Crypto.comにCitadel Securitiesが$400M出資、AugustusにTiger Globalが$180M(Series B)、など全14PJ【資金調達PJまとめ】
直近1週間の資金調達情報をまとめました。
おはようございます。 今日は「今週1週間(7/18〜7/24)の資金調達PJのまとめ」です。
💥調達金額上位5プロジェクト
1、Crypto.com
概要:中央集権取引所・セルフカストディウォレット・クリプト決済・ステーキング・NFTを提供するグローバルプラットフォームです。Cronos(EVM / zkEVM)エコシステムも開発しています。創業10年超で初の機関投資家ラウンドで、Citadel Securities が単独で出資しました。評価額は$20Bです。名目はトークン化証券とTradFiへの展開加速で、マーケットメイカー最大手が取引所の資本に入るという構図になります。
カテゴリ:CEX, Finance/Banking, Payment, Staking, Trading, Wallet
調達額:$400M(評価額$20B)
投資ラウンド:Strategic Investment
投資家:Citadel Securities
発表日:7/16(※前週分)
2、Augustus
概要:「AI時代のクリアリングバンク」を掲げる、AIネイティブなデジタルバンク兼クリプト金融インフラです。OCC(米通貨監督庁)の条件付き国法銀行チャーターをすでに取得しており、預金・貸付・ステーブルコイン発行・機関向けバンキングを提供します。中核プロダクトの “Marble” はAPIファーストのバーチャル口座で、24/365の決済に対応し、SWIFT/ACH/SEPA とステーブルコインの双方を扱います。狙いは海外のフィンテックや銀行に米ドルへのアクセスを提供する「Global Dollar Bank」構想です。評価額$1B、累計調達は$210Mになりました。
カテゴリ:Finance/Banking, AI, Payment, Stablecoin
調達額:$180M(評価額$1B)
投資ラウンド:Series B
投資家:★Tiger Global(リード)、QED Investors、Hummingbird Ventures、Balaji Srinivasan、Soma Capital、Road Capital Management、CMT Digital、Brevan Howard Digital、Variant、Nubank・Ramp・Circle・Deel の創業者陣
発表日:7/21
3、Canton Network
概要:機関金融向けのパブリックL1です。DAMLスマートコントラクトで「need-to-know プライバシー」を強制し、参加者ごとに見える取引データを分離できるのが特徴です。Linux Foundation 傘下の Global Synchronizer Foundation が運営し、トークン化債券と現金のアトミックな同時決済などに対応します。調達主体はネットワークではなく、運営元の Digital Asset です。※今回の$10Mは単独ラウンドではなく、6月の$355Mラウンドへの積み増しです。ラウンド総額は$365M、評価額$2Bは据え置きとなります。
カテゴリ:Infrastructure, L1, Privacy
調達額:$10M(既存ラウンドへの積み増し。ラウンド総額$365M、評価額$2B)
投資ラウンド:既存ラウンドの拡張(※6月分は a16z crypto がリード)
投資家:Shinhan Financial Group(新韓金融グループ)、SC Ventures(Standard Chartered)。※今回分にリード表記はありません
発表日:7/21
4、TrueDAO
概要:AI駆動の分散型金融インフラです。スマートコントラクト・オンチェーン準備金・動的調整メカニズム・コミュニティガバナンスを組み合わせ、他のプロジェクトへ流動性管理/準備金管理/リスクアラート/収益分配をモジュールとして提供します。AIによるリスク監視やストレステスト、準備金データの報告を段階的に実装する計画です。※注意点として、crypto-fundraising.info が一次ソースに挙げている Decrypt の記事が現在404で、大手メディアでの裏取りが取れていません。金額・投資家・日付は複数の二次ソースで一致していますが、その前提で読んでください。
カテゴリ:Infrastructure, AI, DeFi, Finance/Banking
調達額:$10M
投資ラウンド:Strategic
投資家:★Brevan Howard Digital(リード)、Zee Prime Capital、Jump Capital
発表日:7/10(※前々週分。前号でも取りこぼしていたため今回統合しています)
5、Alphea
概要:自律AIエージェントを動かすためのAIネイティブL1です。検証可能な実行(proof of execution)、永続メモリ、分散コンピュートを、アプリ層ではなくブロックチェーン基盤そのものに統合し、使用量ベースの経済圏を組み込みます。狙いはマシン間(M2M)インタラクションのスケール運用です。香港拠点で、2026年4月にネットワークを公表しました。資金はデベロッパーネットワーク、テストネット、CLIツール、ノードエコシステムに充てられます。
カテゴリ:AI, Infrastructure, L1, Smart Contract Platform
調達額:$5M
投資ラウンド:Strategic
投資家:MH Ventures、IBC Ventures、Titan Ventures、Becker Ventures(※公式リリースが挙げているのはこの4社です。集計サイトはYellow Labsも記載していますが公式には出てきません)。※リードは非開示
発表日:7/23
✨その他、9プロジェクト
DGrid AI[$5M/Seed]:分散型のAI推論ネットワークです。中央集権プロバイダへの依存を減らすため、分散GPUネットワーク上でAIワークロードをデプロイ・検証・実行できるインフラを提供し、ブロックチェーン決済と証明システムでコンピュート提供者への報酬を担保します。BNB Chain エコシステムに属します。2026年上期で$23M超の売上、有料サブスクリプション15,000人超と説明していますが、いずれも自己申告で独立検証は取れていません。投資家は Waterdrip Capital、IoTeX、Paramita、Zenith Capital(リードは非開示)。※シードラウンド自体は2025年10月に金額非開示で公表済みで、7/17は金額が開示されたタイミングです(前週分)
