Helsingが防衛AIで$1.8B(Series E)、FireworksにAtreides・Index・TCVが$1.505B出資、など全17PJ【資金調達PJまとめ】
直近1週間の資金調達情報をまとめました。
おはようございます。 今日は「今週1週間(7/11〜7/17)のAI領域の資金調達PJのまとめ」です。
💥調達金額上位5プロジェクト
1、Helsing
概要:ドイツ・ミュンヘン拠点の防衛AI企業です。ドローン・レーダー・衛星・カメラから入るデータを統合し、リアルタイムの作戦状況図を生成するAIソフトウェアと自律システムを開発しています。2021年創業で、今回のSeries Eは欧州の防衛スタートアップとして過去最大の調達となりました。評価額は$18Bに達しています。先週のトップも欧州の防衛ドローン企業 Quantum Systems($1.2B)だったので、2週続けて「欧州の防衛テック」が最大案件を取った形です。ここがポイントで、いま欧州で最大の資金を吸っているのはLLMラボではなく防衛AIです。
カテゴリ:Defense, Autonomous Systems, AI Software
調達額:$1.8B
投資ラウンド:Series E(評価額$18B)
投資家:リードは非開示(※自社PRは「新規・既存投資家」とのみ記載。集計サイト間でDragoneer説とLightspeed/General Catalyst説に割れており、断定できません)。参加は Dragoneer、Lightspeed、Disruptive、Iconiq、Growth Equity at Goldman Sachs Alternatives、JPMorganChase、CPP Investments、General Catalyst、Plural、Stepstone
発表日:7/13
2、Fireworks AI
概要:オープンソースAIモデルを企業の独自データ・業務に合わせてカスタムし、本番環境で大規模に提供する推論基盤です。数字がとにかく強く、ARRは$1B超(前年比5倍)、提供トークンは日次15兆から40兆超へ伸びています。顧客には Uber・Shopify・GitLab・MongoDB が並びます。評価額は$17.5Bです。先週のトップが SambaNova($1.0B・独自チップ)だったことと合わせると、「モデルそのもの」より「モデルを安く速く動かす層」に資金が集まり続けているのが分かります。ARRという実売上の裏付けがある点で、先週の Together AI($1.15Bは bookings)より説明が素直です。
カテゴリ:AI Infrastructure, Inference, Developer Platform
調達額:$1.505B
投資ラウンド:Series D(評価額$17.5B)
投資家:★Atreides Management・★Index Ventures・★TCV(共同リード)、Lightspeed、NVIDIA、Evantic、20VC、Bessemer、Insight Partners、Lone Pine、Menlo Ventures、Ontario Teachers’ Pension Plan、Prysm、TIME Ventures ほか
発表日:7/16
3、PixVerse
概要:中国発のAI動画生成サービスです。プロンプト・写真・クリップから映像を生成し、177カ国で1.5億ユーザー超を抱えます。今回の資金で軸に据えるのが、2026年1月に投入したリアルタイム世界モデル「R1」で、動画生成からゲーム・インタラクティブ領域へ広げる計画です。評価額は$2B超。新規投資家に Alibaba が入った点が象徴的で、中国のAI動画勢が国内プラットフォーマーの資本を得て一段スケールする構図です。要は「生成した動画を見る」から「生成した世界の中で遊ぶ」へ賭け金を移しています。
カテゴリ:Generative Video, World Model, Consumer AI
調達額:$439M
投資ラウンド:Series C extension(Series C累計。評価額$2B超)
投資家:リードは非開示(※自社告知は新規投資家の列挙のみでリードを明示していません)。新規は Alibaba、Lollapalooza Capital、Ivy Capital、Grand Mount Capital、Eastern Bell Capital、Mirae Asset、BlueFocus、CloudAlpha/既存は iGlobe Partners、OCBC LionX Ventures
発表日:7/13〜14
4、Chai Discovery
