【6/24(水)~6/25(木)News Report】OpenAIがBroadcomと初の自社推論チップ「Jalapeño」を発表 / GoogleがGemini 3.5 Flashに「コンピュータ操作」を標準搭載 / 欧州が米国の対中半導体規制に反発など
主要ニュースまとめ
おはようございます。
6/24(水)~6/25(木)の主要ニュースを紹介します。
Pickup News
OpenAI、Broadcomと共同開発した初の自社推論チップ「Jalapeño」を発表
The Decoderによると、OpenAIが初の自社設計チップ「Jalapeño(ハラペーニョ)」を発表しました。LLMの推論(学習済みモデルを動かす処理)に特化した「Intelligence Processor」で、半導体大手のBroadcomと共同開発したものです。
設計はOpenAI、製造とネットワーキング技術(Tomahawkチップ)はBroadcom、基板やラック・システム統合はCelesticaが担当しています。OpenAIは現行ハードと比べて電力あたりの性能が「大幅に良い」と主張していますが、これは自己申告値で技術レポートは後日公開予定です。設計から最初の製造(テープアウト)まで9カ月という、高性能半導体としては異例の速さで進めたとしています。大規模展開は2026年後半にギガワット規模で予定され、初期生産分の約4割をMicrosoftが購入する見込みです。
ここがポイントで、OpenAIは計算資源の調達先をNVIDIA一極から自前のチップへと広げにかかっています。学習だけでなく「推論」を自社設計のシリコンで安く回せれば、AIサービスのコスト構造そのものが変わります。フロンティアラボが「モデル」だけでなく「チップ」まで内製する流れが、いよいよ本格化してきました。
Google、Gemini 3.5 Flashに画面を見て操作する「コンピュータ操作」を標準搭載
Googleが、主力モデルGemini 3.5 Flashに「コンピュータ操作(computer use)」を標準機能として組み込んだと発表しました。これまで別建ての「Gemini 2.5 computer use」モデルとして提供していた機能を、メインのFlashモデルに直接統合した形です。
この機能により、開発者はブラウザ・モバイル・デスクトップの各環境で「画面を見て、考えて、操作する」エージェントを構築できます。継続的なソフトウェアテストや、業務アプリをまたぐ自動化といった長時間タスクが想定ユースケースで、エージェント向けベンチマーク「OSWorld」でトップ級の結果を出したとしています。提供はGemini APIとGemini Enterprise Agent Platform経由で、プロンプトインジェクション(不正な指示の混入)対策の敵対的学習や、機微な操作の前にユーザー確認を挟む企業向けの安全策も用意されています。
これが意味するのは、「人間のようにPCを操作するAI」が、特別なモデルではなく標準モデルの一機能になりつつあるということです。AnthropicやOpenAIも同種の機能を競っており、エージェントが実際に画面を動かして仕事をする時代が、開発者の手元に降りてきています。
欧州(オランダ)、米国の対中半導体規制の強化案「MATCH法」に反発
TechCrunchによると、オランダが、米国の対中半導体輸出規制を拡大する法案「MATCH法」に反対する働きかけをワシントンで強めています。オランダのスヨールドスマ通商相が訪米し、ルトニック商務長官や議員らに直接懸念を伝えました。
焦点は、最先端のEUV(極端紫外線)露光装置の輸出禁止に加え、約10年前の旧世代であるDUV液浸装置まで規制対象を広げる案です。オランダには、最先端AIチップ製造に不可欠な露光装置を世界で唯一作るASMLがあり、同社にとって中国は純システム売上の19%を占めます。通商相は「議会に広く懸念を伝えるためにわざわざ来るのは異例だ。オランダにとっての利害は非常に大きい」と述べました。法案はまだ本会議採決には至っていません。
要は、米国主導の「対中チップ規制」に、半導体サプライチェーンの要を握る欧州が公然と異を唱え始めた、ということです。AI競争の土台である半導体をめぐって、同盟国間でも利害がぶつかり始めており、規制の行方はASMLやAIインフラ全体に影響します。
