり100万円の制限がかかる一方、JPYSCなどの信託型にはもともとその制限がありません。にもかかわらず大口が動きづらかったのは、書類提出の手間が実務上のブレーキになっていたためです。年末の税制改正大綱に向けて議論し、27年度以降の実現を目指すとされています。
つまり今回の話は「上限を引き上げる」というより、上限がないはずの信託型を実際に使える状態にする、という手続きの話です。ただし記事執筆時点で金融庁の税制改正要望そのものは公開されておらず、あくまで報道ベースの情報である点は押さえておきたいところです。
ソラナ、ブロック生成時間を350ミリ秒に短縮 段階的に200ミリ秒目指す
Solanaが8月22日、目標スロット時間を従来の400ミリ秒から350ミリ秒へ短縮したと公式Xで発表しました。提案「SIMD-0525」は、50ミリ秒ずつ4段階で350→300→250→200ミリ秒と下げていく設計で、今回はその第1段階にあたります。
技術的にはブロック伝播を担うTurbineと、受け取ったブロックを検証・実行するReplayの性能改善を使っています。1人のリーダーが連続4スロットを担当する時間は約1.6秒から約1.4秒に縮み、200ミリ秒まで到達すれば約0.8秒になります。7月にはスロット当たりの計算上限を6,000万CUから1億CUへ引き上げており、処理量と速度の両面で手を入れている格好です。
L1の性能は発表とベンチマークだけが先行しがちですが、これはメインネットの実測値が実際に変わった事例です。ここがポイントで、体感が変わるのは板の更新頻度や清算の速さといった、取引系アプリの手触りの部分になります。
その他のニュース
スタンダードチャータードの香港法人、HKDAP初の取扱銀行に
Standard Charteredの香港法人が、Anchorpoint Financialの発行する香港ドル裏付けステーブルコイン「HKDAP」について、初の銀行ディストリビューターになったと8月24日に発表されました。
HKDAPは香港で規制下にある初の香港ドル裏付けステーブルコインと位置づけられており、Anchorpoint FinancialにはHKTやAnimoca Brandsが関わっています。2026年第4四半期にはトークン化マネー・マーケット・ファンドの申込・決済開始、年末にフルローンチを目標としています。
要は、ステーブルコインの配布チャネルに大手銀行が正面から入ったということです。発行体だけでなく「誰が売るか」が整い始めた点が今回の変化です。
フランクリン・テンプルトンとハッシュキー、アジアでトークン化マネーファンドを展開
Franklin Templetonの「Franklin OnChain U.S. Government Liquidity Fund」が、HashKeyのプラットフォーム上の「Earn channel」を通じて配信されることになりました。対象はプロフェッショナル投資家に限られます。
HashKeyは香港・シンガポール・東京・ドバイ・バミューダで展開しており、記事は同ファンドを「Hong Kong’s first tokenized money-market fund」と表現しています。RWA全体の市場規模は8月23日時点で$38.2B、1年前の$20.6Bから伸びています。
つまり、トークン化された米国債ファンドがアジアの富裕層・機関の窓口に並び始めたということです。東京が配信先に含まれている点は日本の読者にとって近い話になります。
ビットバンク、イーサリアム(ETH)のステーキングサービス提供開始。報酬を毎週付与
ビットバンクが8月25日、ETHのステーキングサービスを開始しました。毎週月曜日午前0時時点で受取設定を確認し、前週分の保有状況をもとに算定した報酬を月曜日午前8時ごろに付与する仕組みです。
提示されている利率は、ステーキング年率が2.83%、ビットバンクが受け取る報酬から所定の手数料を引いたあとのユーザー利回り参考値が1.78%です(2025年12月31日基準、beaconcha.in/ETH.STOREを参照)。
ここがポイントで、国内の取引所でETHを「置いておくだけ」の状態から利回りのつく状態に変えられるようになります。年率の見え方が2つ並ぶので、比較するときは手数料控除後のほうを見るのが実務的です。
国内初、ナイト(NIGHT)がソニーGのS.BLOXに上場。カルダノ(ADA)も取扱開始
ソニーグループ傘下のS.BLOXが8月24日、NIGHT/JPYとADA/JPYの取扱を開始しました。NIGHTの国内取扱は今回が初の事例です。