概要:分子間の相互作用を予測・再設計するAIモデル群(Chai-3 等)を、前臨床の創薬向けに提供する企業です。中核の Chai-2 は、完全なde novo(ゼロからの)抗体設計でゼロショット2桁の成功率を達成したとしています。Eli Lilly や Pfizer が利用中で、評価額は$3.8Bに乗りました。既存投資家に OpenAI が入っているのも特徴です。創薬「バイオ企業」というより、AlphaFold の系譜にあるAIモデル企業で、創薬はその用途という整理になります。
カテゴリ:AI for Science, Molecular Design, Drug Discovery
調達額:$400M
投資ラウンド:Series C(評価額$3.8B)
投資家:★Index Ventures(リード。Kleiner Perkins・Sequoia・Dimension が並走)、Bain Capital Ventures、Battery、Baillie Gifford、BDT & MSD、Sapphire、Avra/既存は Thrive、OpenAI、Oak HC/FT、Menlo、General Catalyst、Glade Brook、Avenir、Lachy Groom、Yosemite
発表日:7/13
5、Emergent
概要:インド発のAIコーディング(いわゆるバイブコーディング)プラットフォームです。ローンチから1年強でユニコーンになり、評価額は半年で5倍の$1.5B post に到達しました。既存投資家に Khosla Ventures・SoftBank Vision Fund 2・Lightspeed・Y Combinator が並び、今回のリードはインドの Creaegis です。コーディングエージェント領域は Cursor・Claude Code・Warp と競争が激しく、そのなかでインド発が短期でユニコーン化した点が今週の見どころです。
カテゴリ:AI Coding, Developer Tools
調達額:$130M
投資ラウンド:Series C(評価額$1.5B post)
投資家:★Creaegis(リード)、MNI Ventures-Claypond、Sentinel Global/既存は Khosla Ventures、SoftBank Vision Fund 2、Lightspeed、Y Combinator
発表日:7/15
✨その他、12プロジェクト
TerraFirma[$115M(うちSeries A $100M)]:元SpaceXのエンジニアが2024年に創業した、オースティン拠点の企業です。建設重機を遠隔操作・半自律化するプラットフォームを提供し、Starbucks新店の造成や変電所工事などで商用実績を積んでいます。★Kleiner Perkins がリードし、Bain Capital Ventures、Glade Brook、BANNER VC、Saga Ventures、Trust Ventures、Definition、PEAK6、Magnetar、Ravelin、SpaceX・Anduril等のエンジェルが参加しました。
Spectro Cloud[$100M+/Series D]:2019年創業、Kubernetesベースの基盤を単一プラットフォームで管理し、AIインフラを本番運用に載せる管理レイヤー「PaletteAI」を提供します。累計調達は$260M。★Growth Equity at Goldman Sachs Alternatives がリードし、AMD Ventures、Ericsson、LG Technology Ventures、Maximus が参加しました。派手さはありませんが、「AIを本番で回すための運用層」に大型が入るのは今の実装フェーズを象徴しています。
Oak[$60M/Seed]:Tel Aviv/SF拠点でステルスを解除した、人間・マシン・AIエージェントの全アイデンティティを統括する「AIネイティブなIdentity OS」です。創業者は Ermetic(2023年に Tenable が買収)の元幹部 Shai Morag 氏と Tal Marom 氏。★Accel・★Greylock Partners・★CRV の共同リードで、Hetz Ventures、AlphaDrive Ventures ほかエンジェルが参加しました。AIエージェントが増えるほど「誰が何にアクセスしてよいか」が壊れる、という問題への賭けです。
InstaLILY AI[$60M/Series B]:2023年創業(NY)。「AI forward deployed engineer = Lily」を掲げ、建設・産業流通・物流・医療の現場業務(見積・配車・機器診断)を自動化します。累計調達は$100M弱で、売上は5倍成長。★Energize Capital がリードし、Insight Partners(追加出資)、Home Depot Ventures、United Rentals が参加しました。事業会社(Home Depot・United Rentals)が出資に入っている点に、現場側の本気度が出ています。
