【6/17(水)~6/18(木)News Report】G7首脳が「米国がAIをオフにできる」リスクに反発 / Gemini共同リードのNoam Shazeer氏がOpenAIへ移籍 / 「危険なAIは何があっても来る」と専門家が警鐘など
主要ニュースをまとめました。
おはようございます。
6/17(水)~6/18(木)の主要ニュースを紹介します。
Pickup News
G7サミットで首脳が「米国がAIをオフにできる」リスクに反発、”trusted partners”スキームを協議
G7サミットで各国首脳が、米国製の先端AIに依存しながらも「米国がそのスイッチを一存で切れる」状態に強い懸念を示しました。きっかけは、米政府がAnthropicの最上位モデルへのアクセスを全世界で遮断した一件です。フランスのMacron大統領は「米国が一日でスイッチを切れる」と警告し、インドのModi首相もTrump政権によるAnthropicモデルの遮断に懸念を表明したと報じられています。
首脳らが協議しているのは、米国の輸出制限を迂回し、非米国の「信頼できるパートナー」にも先端AIへのアクセスを認める枠組みです。つまり、米国のAIは使いたいが、供給を米国に握られたままにはしたくない、という各国共通のジレンマが一気に表面化した形です。先週のAnthropicモデル停止が引き起こした欧州・インドの主権論争が、サミットの首脳レベルにまで持ち上がってきました。
ここがポイントで、AIが外交・安全保障の主要議題として首脳会議のテーブルに乗ったということです。最先端モデルへのアクセスを一国が遮断できる前例ができた以上、各国は「自前の基盤モデルを持つか」「米国と別の信頼網を作るか」という選択を迫られます。AIの覇権が技術競争だけでなく、同盟関係の設計そのものを揺らし始めているのが見どころです。
Geminiを共同リードしたNoam Shazeer氏がOpenAIへ移籍、Googleへの復帰から約2年で
GoogleでGeminiの共同リードを務めてきたNoam Shazeer氏が、OpenAIへ移籍することがわかりました。本人がXで「難しい決断だった」と表明しています。Shazeer氏は、現在の大規模言語モデルの礎となった論文「Attention Is All You Need」(2017年)の共著者の一人で、Transformerという仕組みを世に問うた研究者として知られています。
同氏はその後Character.AIを創業しましたが、2024年にGoogleがCharacter.AI関連で約27億ドル規模のディールを組み、本人をGoogleに復帰させました。GoogleではGeminiの共同リードとVP of Engineering(エンジニアリング担当バイスプレジデント)を担い、同社の主力モデル開発を牽引してきた人物です。その復帰からわずか約2年でのOpenAI行きとなります。
ここがポイントで、AIトップ人材の争奪戦がいよいよ象徴的な局面に入った、ということです。Transformerの生みの親の一人を、Googleが巨額を投じて呼び戻したにもかかわらず、わずか2年でOpenAIに引き抜かれた格好です。モデルの性能差が縮まるなか、勝敗を分けるのは結局この種のキーパーソンをどこが押さえるかだ、という業界の現実が透けて見えます。
「危険なAIモデルは何があっても来る」— 専門家がAnthropic制限の前提に異議
米政府によるAnthropicモデルの制限をめぐり、安全保障の専門家らが「特定モデルを止めても、危険なサイバー能力を持つAIの出現は防げない」と異議を唱えています。WIRED記者Lily Hay Newmanの取材記事のなかで指摘しているのは、Bruce Schneier氏(Harvard)、TPO GroupのCSO(最高セキュリティ責任者)Tarah Wheeler氏、Veracode共同創業者のChris Wysopal氏らで、いずれもセキュリティ分野で知られる顔ぶれです。
彼らの主張は明快で、Mythos 5級のサイバー能力は他社のモデルやオープンウェイトのモデルでも、数カ月から長くても2年以内にはほぼ確実に再現される、というものです。実際、OpenAIも4月中旬にサイバー特化型のモデルを非公開でリリース済みと指摘されています。つまり、一社のモデルへのアクセスを遮断しても、能力そのものは別ルートから世に出てくるという見立てです。
これが意味するのは、政府の制限が「危険なAIを防ぐ」より「米国企業の手を縛る」結果になりかねない、という構造的なジレンマです。ここで問われているのは、防御不能な能力が遅かれ早かれ拡散する前提で、社会の防御側をどう備えさせるか。出口を塞ぐ規制から、被害を前提にした防御強化へと、議論の重心が移りつつあるのが見どころです。
その他のニュース