NIGHTは、ゼロ知識証明技術を使ってデータ保護とブロックチェーンの利便性の両立を目指すプライバシー特化型ブロックチェーン「ミッドナイト(Midnight)」のネイティブトークンです。Midnightは2022年に立ち上げられ、ADAと同じくCharles Hoskinson氏が関わっています。これでS.BLOXの取扱は計8銘柄になりました。
つまり、プライバシー特化のトークンが日本の規制下の取引所に初めて並んだということです。プライバシー系がどこまで国内で扱えるのかを測る材料になります。
金融庁予算が過去最大に、暗号資産・AI監視も強化対象に
金融庁の来年度予算要求が400億円規模となり、前年度比で6割程度の増加になる見通しです。従来の200億円台から一段跳ね上がる形になります。
中身は、AIを活用した市場監視・モニタリング基盤の整備、金融機関のサイバーセキュリティ対策強化、耐量子計算機暗号(PQC)への移行支援などです。暗号資産取引業者のモニタリングやリスク対応を担う専門人材の増員、「検査企画室(仮称)」の新設も盛り込まれています。
要は、規制を作る側が監視の実行力にお金を張り始めたということです。ルールの整備と、それを見に行く体制の整備は別物なので、後者が動いたのは意味のある変化です。
ストラテジー、MSTR売却で約20億ドル調達。「USDキャッシュ」新設、残高15.9億ドル
Strategyが、ATMプログラムを通じてクラスA普通株式「MSTR」を1,826万1,118株売却し、約$2.0065Bを調達しました。8月23日時点で残高$1.59Bの「USDキャッシュ」を新設しています。
用途はBTC取得、優先株の現金配当、既存債務の利払い、MSTRや優先株の買い戻し、転換社債の償還など幅広く設定されています。一方で8月17日から23日の期間中はBTCの購入も売却も行っておらず、保有は84万447BTC、平均取得価格は1BTCあたり$75,385です。
ここがポイントで、調達した資金がそのままBTCに向かわなくなっています。「買い増しマシン」から資金繰りを整える会社へと、動き方が変わりつつあります。
ソラナで新ガバナンス提案「SGP」の投票開始、SOL発行量削減や手数料改革など3案
Solana Governance Proposal(SGP)の投票が8月23日に始まりました。SGP-0001がネットワークの意思決定ルールを定める「ソラナ憲法」、SGP-0002が新規発行量の削減ペースを加速する「ダブル・ディスインフレーション」、SGP-0003が手数料改革です。
SGP-0002はディスインフレーション率を15%から30%へ引き上げるもので、最終インフレ率1.5%への到達が約5.7年から約2.8年に縮み、今後6年間でSOLの発行量が約1,890万SOL減る計算になります。現在は1日あたり約6万SOLが新規発行され、約648SOLがバーンされています。投票はステーク加重で、エポック1023終了時(日本時間8月28日午前0時30分ごろ)まで行われます。
つまり、速度の話と並行してSOLの経済設計そのものが投票にかけられているということです。性能改善よりこちらのほうが保有者の損得に直結します。
ハイパーリキッド政策団体、SECとCFTCにパーペチュアルの統一分類を提言
独立系の調査・政策提言組織であるHyperliquid Policy Center(HPC)が8月24日、SECとCFTCの共同意見募集に対してコメントレターを提出しました。
求めているのは、契約の特徴と取引方法に基づいてパーペチュアルを「先物」か「スワップ」に分類する統一基準です。固定満期日の有無だけでなくファンディングレートによる価格調整も先物の特徴として認めること、現金決済型の株式パーペチュアルを「証券先物」として上場可能と確認することなどを挙げています。背景には、CFTCが2026年5月にKalshi EXの「BTCPERP」を先物契約として承認し、6月にSECとCFTCがスワップ定義の明確化で共同意見募集を始めた経緯があります。
要は、業界側が「どっちの当局の管轄か」を先に決めてくれと言い始めたということです。管轄が割れたままだと、同じ商品が場所によって違う扱いになります。
米ブロックチェーン協会、ステーブルコイン発行体のKYCルールに修正要請
米ブロックチェーン協会が、GENIUS法にもとづき5当局が6月22日に連邦官報で公表した「顧客確認プログラム(CIP)規則案」について修正を要請しました。
一次市場に限定する方針そのものには賛成した上で、「口座」の定義から単発の償還取引、業務委託先との関係、ステーブルコイン以外の事業、他の規制金融機関経由の償還の4類型を外すよう求めています。他機関のKYC手続きに依拠した場合にその機関の不備の責任をPPSI(認可決済ステーブルコイン発行体)が負わない扱いにすることも要望しています。
