おはようございます。 先週1週間(7/18〜7/24)のAI市場についてのまとめ記事となります。
今週は「AIへの投資が、初めて株価という形で跳ね返ってきた週」でした。Alphabetは売上+24%・Cloud+82%という好決算を出しながら、設備投資ガイダンスを$200B前後へ引き上げた途端に単日-7%。稼ぐ力より、先に払う金額のほうが大きく見え始めています。
そしてもう一つの軸が中国のKimi K3で、性能が米フロンティアに迫った理由をめぐって「蒸留したのでは」という疑いが、企業間の話を越えて制裁の議論にまで上がりました。
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Kimi K3のサイバー能力はフロンティアに遠く及ばず。蒸留説の傍証か
MoonshotのKimi K3は、総合的なベンチマークでは米フロンティアに肉薄しています。Artificial Analysis Intelligence Indexでは57で総合3位、フロントエンドのCode Arenaでは1,679でFable 5(1,631)を上回り首位と、いずれも第三者計測で上位に入っています。
ところがサイバー攻撃能力を測るExploitBenchでは32.2%にとどまり、米フロンティアの76.2%と大差がつきました。模擬攻撃「The Last Ones」でも32ステップ中17対28.5と開きがあります。
ここがポイントで、この偏りが蒸留説の傍証として語られています。Claudeが攻撃的なサイバー要求をブロックしているため、その能力だけ蒸留データに乗らない、という説明です。米財務省はすでにMoonshotへの制裁を警告しており、モデルの出来が外交問題に直結する段階に入りました。
「蒸留だけではK3の性能は説明できない」と専門家が反論
ホワイトハウス科学顧問のMichael Kratsios氏は、K3の性能を「輸出規制チップとAnthropicのFableのコピー」によるものだと主張しました。これが財務省の制裁警告の下敷きになっています。
これに対し、Laude Institute研究者でSnorkel AI共同創業者のBraden Hancock氏や、Ai2のNathan Lambert氏は、Fableの公開が7/1でK3の発表が7/16である点を挙げ、2週間で単純な蒸留から追いつくのは不可能で、高度な強化学習が必要だと反論しています。
要は、同じ現象に「盗んだ」と「実力で作った」の2つの説明が並走している状態です。技術的な検証が政治の判断より遅いので、当面は結論が出ないまま制裁だけが先に動く可能性があります。
Alphabet、好決算でも株価-7%。FY26 capexを$195〜205Bへ引き上げ
7/22発表のQ2決算は、売上$119.8B(+24%)、Google Cloud $24.8B(+82%)、営業利益$40.8B(+30%)と数字自体は強いものでした。Cloudの営業マージンは前年20.7%から35.6%へ改善し、受注残は$514Bです。
しかし同時に、Q2単独の設備投資が$44.9B(前年比約2倍)、FY26ガイダンスは$180〜190Bから$195〜205Bへ引き上げられました。フリーキャッシュフローは-$5.9Bと上場来初のマイナスです。翌7/23、GOOGLは単日-7.13%の$317.69で引けました。
見どころは、市場が「AIは儲かるか」ではなく「回収より先に出ていく金額」を見始めたことです。同じ日にMetaやSnapも連れ安になっており、capexを出した銘柄が売られるという形が今週はっきり出ました。
AMDが「Helios」でNVIDIAに正面から挑む。顧客にOpenAI・Meta・Microsoft
AMDがラックスケールのAIシステム「Helios」を発表しました。顧客としてOpenAI、Meta、Oracle、Anthropic、Microsoftの名前が挙がっており、2026年後半の出荷を予定しています。Lisa Su氏はAIアクセラレータ市場が2030年に$1.4Tになると述べました(いずれもAMDの自社開示で、性能の定量値は公開されていません)。
前日の7/22には、AnthropicがClaudeの計算基盤にAMD「Instinct MI450」を2GW規模で導入し、AMDが最大$5Bを出資すると発表されています。
そしてIntelのQ2決算(7/23)も売上$16.1B(+25%)、データセンター・AI部門は$6.3B(+59%)でした。NVIDIA一強という前提が、今週は3方向から同時に揺さぶられた形です。
Gemini が月間950M+ユーザーへ。Search AI Modeは10億に到達
Googleの自社開示によると、Geminiの月間ユーザーは950M超(2月時点で750M、前年比3倍)、Search AI Modeは10億ユーザーに達しました。
第三者データも伸びを裏付けています。AppfiguresによればiOSのダウンロードは12か月で1.37億、Sensor TowerのH1 2026の集計ではAIアシスタント市場シェアが27.7%で、ChatGPTは初めて50%を割りました。
つまり、モデルの優劣より配布経路の勝負に移りつつあるということです。Alphabetのcapexが売られた一方で、そのcapexが支えているユーザー基盤は着実に積み上がっています。
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SemiAnalysis「Vera Rubin NVL72 vs GB200 NVL72? Inference TCO & Architecture Analysis」
NVIDIAの次世代Vera Rubinと現行GB200/GB300を、推論のTCO(総保有コスト)で比較した分析です。GPU時間あたりのコストはRubin $3.57 / GB300 $2.36 / GB200 $1.84(オペレーターの自己保有シナリオ)と、Rubinが最も高くなります。
それでも性能で押し切るという結論です。DeepSeek R1・8k入力/1k出力のベンチマークで、RubinはGB300比でperf/MW 5.4倍・perf/$ 5倍としています(いずれも300 tok/s/user時のピーク値で、100 tok/s/userではperf/$ 1.5倍、200で3倍)。2025年のGB200比では150 tok/s/userでトークンスループット/MW 10倍。出力トークン単価は350 tok/s/user時で$4.18/100万トークンです。
数字はすべてSemiAnalysisの自社モデリングで、NVIDIAの開示ではない点に注意が必要です(ベンチの生データはCoreWeave提供)。ハード側の公開情報としてはHBM4 288GB/パッケージ、Blackwell Ultra比2.8倍のメモリ帯域があります。※TCO節以降は有料です。