microagi[$55M/Seed]:ミュンヘン拠点、元Red Bull/Mercedes F1のエンジニアらが約10カ月前に創業しました。工場データを収集→シミュレーションで拡張→現場特化モデルに微調整する、というロボティクス基盤「Atlas」を開発しています。データ収集部門「Shift」では15カ国・2万人超がカメラやセンサーグローブを着けて作業を記録中です。ドイツ史上最大のシードラウンドとされます。★Hummingbird がリードし、Northzone、LocalGlobe、Village Global、redalpine が参加しました。
Valarian[$50M/Series A]:ロンドン拠点。AIワークロードと機微なアプリを「密閉手術室」のように囲うソフト「ACRA」を提供し、AWSやAzureを使いながらもデータの流出先・アクセス者・タイミングを主権的に制御できるようにします。累計調達は$70M。★NEA がリードし、Lightbank、XTX Ventures、Litquidity Ventures、Sequel、エンジェルの Gokul Rajaram 氏・Nikesh Arora 氏が参加しました。NEAにとって初の欧州における防衛・デュアルユース投資です。
Sable[$45M/Venture round]:ハーバード卒業生が創業して1年未満の企業です。リアルタイムのコンピュータ操作・視覚・音声を備えた「AI社員 Aidan」が、顧客対応やプロダクトデモを人間の代わりに主導します。Notion や Decagon で本番稼働中とのこと。★Sequoia Capital・★8VC が共同リードし、BoxGroup、SV Angel、Valor Atreides AI Fund、エンジェルの Antonio Gracias 氏・Brian Halligan 氏・Dharmesh Shah 氏・Scott Wu 氏が参加しました。
Skapion[$36M/Seed]:ワシントンDC本社+ラマトガン(イスラエル)にR&Dを置く、ドローン群(スウォーム)迎撃に特化した世界初の移動式カウンター・スウォーム防衛システムです。創業陣には Iron Dome/David’s Sling を手がけた Rafael 元幹部の Pini Yungman 准将(予備役)が名を連ねます。★UP.Partners・★Khosla Ventures が共同リードし、Fusion VC、Stratos Ventures、TBD VC、q Fund が参加しました。
Bunkerhill Health[$25M/Series B]:病院が、待ち時間・フォロー漏れ・書類作業といった課題を自らAIエージェント化できるプラットフォーム「Carebricks」を提供します。Cleveland Clinic、Mayo Clinic、Intermountain Health など15の医療システムで稼働し、売上は20倍成長。★Khosla Ventures がリードし、Sequoia、Felicis、Optum Ventures、Y Combinator が参加しました。
Rime[$24M/Series A]:音素ベースのアーキテクチャで、ブランド名や業界固有語の発音を正確に再現する企業向け音声AIです。再学習が要らない点が売りで、いまは speech-to-speech モデルに軸足を移し低遅延とターンテイキング(話者交代)の改善を進めています。顧客に Mayo Clinic、Dialpad、Upstart、Asurion。★M13 がリードし、Twilio Ventures、Corazon Capital、Unusual Ventures ほか既存が参加しました。※発表7/15
Thira[$21M/Seed]:Apptio の共同創業者 Sunny Gupta 氏と Kurt Shintaffer 氏が再結集した企業です。エンタープライズの既存システムの中で、自己学習エージェントとナレッジグラフが複雑なバックオフィス業務を実行する基盤を作ります。設計パートナーとして10社が参加し、今秋ローンチ予定。★Madrona がリードし、FUSE ほかグローバルのCIO/アドバイザー群が参加しました。※発表7/14
Shaped[非公開/M&A]:ライブコマースの Whatnot が、リアルタイムのレコメンド・検索システムを手がけるML企業 Shaped を買収しました。在庫やオークションが分単位で変わるライブ商取引で、商品発見を改善する狙いです。Shaped創業者の Tullie Murrell 氏(元Meta)とエンジニア・研究者ら約12名が移籍し、新設の「Applied AI Research」グループを統括します(金額非開示)。※発表7/15
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