おはようございます。 先週1週間(9/5〜9/11)のAI市場についてのまとめ記事となります。
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OpenAI が Navier–Stokes を「解いた」と発表、3日後に25人のフィールズ賞受賞者が共同宣言を出す
9/8、OpenAI が3次元の Navier–Stokes 方程式について、有限時間で解が破綻する点(有限時間特異点)を見つけたと発表しました。Quanta Magazine によれば、投入されたのはおよそ1万体の自律エージェントで、88時間並列で走らせた結果を証明支援系(Lean)の上で形式化しています。Navier–Stokes は Clay Mathematics Institute が賞金 $1M を懸けているミレニアム懸賞問題のひとつですが、今回扱われたのは強制項を加えた変種にあたるため賞の対象からは外れ、OpenAI も請求しないと表明しました。150年以上決着していない問いに、エージェントの物量が正面からぶつけられた形です。
ところが、発表の数時間後から帰属をめぐる話に変わりました。THE DECODER が9/8に報じたところによれば、Courant Institute の Tristan Buckmaster 氏が、自分と Levent Alpöge 氏(Anthropic 所属)の未公開ドラフトを Codex のセッションに入れていたと述べ、そこが参照された可能性を指摘しました。さらに、共著者から Alpöge 氏を外すよう求められたとも主張しています。OpenAI の Sébastien Bubeck 氏はこれを否定し、”We did not use their prompt or proofs to prompt our models.” と述べました。同じく THE DECODER の9/9の記事は、この一件を「研究者がAIラボに自分の未発表の仕事を預けられるのか」という問題として扱っています。
そして9/11、25人のフィールズ賞受賞者が「数学におけるAIの深刻なミスアラインメント」と題した共同宣言を出しました。全文は Terence Tao 氏のブログに掲載されています。署名者には Pierre Deligne 氏、Hugo Duminil-Copin 氏、June Huh 氏、James Maynard 氏、Peter Scholze 氏、Maryna Viazovska 氏が並んでいます。宣言の言い分は “Solving problems is only a tool and proxy for achieving the primary goal of conceptual understanding and insight.” で、真偽の判定文を速く大量に作ることは肥沃な土壌を耕すのではなく壊しうる、と書いています(”The mass production at faster and faster pace of ‘true/false’ statements could destroy fertile ground instead of breathing life into new ideas.”)。告発から宣言まで3日です。学界が問題にしているのは、解けたかどうかよりも、解いた先に何が残るかのほうでした。