NVIDIAのAIコーディングエージェントがロボットを自律訓練(ENPIRE)
NVIDIAの研究で、GPT-5.5・Opus 4.7・Kimi K2.6を組み合わせたAIエージェントのチームが、夜間に人手を介さずロボットの訓練を自律実行しました。
物体操作タスクのPush-Tで99%の成功率を達成し、8体のエージェントで所要時間は約2時間。コードはオープンソース化される予定です。
つまり、ロボットの学習プロセス自体をAIエージェントが回し始め、人間が寝ている間に開発が進む段階に近づいてきた、ということです。
Zhipu AIの「GLM-5.2」がコーディングでクローズドソース首位に肉薄(MITライセンス)
中国Zhipu AIのオープンモデルGLM-5.2が、コーディング能力でクローズドソースのトップに肉薄しました。FrontierSWEで74.4%と、Opus 4.8にわずか1ポイント差です。
数学のAIME2026で99.2%、コンテキスト長は100万トークンに対応。しかもMITライセンスでの公開です。
要は、最先端のコーディング性能が「無料で改変自由」なオープンモデルでも手に入りつつあり、クローズドとの差が急速に縮まっている、ということです。
OpenAI、モデルの失敗率を出荷前に予測する「Deployment Simulation」
OpenAIの研究者が、モデルが実環境でどれだけ失敗するかをローンチ前に予測する手法Deployment Simulationを提案しました。
実ユーザーの匿名会話約130万件を活用し、誤りの「方向」を92%の精度で的中。標準的なベンチマークテストの54%を大きく上回りました。
ここがポイントで、出荷前に「どこでどう失敗するか」を見積もれれば、リリース後の事故を先回りで潰せる、ということです。
Hyperscalerのキャペックスがキャッシュフローを上回る恐れ(Epoch AI分析)
Epoch AIの分析によると、5大ハイパースケーラーのインフラ支出(キャペックス)が年約70%増のペースで膨らむ一方、営業キャッシュフローの伸びは約23%にとどまります。
このまま進めば2026年Q3にも、AIインフラ投資を自前のキャッシュフローだけでは賄えなくなる可能性があるといいます。
つまり、AI建設ラッシュの資金が、いよいよ手元資金の限界に近づき、借入や外部調達に頼る局面が見えてきた、ということです。
ベルリン地裁、GoogleのAI Overviewsは「新検索フォーマットであり独自コンテンツではない」と判断
ベルリン地方裁判所が、GoogleのAI Overviews(検索結果のAI要約)について「独自コンテンツではなく新しい検索フォーマットにすぎない」と判断し、商標侵害を否定しました。
これは数日前のミュンヘン地裁の判断と正反対で、ドイツ国内でも司法判断が割れています。
要は、AIによる検索要約が著作権・商標の枠でどう扱われるか、裁判所ですら結論が一致していない、ということです。
Microsoft、Copilot Coworkを従量課金へ移行+DeepSeek V4採用を検討
Microsoftが、AIエージェント機能Copilot Coworkを定額制から従量課金へ移行します。定額制を「持続不可能」と説明しています。
低コスト枠ではAzureに自前ホストしたDeepSeek V4の採用も検討中とされます。
つまり、AIエージェントの運用コストが定額では合わなくなり、大手すら「使った分だけ課金」と「安いモデルの併用」に動き出した、ということです。
Microsoft研究者、Age of Empires IIのヤギで動くニューラルネットを構築しAI研究を批判
Microsoftの研究者が、ゲームAge of Empires IIのヤギを使って実際に動くニューラルネットワークを構築するという風変わりな実験を公開しました。
狙いはAI研究への批判で、調査対象の315本のAI論文のうち57%が「擬人化」を暗黙の前提にしていると指摘しています。
つまり、ヤギでも組めるほど単純な仕組みを、論文が過度に人間らしく語っていないか、という皮肉のこもった問題提起です。
Google、Gemini搭載の新「Google Home Speaker」を99.99ドルで発表
Googleが、Geminiを搭載した新型スマートスピーカーGoogle Home Speakerを99.99ドルで発表しました。複数ステップの命令や双方向の会話に対応します。
サブスクのGoogle Home Premium(月10ドル)は初回6カ月無料で提供されます。
要は、GoogleがスマートホームのハブをGeminiで作り直し、対話型AIを家庭の入口に据えにいった、ということです。
Pinterest、実験的AIショッピングアプリ「Ask Pinterest」をローンチ