Credible[$4M/Public sale]:インターネットネイティブ企業向けの、プログラマブルなステーブルコイン決済スタックです。pay-in / pay-out / グローバル集金のオープンAPI、カード、ローカルレール、ステーブルコイン決済を一本化し、加えてトレジャリー/流動性ツール(事前入金プール、ミッドマーケットFX、AI審査による流動性供給、与信・照合・不正検知)も提供します。主顧客は予測市場・ステーブルコインフィンテック・AIスタートアップなど、既存の決済代行業者に敬遠されがちな業種です。処理額$700M超、ARR約$3.5M、月次29%成長としています。※MetaDAO上のICOで、上限$4Mに対しコミットは$32.7M=8.2倍の応募超過でした(調達額はあくまで$4M、トークン価格$0.40・FDV $9.065M)。VCリードはなく、個人投資家によるパブリックセールです。※発表7/17(前週分)
Trasia[$1.75M/Seed]:Hyperliquid 上に構築されたノンカストディアルのパーペチュアル先物取引プラットフォームで、アジアのトレーダーに特化しています。マーケット探索・チャート分析・注文管理を高速UIで提供し、Hyperliquid の高性能インフラを活かして低レイテンシ執行を実現します。カストディを手放さずにローカライズされた取引体験を出すのが狙いです。★Multicoin Capital が単独かつ唯一の機関投資家で、同社にとってHyperliquidエコシステムへのエクイティ投資としては初にあたります(HYPEトークン自体はすでに保有しています)。※発表7/16(前週分)
ILITY[$1M/Strategic]:プライバシーファーストのL1です。ゼロ知識証明を使い、ウォレットアドレスや元データを一切開示せずに、資産保有・取引履歴・オンチェーン行動をチェーンを跨いで証明できます。分断されたオンチェーン活動を集約した自己主権型アイデンティティを、擬似匿名のまま構築する設計です。今回はAIエージェント経済圏への拡張が名目です。累計$4M(5月に$3M Private を実施済み)。評価額$80Mとされますが、これはプロジェクト側の開示のみで独立報道での裏取りはありません。投資家は Archer Capital、TBV(リードは非開示)。※発表7/16(前週分)
Tenor Labs[非公開/Seed extension]:オンチェーンの固定金利貸借を可能にするノンカストディアル・自動執行プロトコルです。既存のマネーマーケットの上に乗る形で金利AMMを展開し、貸し手・借り手が満期ごとに希望レートを指定できます。Uniswap V4 と統合し、金利スワップ専用のカスタムAMMを使用します。ガバナンス不要で、原資産マネーマーケットのリスクパラメータを継承する設計です。チームは Morpho・Google 出身で、2025年2月に$2.5MのSeed(Prelude リード)を実施済みです。★Variant Fund(リード)、Nascent、Prelude、Coinbase Ventures、Lattice、Very Early Ventures、Daedalus Angels(金額非開示)。※発表7/22
Staking Rewards[非公開/M&A]:ステーキング利回り・イールド資産のデータプロバイダ(2018年開始)を、機関向けデータ企業の The Tie が Finrate AG から買収しました。買収されるのはデータ/プラットフォーム事業で、既存ユーザー向けには変更なく、独立した第三者データプラットフォームとして継続します。The Tie Terminal とAPIに統合され、機関向けインテリジェンス群を強化する狙いです(金額非開示)。※発表7/20
Raven Market[非公開/M&A]:Canton Network 上に構築されたデジタルオプション・プロトコルを、デリバティブ・プロトコルの Premia が買収しました。Raven はトークン化オプションの組成・取引・決済をコンプライアンス対応環境で行い、Canton の相互運用性と機関グレードのプライバシーを活かす設計です。公式告知によると、リテール版は終了し、プロダクトと技術は Premia の機関向けオファリングに統合されます(金額非開示)。※発表7/20
Coinhako[非公開/M&A]:2014年創業のシンガポール拠点の取引所を、SBIホールディングスが過半数取得しました。Coinhako はMAS(シンガポール金融管理局)の Major Payment Institution ライセンスを保有し、法定通貨オンランプ・現物取引・ウォレット・積立購入・OTC をリテールと機関の双方に提供しています。MASの認可を得たうえでの資本注入・株式取得で、アジア横断のデジタル資産コリドー構築というSBIの広域戦略の一環です(金額非開示)。※発表7/16〜17(前週分)
NOBI[非公開/M&A]:インドネシアの規制対象取引所を、Bybit が過半数取得しました(対象法人は PT Enkripsi Teknologi Handal)。段階的に Bybit Indonesia へ移行し、新体制は当初500超の取引ペアを提供、OJK(インドネシア金融庁)の監督下で運営されます。CEOのLawrence Samantha 氏ら旧経営陣は続投します(金額非開示)。※発表7/16(前週分)
今週の見立て
今週の純粋な期間内案件は6件と少なく、金額も$5M〜$180Mに収まりました。一方で目立つのはM&Aの多さで、14件中4件が買収案件(Staking Rewards・Raven Market・Coinhako・NOBI)。しかも全件が条件非開示です。
構図としては、SBIによるCoinhako、BybitによるNOBIと、アジアの取引所が地場の規制済み取引所を買って足場を作る動きが同時に出ました。SBIは前号でもGauntletとEDX Marketsの2件をリードしており、2週連続で最も動いているプレイヤーです。
そして最大の案件が Crypto.com への Citadel Securities の$400Mでした。マーケットメイカー最大手が取引所の資本に入るという形は、前週のDTCCによるトークン化証券の本番取引と並べると、伝統金融側がクリプトのインフラを内側から押さえにきている流れとして読めます。
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