つまり、法律が通ったあとの細則の詰めがいま進行中だということです。ここでの線引きが、発行体が誰の身元をどこまで確認するかを実務レベルで決めます。
ジェミナイ、暗号資産予測市場をエイペックスの証券会社顧客に提供へ
Geminiが8月24日、証券会社向けに取引・清算インフラを提供するApex Fintech Solutionsと意向表明書(LOI)を締結したと発表しました。
子会社のGemini Titanが、ApexのFCMを通じて証券会社に提供される暗号資産イベント契約の独占的な規制取引会場になる構想です。Gemini Titanは2025年12月10日にDCM指定、Gemini Olympusは4月29日にDCO登録を受けており、CFTCの規制下で組み立てられています。詳細は今後数週間で詰めるとされています。
ここがポイントで、予測市場が「クリプトのアプリ」ではなく証券会社の商品棚から入ってくるルートを取り始めました。
ターム・ファイナンスでガバナンス攻撃、約850万ドル流出か。メタ・ボールトへの入金を恒久停止
Ethereum上の融資プロトコルTerm Financeで、ガバナンスに関するエクスプロイトにより約$8.5Mが流出しました。内訳は約2,843 ETH(約$6.87M)と約168万USDCで、USDCはその後DAIに交換されています。
開発元のTerm Labsは具体的な手口を公表していません(PeckShieldなど第三者の分析では投票権の過半数を取得して悪意ある提案を成立させたとされていますが、公式説明ではありません)。対応としてすべてのターム・メタ・ボールトを停止し、新規入金を永久停止、DAOのガバナンス権限を無効化した上で、既存ユーザーの出金機能は維持しています。プロトコルはYearn V3をベースにERC-4626規格で作られています。
つまり、鍵を盗まれたのではなく、正規の手続きを使って資金が抜かれたということです。ガバナンストークンが市場で買える以上、投票権も買えるという構造は残り続けます。
BNB Chain activates Pasteur hard fork to strengthen bridge security
BNB Chainが8月25日、BSCメインネットで「Pasteur」ハードフォークを実施しました。ブリッジまわりの検証とバリデータ管理を締める内容が中心です。
BEP-682はクロスチェーンのライトブロック検証で重複したバリデータのエントリを弾き、BEP-695はバリデータの鍵ローテーション・スラッシング・ガバナンス投票の制御を強化、BEP-675は専門ビルダーがバリデータへブロックを提出する方法を変えます。同じバリデータがブリッジの承認で複数回カウントされること、古い鍵に権限が残ること、制限アドレスが投票することをそれぞれ防ぐ設計です。QANetのテストではスループットが1,237 TPSから2,324 TPSへ約88%伸びました。ブロックタイムは450ミリ秒のままです。
つまり、ブリッジの事故を「あとから止める」のではなく、承認の数え方の側で潰しにいったということです。橋の安全対策としては地味ですが効きどころではあります。
Circle Targets Sept. 16 for Arc Public Mainnet Launch
Circleが、自社チェーン「Arc」のパブリックメインネットを9月16日に立ち上げる方針を示しました。取引手数料はUSDC建てで、コンセンサスは許可制のproof-of-authorityです。
バリデータにはCircleのほか、BlackRock、The Depository Trust & Clearing Corporation、Galaxy、Global Payments、ICE、Mastercard、MoneyGram、SBI Group、Standard Chartered、Sumitomo Corporation、Visaが名を連ねます。テストネットでは6億7,150万件の取引と約300万個のウォレットが動いています。
つまり、既存の決済・清算インフラの当事者がそのままバリデータになるチェーンです。SBIと住友商事が入っている点は日本から見ても近い話になります。
米財務省がイラン制裁を拡大、デジタル資産やゴールドも対象に
米財務省が「オペレーション・エコノミック・アウトキャスト(Operation Economic Outcast)」として、仮想通貨・金・航空・技術・海運など複数分野にまたがる対イラン制裁を拡大しました。スコット・ベッセント財務長官はこれを「経済版のDデイ」と呼んでいます。