Pinterestが、会話型で商品を発見できる実験的アプリAsk Pinterestをローンチしました。自社の嗜好データTaste Graphを活用します。
広告業界の祭典Cannes Lions 2026に合わせ、限定公開の形でのスタートです。
つまり、Pinterestが蓄積した「ユーザーの好み」をAIに食わせ、会話で買い物を完結させる体験に踏み込んできた、ということです。
DeepL、ライブイベント音声配信・翻訳のMixhaloを買収
翻訳サービスのDeepLが、ライブイベント向け音声配信・翻訳のMixhaloを買収しました。買収条件は非開示です。
会議・スポーツ・コンサートなどでの同時通訳を狙い、米国市場への進出も視野に入れています。
要は、テキスト翻訳で知られるDeepLが、リアルタイムの音声・現場の同時通訳へと領域を広げにきた、ということです。
Android 17ローンチ、Geminiの音楽生成・動画編集機能を拡張
GoogleがAndroid 17をローンチし、新しいマルチタスク機能とともにGeminiの生成機能を拡張しました。
音楽生成モデルLyria 3による作曲や、Gemini Omniによる会話の中での動画編集に対応。電池持ちは最大10%改善されました。
つまり、スマホのOSそのものに生成AIが深く組み込まれ、音楽や動画の制作が標準機能になりつつある、ということです。
米司法省、xAIの無許可ガスタービンを「国家・経済・エネルギー安全保障の問題」と擁護
米司法省が、xAIがメンフィスのデータセンターで稼働させている無許可のガスタービン57基をめぐり、これを「国家・経済・エネルギー安全保障の問題」とする意見書をxAI側に有利な形で提出しました。
このタービンの環境影響をめぐってはNAACPが提訴しており、司法省の介入が論争を呼んでいます。
ここがポイントで、AIインフラの電力確保が、環境規制と国家安全保障が真っ向からぶつかる政治問題になってきた、ということです。
NVIDIA XR AI、ARグラス向けマルチモーダルエージェント基盤がパブリックベータ
NVIDIAが、ARグラス向けにマルチモーダルなAIエージェントを動かす基盤XR AIをパブリックベータで公開しました。
MetropolisやNeMo Retrieverと連携し、Siemensやスタンフォード大学などが早期採用しています。
要は、AIエージェントを眼前のARグラス上で動かす土台が整いつつあり、AIの出力先がスマホから視界そのものへ広がってきた、ということです。
VC Chi-Hua Chien氏「AIの真の勝者はAIを売らない企業」
かつてFacebookの台頭をいち早く見抜いた著名VCのChi-Hua Chien氏が、AIで本当に勝つのはAIを売る企業ではなく、AIを使いこなす企業だと主張しています。
ツール提供側よりも、AIを業務に取り込んで価値を生む側に最終的な利益が集まる、という見立てです。
要は、AIバブルの恩恵を受けるのは必ずしもモデルやツールの売り手ではない、という業界の冷静な視点が出てきた、ということです。
AIがAppleに逆風、メモリチップ不足でiPhone値上げ圧力
AIブームによるメモリチップの需要急増で需給が逼迫し、Appleの部材コストは前年比で約4倍に膨らんでいると報じられています。
ティム・クックCEOも値上げは避けられないとの見方を示しており、TechInsightsの試算ではiPhone Proで約270ドルの上乗せに相当するとされます。
つまり、AIインフラ向けの部材争奪が、AIと直接関係のない消費者向け製品の値段にまで波及し始めた、ということです。
NVIDIA技術でフランスがAIファクトリー稼働、欧州のAIを前進
NVIDIAの技術を使ったフランスのAIファクトリーが稼働を開始し、欧州のAI基盤強化が一歩前進しました。
中核はMistralの44MW級データセンターで、GB200を18,000基規模で投入しています。
要は、米国に握られたAI供給への懸念が高まるなか、欧州が自前の計算基盤を実際に立ち上げ始めた、ということです。
Hugging Faceら、エージェントがツールを動的検索する標準「Agentic Resource Discovery」を公開
Hugging Faceが、AIエージェントが実行時にツールや他のエージェントを動的に発見するための標準Agentic Resource Discoveryを公開しました。
策定にはMicrosoft・Google・GoDaddy・Hugging Faceなどが参加しています。
つまり、エージェントが事前に組み込まれた機能だけでなく、必要なツールをその場で探して使う「自律的な拡張」の共通規格が整いつつある、ということです。
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