その他のニュース
Google、Gemini開発の主要研究者2人がさらにAnthropicへ移籍
TechCrunchによると、Gemini開発に関わったJonas Adler氏とAlexander Pritzel氏が、GoogleからAnthropicへ移籍します。
先週のNoam Shazeer氏(OpenAIへ)、ノーベル賞のジョン・ジャンパー氏(Anthropicへ)に続く、トップ研究者の流出です。
IPOを控えるOpenAIやAnthropicが株式報酬を武器に人材を引き抜く構図で、Googleからの頭脳流出が止まりません。
Snowflake CEO、中国製GLM-5.2が「Opus 4.7と互角で大幅に安い」と評価
Snowflakeの実務ベンチマークで、中国のGLM-5.2とAnthropicのOpus 4.7が3回試行で66%対67%とほぼ互角の正答率を示しました。
一方でGLM-5.2は出力100万トークンあたり$4.40と劇的に安く、価格面で大きな圧力をかけています。
西側AI企業の高い評価額に対し、中国製モデルの「安さ」が現実的な脅威になりつつあります。
Mistral、新OCRモデルが「ブラインドテストの72%で競合を上回る」と発表
フランスのMistralが新しいOCRモデル「OCR 4」を発表しました。PDFやWord、PowerPointなどから文字を読み取るモデルです。
600超の文書を使ったブラインドテストで、独立した評価者が72%のケースで競合より優れていると判断したと主張しています。
文書処理という地味だが需要の大きい領域で、欧州勢が存在感を示しています。
Anthropic、Claudeをチャンネルに常駐させるSlack連携「Claude Tag」を提供
Anthropicが、Slackで@Claudeとタグ付けしてタスクを任せられる連携機能「Claude Tag」を発表しました。
社内ではすでに製品チームのコードの65%を生成しており、止まったタスクに自ら先回りして対応する「アンビエント」モードも備えます。
EnterpriseとTeam顧客向けにベータ提供され、AIが業務文脈に常駐する形がエンタープライズで広がっています。
メールアプリのSuperhuman、AI検出スタートアップGPTZeroを買収
AIメールアプリのSuperhumanが、AI生成文章の検出で知られるスタートアップGPTZeroを買収しました。
文章がAIによるものかを見分ける技術を取り込む動きで、AIの「生成」と「検出」が同じ会社の中に同居する形です。
AIコンテンツが氾濫するなか、検出技術の囲い込みが進んでいます。
Figma、Config 2026でAI機能を拡張も「中身のAIは他社製」
Figmaが年次イベントConfig 2026で、コード編集やアニメーション、生成プラグインなどAI機能を大幅に拡張しました。
ただし中核のAIはOpenAI・Anthropic・Googleなど外部製で、推論コストにより粗利率は92%から86%へ低下しています。
ダイラン・フィールドCEOは「AIは人間の判断を置き換えるのでなく強化すべき」と、人間中心の姿勢を強調しました。
Cerebras株が決算後に約20%急落、CEOは「利益率見通しが誤解された」
AIチップのCerebrasが、決算は予想を上回ったにもかかわらず株価が約20%急落しました。
通期の粗利益率見通しを第1四半期の47%から38〜41%へ引き下げたことが嫌気されました。
フェルドマンCEOは「投資家が見通しを誤解した」と説明し、データセンター自前化の過渡期だと釈明しています。
企業、従業員がAI予算を「些細な作業」で使い切る問題に対応
TechCrunchによると、企業が従業員によるAI利用予算の使いすぎ対策に追われています。
ちょっとした作業にまで高価なモデルを使い、コストが膨らむケースが増えているためです。
AIの社内浸透が進むほど、「いつどのモデルを使うか」のコスト管理が新たな経営課題になっています。
新データ、AIに奪われると言われたエンジニア職が「最も底堅い」と示す