暗号資産まわりでは、$30,000超のビットコインを保有するアルマン・カザディアン氏に関連するウォレットや複数のアドレスが指定されました。イラン最大手の取引所ノビテックスは6月にすでに指定済みで、これまでに約$1B相当のイラン関連仮想通貨が押収されています。
ここがポイントで、暗号資産が航空や海運と並ぶ制裁カテゴリとして扱われています。単発の摘発ではなく、制裁回避インフラとして制度的に位置づけられたということです。
コスモスラボ、Cosmos EVMのセキュリティ問題で関連チェーンに停止を助言。KiiChainで約1.48億KII流出
Cosmos Labsが8月25日、Cosmos EVMを採用するチェーンに対してネットワークの停止を助言しました。脆弱性の詳細は、状況が解決したあとにインシデント報告書として公開する予定としています。
被害が確認されているのはKiiChainとTACで、KiiChainでは合計1億4,832万6,583.15KIIが流出し、うち6,759万7,997.87KII(45.6%)がチェーン外へ移動しました。MANTRAは影響が2つのウォレットアドレスに限られ、ユーザー資金への被害はなかったとしています。修正を含むv0.6.2とv0.7.2は8月19日(UTC)に公開済みです。
つまり、共通のモジュールを使っている以上、1つの脆弱性が複数チェーンに同時に効くということです。共有コードの利点はそのままリスクの共有でもあります。
イーサリアム開発者、量子コンピューター対策の新方式を提案
Kevaundray Wedderburn氏らが、Ethereumのバリデータ鍵まわりで可変長の公開鍵と認証情報を扱える設計を「EIP9999」(仮番号)として提案しました。
現行のBLS12-381方式は固定サイズの公開鍵しか扱えず、それより大きなポスト量子鍵に対応できません。新案はスキーム識別子で暗号方式を指定し、既存のマークルツリー方式を廃止してログベースの検証に移行します。無効・稼働・廃止の3段階で管理し、BLSの新規受付を一方向で停止する設計ですが、活性化・廃止の日時はいずれも未定です。
ここがポイントで、量子対策は「新しい暗号に替える」だけでなく「替えられる構造にしておく」作業だということです。今回はその土台側の提案になります。
Bitcoin, Ethereum ETFs Grew $23 Billion Last Week—Only $2.6 Billion Was New Money
8月21日終了週に、ビットコインとイーサリアムのETFの運用資産残高は$23B増えました。ただしそのうち新規資金の純流入は$2.6Bで、残るおよそ$20.7Bは値上がりによる増加です(SoSoValueのデータ)。
内訳はBTC ETFへの純流入が$1.92B、ETH ETFが$697.2Mでした。
要は、「ETFに$230億が入った」と読むと桁を1つ間違えることになります。残高の増加と資金の流入は別の数字なので、ラリーの強さを測るなら後者を見るのが筋です。
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中に Dapps、NFT、トークン、AIサービス等を紹介することがありますが、勧誘では一切ありません。全て自己責任でご判断・ご利用ください。
About us:DEBUNK(Crypto&AI)は “For learning, not for hype.” をコンセプトに、Crypto・AI 領域の注目トレンド・プロジェクト解説・最新ニュースをまとめた Agentic Web Research を毎日配信しています。
Author:mitsui (@mitsuiio) — DEBUNK(Crypto&AI)founder。Crypto・AI 領域のリサーチャーとして活動。
Contact:法人向けのリサーチコンテンツの納品や共同制作、リサーチ力を武器にした Crypto・AI コンサルティング・勉強会なども受付中です。詳しくは以下の窓口よりお気軽にお問い合わせください。
🐦 X: @debunkrsch
🌐 HP: debunkresearch.com
「AI版」のリサーチも始動しました。「Agentic Web」時代を見据えたニュースレターとなり、CryptoとAIの2つのニュースレターが走り始めます。どちらか1つだけの購読で良い方はご自身のアカウント設定から管理できます。
クリプト版はこれまで通り続きながら、AI版も同じようなフォーマットでリサーチして更新していきますのでお楽しみに!