TechCrunchによると、AIに最初に置き換えられると言われたソフトウェアエンジニア職が、実は最も雇用が底堅いという新データが出ました。
AIがコードを書くほど、それを設計・統合・運用する人材の価値が下がりにくいという見立てです。
「AIが仕事を奪う」という単純な予測に、現場のデータが疑問符を投げかけています。
OpenAI、最も使われる「ChatGPT Instant」を意図理解で改良
OpenAIが、ChatGPTで最も使われるモデル「GPT-5.5 Instant」を更新しました。
質問の背後にある「本当の目的」をより的確に捉え、複数ターンにわたって文脈を保てるようにしたとしています。
意思決定や比較・相談の場面での会話品質を高める、地味だが利用者数の多い改良です。
OpenAI展開責任者、Codexの成長とAI価格の下落、ROI論争を語る
OpenAIの展開責任者がインタビューで、コーディングエージェント「Codex」の成長やAI価格の下落、投資対効果(ROI)の議論について語りました。
AIの利用価格が下がり続けるなかで、企業が「本当に元が取れるのか」を問う声が強まっています。
普及拡大とコスト効果の両面から、エンタープライズAIの現在地を示す内容です。
Pangram CEO、「言語モデルは同じ論法を使うことで正体を現す」
AI検出を手がけるPangramのCEOが、言語モデルは「同じような論法を繰り返すこと」で生成物だと見分けがつくと指摘しました。
単語ではなく「議論の組み立て方」のクセに着目した、AI生成文の検出アプローチです。
生成と検出のいたちごっこのなか、検出側の新たな視点として注目されます。
インドのMoEngage、顧客ごとにAIエージェントを割り当てるAampeを買収
インドの顧客エンゲージメント企業MoEngageが、サンフランシスコのAampeを数千万ドル規模の全額現金で買収しました。
Aampeは顧客一人ひとりに専属のAIエージェントを割り当て、誰にいつ何を送るかを自律的に判断する技術を持ちます。
SalesforceやAdobeからの乗り換えを狙う動きで、マーケティングの自動化がエージェント単位へと細分化しています。
Hugging FaceとTreble、現実環境の音声認識を測る「FFASRリーダーボード」を公開
Hugging FaceとTreble Technologiesが、残響や雑音のある現実環境での音声認識(ASR)を評価する「FFASRリーダーボード」を公開しました。
14の仮想的な部屋と9つの条件で精度と速度を測る、初のオープンな遠距離音声認識ベンチマークです。
きれいな音声でのスコアが実環境の性能を予測しないことが示され、評価の現実性が問われています。
Cursor、自社AIモデルとGitプラットフォーム「Origin」、モバイルアプリを発表
AIコーディング環境のCursorが、自社開発のAIモデルと、人間とAIの協働向けGit基盤「Origin」、モバイルアプリを発表しました。
自社モデルはオープンソースをベースにしない完全自前学習で、数週間以内の提供を見込みます。
親会社AnysphereはSpaceXに買収済みで、その支援のもとツール全体を自前で固める動きです。
NVIDIAとAWS、AIの本番運用拡大へ協業を発表
NVIDIAとAWSが、AIの本番運用を大規模化するための協業を発表しました。
RTX PRO Blackwell搭載の新インスタンス(推論性能が従来比最大4.6倍)や、ベクトル検索の高速化などが柱です。
クラウド大手とGPU大手が組み、企業がAIを「実運用」に乗せる際の手間を減らそうとしています。
NVIDIA、世界の高速スパコン上位500のうち400超を担うと発表
NVIDIAが、世界のスパコン上位500システムのうち400超(TOP500の81%)を自社技術で担うと発表しました。
新たにランク入りしたシステムのほぼ9割がNVIDIA製で、省電力ランキングGreen500でも上位を独占しています。
AI計算の土台であるスパコン市場で、NVIDIAの支配的な地位が改めて浮き彫りになりました。
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